インド空軍
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インド空軍(インドくうぐん IAF:Indian Air Force)はインドにおける空軍組織。1932年10月8日設立。約17万人の人員と1300機以上の機体を有し、米露中に次ぐ世界4位の規模の空軍である。
[編集] 概要
インド空軍は、インドの歴史的経緯や政治的背景などにより、初期には英国機をはじめとする欧州機、近年ではロシア機を多く導入しており、2007年以前のデータで、マルチロールの露MiG-21約450機を筆頭に、MiG-23MF、MiG-27ML、MiG-29B、Su-30MKI、Mi-35、仏ミラージュ2000、アルエートⅢ、英キャンベラ、ジャギュア、国産のHJT-16、LCAなどと様々な機体を保有していた。そのため、運用や管理の難しさから稼働率が悪いとの話しがある。
近年、中国軍拡への対抗などからインドも国防費を急増させており、2007年にはMig-21が大量退役することもあり、同年126機:1兆円規模の新規調達を決定(MMRCA [Medium Multi-Role Combat Aircraft]計画)。米F-16、F-18、露Su-30MKI、MiG-35、欧ユーロファイター、スウェーデン・グリペン、仏ラファールなどの名前があがっているようである。
インドは、ロシアの第五世代戦闘機開発に資金協力しており、ロシア機の導入が有力視されていたが、ここ2年ほどで急速に米国と接近しており、2008年5月にはボーイング社がF/A-18と、AESAレーダー(アクティブ電子走査アレイレーダー)や各種ミサイル装備を抱き合わせる形で、売り込みをかけている。
なお、MiG-21の大量退役対策として、MMRCA計画とは別に、練習機として英ホーク106機の導入を決めており、2008年2月から順次配備を始めている。5月、離陸を緊急停止する事故が相次ぎ、一時的に飛行停止措置がとられる。
2008年に入ってインド国防省は、アルエートIIIなどのヘリについて、老朽化・旧式化・陳腐化対策、今後高地作戦(周辺国との水源争い)の重要性が高まることなどから、運用しやすい軽ヘリコプター384機(空軍には125機、残り259機は陸軍向け)・2000億円規模の新規調達を決定し、米ベル、欧ユーロコプター、アグスタウェストランド、印HAL、露カモフに打診。これについての具体的な動きはこれからになるが、上記のような背景を踏まえ、カモフのKa-60が有力視されている。
さらに、2008年5月末には、ニューデリーに配備されているMi-35部隊の更新用として、攻撃ヘリ22機・500億円規模の新規調達を決定。これについては、米AH-D、AH-1Z、欧ティーガー、伊A-129、露Ka-50、Mi-28と、現在開発中の国産ヘリなどの名前があがっている。