イリ地方
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イリ地方は、中央アジアの中央部、イリ川畔の地域。イリ渓谷、イリ河谷、イリ盆地ともいう。セミレチエ(チュー川やタラス川流域、イシククル湖やアラコル湖周辺まで広がる)の一部であり、ジュンガリア(ジュンガル盆地まで広がる)の一部でもある。北はボロホロ山脈をはさんでジュンガル盆地と接し、南は天山山脈をはさんでタリム盆地と接する。東にはバインブルク草原(ユルドゥズ渓谷)に通ずる峠があり、西はカザフスタンの草原に開けている。
遊牧の適地で、古来より烏孫やチャガタイ・ハン国など様々な遊牧政権がこの地に興亡した。「ジュンガリア」の名は、この地に本拠をおき、北アジアの覇権をかけて清朝と抗争したオイラトのジュンガル部にちなむ。
現在、イリ河の上流部(東部)は中国領(新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治州)、下流部(西部)はカザフスタン領(アルマトイ州)となっている。