イラク航空
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イラク航空 | ||
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IATA IA |
ICAO IAW |
コールサイン Iraqi |
設立日 | 1945年 | |
ハブ空港 | バグダード国際空港 | |
保有機材数 | 6機 | |
目的地 | 8都市 | |
親会社 | Air Iraqi | |
本拠地 | バグダード | |
代表者 | ||
ウェブ: http://www.iraqiairways.co.uk/ |
イラク航空( -こうくう 英語で Iraqi airways アラビア語で الخطوط الجوية العراقية)は、イラクの航空会社。アラブ航空会社機構(Arab Air Carriers Organization)の一員。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 運航開始
イラク航空は第二次世界大戦終結後の1946年に運航を開始し、その後ビッカース バイカウントなどの新型機材を導入し、徐々に路線網を拡大して行った。冷戦下において政権が変わった度に西側と東側の両方の航空機を購入したため、1960年代にはイギリスのホーカー・シドレー トライデントとソビエト連邦のツポレフTu-124を同時に運行していたこともある。
[編集] 拡大
1970年代に入りボーイング707やボーイング747などの大型機を相次いで導入し、ロンドンや東京、バンコクやニューヨークなどの世界の主要都市にその路線を拡大した他、近距離国際線や国内線用にボーイング727などの当時の最新鋭機を導入するなど、機材の更新を推し進めた。また1980年代頭にはバグダード国際空港のターミナルが新装し、中東におけるハブ空港の地位を目指した。
なお日本路線は、1978年から1990年の間、バグダード-バンコク(ドンムアン国際空港)-東京(成田国際空港=当時は新東京国際空港)間をボーイング747コンビで週1便運行していた。現在も同空港の発着権を返上していないことから、あくまで「一時休止」扱いとなっている。
[編集] イラン・イラク戦争と湾岸戦争
しかし、1979年にサッダーム・フセイン政権下になった後の1980年に起きたイラン・イラク戦争によりいくつかの国際線が運行休止になってしまい、またイラン・イラク戦争終結後の1988年には休止していた国際線の運航を本格的に再開したものの、そのわずか2年後の1990年にイラクが隣国のクウェートに侵攻し、国際社会の猛反発を受けたことで殆どの国際線の運航が休止となってしまった。なおこの際にクウェート航空が運行していたボーイング767型機やクウェート国際空港に駐機していた外国機を接収し、自社のフリートに組み込んだ。
ところが1991年に発生した湾岸戦争でアメリカを主力とする多国籍軍の攻撃を受けたため、多くの所有機材を隣国のイランやヨルダンに避難させることになった上、クウェート侵攻の際に組み込んだ機体をはじめ、国内に残した機材の多くが破壊されてしまった。
さらに戦後、国連によって国際線の運航がメッカ巡礼のための「ハッジフライト」に限られただけでなく、国内に飛行禁止区域が設けられたことから、殆どの機材がバグダード国際空港をはじめとする国内の空港で地上保存状態にせざるを得なくなってしまった。その上に、地上保存されていたボーイング747-SP型機やボーイング737-200型機などの所有機材の多くは、就航できない上に予算が枯渇したためには殆ど整備が行われなかっただけでなく、多くの部品が盗難にあってしまったために、大規模な修繕を行わない限り二度と飛行できない状態になってしまった。
[編集] イラク戦争
追い討ちをかけるように、2003年3月にアメリカやイギリスを始めとする多国籍軍がイラクを攻撃し、イラク戦争が開戦したことで、バグダードなどのイラク各地に地上保存されていたボーイング727-200型機やイリューシンIl-76型機などの多くの機材が、多国籍軍の攻撃を受けて完全に破壊されてしまった。
[編集] 現在
しかし、アメリカなどの多国籍軍によりサッダーム・フセインが追放され、新政権が樹立された後に、イラク航空は政府の国営からエア・イラク社に経営が移管され、2004年10月にバグダード-アンマン線の運航を開始する。
その後アメリカ政府などからボーイング767-200型機などの新型機材の提供を受けた他、同国政府の資金援助を受けてボーイング737-200型機やイリューシンIL-76などいくつかの残存機が再び使用できるように整備を受け、2005年6月には戦後初の国内線であるバグダード-バスラ線の運航を再開した。
[編集] 運行機材
[編集] 現在
[編集] 過去の運行機材
なお、現在バグダード国際空港にボーイング747SPやイリューシンIl-76、アントノフAn-24が放置されたままになっているが、長年飛行していなかっただけでなく整備を受けていない他、各種部品が盗難に遭っているなど状態が悪いために、修理はされずそのまま廃棄処分になると思われる。