アーシラト
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アーシラト (aθrt [’āθiratu] )とは、ウガリット神話に於ける神々の女王。
最高神イルの妻であり、神々の母とされる。アーシラトとは 海を行く貴婦人 (rbt aθrt ym)の略称で、神話には実際に彼女が海辺に暮らしている事が語られている。
別の呼称として 神々の生みの親 (Knyt ilm 、直訳すると『神々の創造神』)がある。またイラト(ilt [’ilatu])とも呼ばれるが、これは本来「イル」の女性形で、普通名詞としては「女神」の意味。しかし、女神の中の女神としてのアーシラトを指す言葉として、固有名詞的に用いられる。
旧約聖書にも異教の偶像神として登場し、ヘブライ語形アシェラの名で呼ばれる。 アーシラトは、森林地帯では枝を落としてまっすぐにした常緑樹を、木の生えない荒れ地などでは杭を依代として、祀られていたという。