アルマニャック
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アルマニャック (Armagnac) とは、フランス南西部、アルマニャック地方で醸造されるブランデー。コニャックと肩を並べる、フレンチブランデーの二大銘酒の一つである。
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[編集] 生産
[編集] 産地
アルマニャック地方は、ガスコーニュ地方の中央に位置し、ジェール県、ランド県、ロット=エ=ガロンヌ県にまたがる。土の質によって、以下の3つの産地に区分される。
- バ・アルマニャック
- 西部に位置し、酸性の強い粘土砂質の土壌をもつ。フルーティな味が特徴的で、一般にはこのバ・アルマニャック産のアルマニャックが最も高級とされる。中心都市はオーズ。
- アルマニャック・テナレーズ
- 中央部に位置し、粘土石灰質の土壌をもつ。中心都市はコンドン。
- オー・アルマニャック
- 東部および南部に位置し、石灰質の土壌をもつ。中心都市はオーシュ。
[編集] ブドウ
アルマニャックは白ブドウから造られる蒸留酒(オー・ド・ヴィー)である。原料となる主なブドウの品種には、ユニ・ブランやフォル・ブランシュ、コロンバールなどがある。
[編集] 蒸留・熟成・ブレンド
収穫後、3月31日までに蒸留が行なわれる。アルマニャック型と呼ばれる連続式蒸留器を用いて1回蒸留、ガスコーニュもしくはリムーザン産のカシの樽(ピエス)で熟成後、ブレンドさせる。アルコール度数は40度以上。
[編集] 等級
熟成期間の長短によって以下の等級がある。
- 三つ星
- 2年以上
- V.O., V.S.O.P, レゼルヴ
- 5年以上
- X.O., エクストラ, ナポレオン, ヴィエイユ・レゼルヴ
- 6年以上
- オール・ダージュ
- 10年以上
これらの銘柄は業者によっても異なるため、熟成期間5年を境に「アルマニャック」と「ヴィエイユ・アルマニャック」の2つの呼称を用いることが提案されている。
[編集] 歴史
「アルマニャック」の地名はクロヴィスに仕え、ガスコーニュに領地を与えられた騎士エレマン(Herreman)の名に由来するとされている。14世紀、フランシスコ会の修道士でオーズとサン・モンの修道院長を務めたヴィタル・デュフールはアルマニャックを健康維持のための薬であるとして40の効能を挙げた。
15世紀以降、アルマニャックはこの地方の商取引における重要な産品の1つとなった。1936年よりアルマニャックは原産地呼称統制法(AOC)によって保護、管理されている。若いアルマニャックにブドウジュースを加えたフロック・ド・ガスコーニュも1990年にAOC認定された。白とロゼがあり、アペリティフとして人気がある。