アルパインスタイル
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アルパイン・スタイル(Alpine-Style, アルプス風登山)とはヒマラヤの様な超高所や大岩壁をヨーロッパ・アルプスと同じ様な扱いで登ることを指す登山スタイル・用語。
大規模で組織立ったチームを編成して行なう極地法とは異なり、ベース・キャンプを出たあとは一気に登り、下界との接触は避ける。また、サポート・チームから支援を受ける事もないし、あらかじめ設営されたキャンプ、固定ロープ、酸素ボンベ等も使わない、登る人の力にのみ頼ることを最重要視して行なう登山スタイルである。
ゆえに、同じピークへの登頂を目指す場合でも、すでにノーマル・ルートとしてスタンダードになったルートから登ることも、アルパイン・スタイルとは呼ばれない。例えば、初登頂されたのが、その山の主稜線であり、そのルートがノーマル・ルートとして定着していれば、バリエーション・ルートとしての未登の稜線や岩壁などからの登攀を行うことが求められる。あるいは、ノーマル・ルートであれば、冬季に登攀する、またはソロ・クライミングによって登攀するなどの、より困難な状況で登攀することが求められる。
よって、いわゆる8,000メートル峰14座登頂や七大陸最高峰登頂のような記録も、このような視点から見れば、それが極地法やガイド登山によって夏季等のより安易な時期を選んでノーマル・ルートから登頂されたものであれば、全く評価されることはない。
つまり、アルピニズムと呼ばれる精神をもって、より困難な登攀を求めアルパイン・スタイルあるいはアルパイン・クライミングという実践形態をもって実行された登攀のみが、これらの登山思想と登山形態を志向する人々、いわゆるアルピニストの認める登山なのである。