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アイビー・リーグ - Wikipedia

アイビー・リーグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アイビー・リーグ
設立 1954年
会員数 8
大陸 北アメリカ
国名 アメリカ合衆国
大学種別 私立大学
別名 Ancient Eight

アイビー・リーグ (Ivy League) はアメリカ合衆国北東部に立地する私立大学8校で構成されるカレッジスポーツのカンファレンス。しかし設立以来現在に至るまで、本来のカレッジスポーツ・カンファレンスとしてよりも学術的な方面での影響が大きい。各校は独自の特徴を持ち、いずれへの入学も難関である。

目次

[編集] 名称の語源

語源は諸説あるので、下記に併記する。

  • 伝統的な大学では、校舎が古く、ツタ(アイビー、ivy)で覆われていることが多い。その植物名から。
  • INTER-VARSITYという単語に由来する。もともと彼らは自分たちを「VARSITY(大学代表チーム)同士の」という意味で「INTER-VARSITY」、それを略して「I-V-Y」と呼びあっていたが、1930年代にニューヨークの新聞記者が「IVY」(植物のつた)と表記して報道したことでアイビー・リーグという呼称が定着した。
  • 元々4校からなるスポーツリーグから発展したため、当初のリーグ名に使われたローマ数字「IV」を「I-V」「アイ・ビー」と読んだと言う説もある(「モリス語源辞典(Morris Dictionary of Word and Phrase Origins)」による)。ちなみにこの4校リーグは、ラトガース、コロンビア、プリンストン、及びイェールで、設立は100年前にさかのぼるとも)。

[編集] リーグを構成する8大学

アイビー・リーグは以下(アルファベット順)の8大学で構成されている。

[編集] 歴史

[編集] リーグ結成以前

アイビー・リーグを構成する8校のうち、コーネル大学を除く7校は独立戦争前に創立された(コーネル大学の創立は南北戦争の直後であった)。これら7校は北部・中部の植民地での高等教育において圧倒的な多数派であった。これら7校の教授や創立委員会の多くは他のアイビー・リーグ校から引き抜かれた。その他にはイギリスの大学を卒業した者もいた。オックスフォード大学卒よりもケンブリッジ大学卒のほうが多かったが、一方でエディンバラ大学やその他のイギリスの大学の卒業生もいた。1766年に創立したラトガース大学の創立者たちも大部分はアイビー・リーグ校の卒業生であった。独立戦争後も、アイビー・リーグ校の卒業生たちは各地に次々と大学をつくっていった。

これら7校は、創立時にはいずれもプロテスタント系であった。イェール大学ハーバード大学ダートマス大学の3校は会衆派教会が創立した。一方、長老派教会プリンストン大学を創立した。聖公会系のキングス・カレッジは独立戦争の最中に解散し、後に無宗教のコロンビア大学として再編された。ペンシルバニア大学も創立したのは聖公会であったが、開学時には教会から離れ、無宗教の大学となっていた。ブラウン大学バプテスト教会が創立した。しかし19世紀に入ると、改革長老教会の聖職者の養成は神学校に任されるようになっていった。それでも20世紀に入る頃までは各校が礼拝を義務付けたりと、創立時の宗教色が残っていた。コーネル大学はこれに呼応する形で創立当初から無宗教を守り通している。なお、現在ではリーグに所属する8校全てが無宗教である。

「アイビー・リーグ」という語が初めて用いられたのは1933年のことであった。当時はアイビー・リーグの指すものは曖昧で、長い伝統を持つ東部の大学群を指すに過ぎなかった。これらの大学のスポーツチームは強く、全米優勝することもあった。大学は練習場を備え、スポーツ奨学金を出していた。しかし、当時はまだスポーツリーグを組むことはなかった。当時、各大学の学生数は現在よりも少なく、ほぼ均質であった。ほとんどの学生は独立戦争前からアメリカ合衆国に住んでいた裕福な家柄の白人男子で、プロテスタントであった。

そうした学生の層から、「アイビー・リーグ」は「ワスプ」同様白人のエリート層を指す語として使われるようになった。こうした感覚での用法は少なくとも1935年までさかのぼることができ、小説や回想録の中にも見ることができる。

第二次世界大戦後、アイビー・リーグの各校は様々な学生に門戸を広げた。また教授の幅も広げた。こうした動きは、アメリカ合衆国で最も長い歴史と伝統を誇るこれらの学校が世界的な研究機関になろうと、そしてスポーツ面でも高いレベルで競っていこうという決意の表れであった。

[編集] スポーツ・カンファレンスとしての歴史

アイビー・リーグの各校は、アメリカ合衆国に大学間でスポーツが競われるようになったころから各種の競技でライバル関係を築いてきた。1852年ハーバード大学イェール大学ボート部はニューハンプシャー州のウィニペソーキー湖で対戦した。この対戦はアメリカ合衆国史上初となる大学間のスポーツの試合であった。1873年10月19日、マンハッタンの5番街のホテルに4校代表(ラトガース、コロンビア、プリンストン、イェ-ル)が集まり、フットボールを含め大学間競技に関するルールの確立を協議した。その際、ハーバードは、招待されたが、「ボストンルール」に准じて行うことを理由に出席を辞退、1876年まで、参加しなかった。この会議で取り決められたルールが20世紀に至るまで維持された。伝統的には、イェール大学は陸軍士官学校と、ラトガース大学プリンストン大学コロンビア大学と現在に至るまで続いているライバル関係があり、フットボール以外のスポーツで競っている。

アイビー・リーグには、正式なリーグ結成以前に既に「明文化・明言されていない東部諸大学の運動部の連携関係に関する協定」が存在していた。しかしこうした協力関係の存在にもかかわらず、これらの大学は正式なリーグ結成に緊急性を感じていなかったようであった。1ヶ月にもわたる協議のあと、ようやく1936年12月3日に学部生がリーグ結成に乗り出した。各大学の新聞には「時は今」という見出しが並んだ。しかし翌1937年1月11日、リーグ結成の提案は各大学の体育局に拒否されてしまった。ただし、リーグ結成は全くの廃案になったわけではなかった。その時点でのリーグ結成は見送りとされながらも「将来的には考慮の余地もある」と付け加えられていた。

1945年、8校の学長は初めてアイビー・グループ協定(Ivy Group Agreement)に調印した。これは各大学のフットボールチームに関して、学業、学費援助、フットボールの全てにおける統一基準を取り決めたものだった。この協定は、1916年にハーバード・イェール・プリンストンの各大学の学長が取り決めた協定をもとにしたものだった。アイビー・グループ協定はフットボールで優秀な選手であることが入学基準に影響することのないように基本的な原則を打ち立てた。それは以下の文面に現れている。

  1. 本協定の加盟校は運動奨学金を禁止することを再確認する。選手はあくまでも学生として入学を許可し、奨学金は他の学生同様に学業成績と経済的必要性のみを考慮して給付しなければならない。

1954年、アイビー・グループ協定は全てのスポーツに拡大適用された。一般的には、この年を「アイビー・リーグ誕生の年」としている。アイビー・リーグとしての大学間競技が始まったのは1956年であった。

[編集] 共学化

1960年代まで、アイビー・リーグの各大学はコーネル大学を除いてすべて男子校であった。コーネル大学は創立当初から共学であった。最も共学化が遅かったのはコロンビア大学で、1983年のことであった。

共学に移行する前は、各大学はそれぞれセブン・シスターズと呼ばれる名門女子大学群の学生と週末訪問、ダンス、パーティーなどで交流を持っていた。バーナード女子大学とコロンビア大学、ラドクリフ女子大学とハーバード大学といったごく近くに位置する大学同士だけでなく、かなり遠いところに立地する大学間でも交流があった。ダートマス大学の男子学生がスミス女子大学やマウントホリオーク女子大学の女子学生と会うために大学のあるニューハンプシャー州ハノーバーからマサチューセッツ州まで2時間以上車を飛ばすこともあった。なお、セブン・シスターズ校のうち、ラドクリフ女子大学はハーバード大学と統合され、バッサー大学は共学化したが、あとの5校は現在でも女子大学である。

[編集] 学術面での評価

アイビー・リーグを構成する8校はすべてU.S. News & World Report誌が毎年発行している大学ランキングで常に15位以内に入っており、学部・大学院とも入学は最難関とされている。2007年の応募者に対する合格率は、最小のコロンビア大学で8.9%、最大のコーネル大学でも20.5%であった。願書出願には一校につき$50程度のお金を納めなければならないため、応募する学生の殆どは(自らに合格の見込みがあると考える)高校のトップ学生である。あくまでも結果であるが、合格する学生の多くは高校の主席か次席の学生である。

外部からはアイビー・リーグは結束の固いグループとして見られるが、実際には各大学内、そして大学間での競争はかなり激しい。これらのエリート校の間では、学生獲得競争も過熱気味である。2002年には、プリンストン大学の入学選抜事務官がイェール大学の入学選抜ウェブサイトにログインし、併願者の情報を盗み見るという事件が起きた。イェール大学は当該ウェブサイトにソーシャル・セキュリティ・ナンバー以外にパスワードをかけていなかったのである。事件は連邦捜査局(FBI)に通報され、プリンストン大学の入学事務室長が辞職する事態になった。

[編集] 独特な文化

[編集] レガシー入学

両親がその大学の卒業生であったり、親が大学に対して多額の寄付を行っている場合、その子女は一定の学力水準を満たしていれば入学が許可されることがある。これをレガシー入学(legacy - 親から受け継がれたもの)と呼ぶ(それ以外の学生は飛び抜けた学力水準もしくは課外活動実績を証明しなければならない)。日本であれば裏口入学と非難されかねない行為だが、アメリカの私立大学であれば、どこでも公式に可能である。日本の場合は裏口入学は闇ルートで行われるが、米国の場合公に公表していることに特徴がある。

このようなレガシー入学が許されている理由の一つは、アメリカの大学の仕組みにある。アイビーリーグのような超一流クラスの大学は、入学するのも大変ではあるが、それ以上に卒業するのも難しい。また、アメリカでは学位を取得しなければ経歴的には何の意味もない(日本においては早稲田大学のような一部の有名大学に限っては中途退学にも一定の価値を見出す文化が存在することは否定できないが)。上記のような仕組みから、たとえレガシーによって入学したとしても、結局、卒業できなければ入学しなかったのと同じであり、主に寄付金と学費によって経営を成り立たせている私立大学にとっては、それらの学生の親達からの寄付金は設備費や他の優秀な学生の奨学金に回されることになり、結果的にレガシー入学制度によるメリットがデメリットを上回るとの判断からこの制度が維持されている。成績評価に情実が入り込まないオープンで客観的、厳格なシステムが機能しているが故の制度である。

しかしタイム誌は、アメリカのアイビーリーグなどの一流大学が社会的要人や卒業生の子弟の入学を優遇していると批判し、コネで入学した学生が全学生の1/3程はいると推定した。コネ入学の場合は、SAT(全国統一テスト)で低得点でも一流大に進学可能である。

[編集] 日本との関係

第二次世界大戦前から東京六大学野球連盟とスポーツ試合があり、その延長で学術的交流が存在していた。現在は、出雲全日本大学選抜駅伝競走に出場するなど、東京六大学野球連盟以外のスポーツ交流も深まっており、学術的にも日本の多くの大学と交流がある。

日本においてアイビー・リーグの知名度を上げたのはVAN創業者の石津謙介であり、アイビー・ルックというファッションブームを起こした。

[編集]

  1. ^ a b THES - QS World University Rankings
  2. ^ US News & World Report

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

[編集] リーグ公式サイト

[編集] 各大学の公式サイト

アルファベット順

アイビー・リーグと加盟校の所在地 (アルファベット順)


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