NUMBERS 天才数学者の事件ファイル
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NUMBERS 天才数学者の事件ファイル(NUMBERS てんさいすうがくしゃのじけんファイル、原題Numb3rs、Numbers、公式にはNUMB3RS)は、アメリカ合衆国で2005年から放送されているテレビドラマである。FBI特別捜査官ドン・エップス(ロブ・モロー)と、数学の天才で犯罪者の行動を予測する公式を導き出す弟のチャーリー・エップス(デイビッド・クロムホルツ)の活躍を描く。番組の制作はニコラス・ファラッチ (Nicolas Falacci) とシェリル・ヒュートン (Cheryl Heuton)、製作局はCBSパラマウント・ネットワーク・テレビジョン、アメリカではCBSネットワークで放送されている。
日本ではサスペンスシアター FOXCRIMEで、2006年10月から第1シーズン、2007年4月から第2シーズンが放送されている。また、FOXでも2007年1月から第1シーズンが放送されている。字幕版のみの放送である。
番組では、ドン・エップスと弟チャーリー・エップス、そして父アラン・エップス(ジャド・ハーシュ)の関係を描く。また、兄弟で力を合わせて、主にロサンゼルスでの犯罪と戦う姿も同程度に焦点を合わせている。典型的なエピソードは、まず犯罪から始まり、そしてドン率いるFBI捜査官チームによる捜査、チャーリーによる数学的な解析となる。ちょくちょく、ラリー・フラインハート(ピーター・マクニコル)やアミタ・ラマヌジャン(ナヴィ・ラワット)がチャーリーの手助けをする。チャーリーの数学によって与えられる洞察は、毎回犯罪を解決するのに重要なヒントとなる。
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[編集] NUMBERSと数学
コンサルタントとして、複数の数学者が各エピソードで協力している。[1] 番組内で提示されている数学は現実のものである。黒板上の方程式は正しいもので、各回の番組内の状況に実際に適用できる。このことは、現役の数学者によって認められている。たとえば、次の記事を参照。米国数学協会発行の記事 "Numb3rs gets the math right"[2]。さらに、Math Gamesの1月21日号[3]におけるEd Pegg, Jr.による関連する問題の議論、ベイジアン探索理論、グラフ理論、組合せ数学などについて。しかし、数学者コンサルタントの中には、数学の使い方や、各場面のコンサルタントのまとめ方の不足など、各話の制作について懸念を示している者もいる。加えて、女性数学者の描写、そしてチャーリー・エップスと大学院生アミタ・ラマヌジャンとの関係の不適切な描写も挙げている。[4]
FBIへの協力では、チャーリー・エップス教授は番組内で(主に)次の数学分野の理論を適用した。暗号解読、確率論、ゲーム理論、偏微分方程式、決定理論、グラフ理論、データマイニング、そして天体物理学。
アメリカの数学教師は、番組内のエピソードを教材として使用している。これはアメリカ国内の法医学ブーム(そのきっかけはCSI:科学捜査班などの番組)にあわせたものである。[要出典] テキサス・インスツルメンツと数学教師評議会は We All Use Math Every Day 教育福祉計画を作成した。そこでは、次回のエピソードで使用される内容の概念に基づいた教材を教師に提供している。[5]
[編集] 登場人物
役名 | 役者 | 部門/部署 |
---|---|---|
ドン・エップス (Don Eppes) | ロブ・モロー (Rob Morrow) | FBI特別捜査官 |
チャーリー・エップス (Charlie Eppes) | デイビッド・クロムホルツ (David Krumholtz) | 数学者/FBI/NSAコンサルタント |
アラン・エップス (Alan Eppes) | ジャド・ハーシュ (Judd Hirsch) | 元LA顧問都市計画家 |
ミーガン・リーブス (Megan Reeves) | ダイアン・ファール (Diane Farr) | FBI捜査官/プロファイラー |
ラリー・フラインハート (Larry Fleinhardt) | ピーター・マクニコル (Peter MacNicol) | 物理学者/FBIコンサルタント |
アミタ・ラマヌジャン (Amita Ramanujan) | ナヴィ・ラワット (Navi Rawat) | 数学者/FBIコンサルタント |
デイビッド・シンクレア (David Sinclair) | アリミ・バラード (Alimi Ballard) | FBI捜査官 |
コルビ・グレンジャー (Colby Granger) | ディラン・ブルーノ (Dylan Bruno) | FBI捜査官 |
[編集] エピソード
[編集] 第1シーズン
第1シーズン(2005年1月23日 – 2005年5月13日)では、FBIロサンゼルス支局とチャーリー・エップスの協力関係の始まりを描く。主なFBI捜査官は、チャーリーの兄ドン・エップス、テリー・レイク、そしてデイビッド・シンクレアである。ドンとチャーリーの父アラン・エップスは兄弟を精神面で支援する。ラリー・フラインハート教授と博士課程の学生アミタ・ラマヌジャンは、数学の支援と洞察でチャーリーに協力する。
第1シーズン前半の日本での放送順は、アメリカでの放送順と異なる。邦題はEPGより。
- 数字がすべて (Pilot)
- 鉄道破壊計画 (Sabotage)
- 謎のウイルス (Vector)
- 銀行強盗集団 (Uncertainty Principle)
- P対NP問題、ハイゼンベルクの不確定性原理
- 米国では2話目
- 危険な高層ビル (Structural Corruption)
- 少女誘拐事件 (Prime Suspect)
- 偽札事件を追え (Counterfeit Reality)
- ギロシェ、ウェーブレット解析
- えん罪の可能性 (Identity Crisis)
- スナイパーの心理 (Sniper Zero)
- 盗まれた核廃棄物 (Dirty Bomb)
- セイバーメトリクス (Sacrifice)
- 未確認飛行物体 (Noisy Edge)
- 組合せ数学、条件付き確率分布 - フーリエ解析による"squish-squash"
- 脱走犯の追跡 (Man Hunt)
- ベイズ推定、マルコフ連鎖、チャップマン・コルモゴロフの方程式、モンティ・ホール問題
- en:List of Numb3rs episodes 2007-05-12 14:16 UTCより一部訳。
[編集] 第2シーズン
第2シーズン(2005年9月23日 – 2006年5月19日)では、引き続きFBIとチャーリーの協力関係を描く。テリー・レイクはワシントン州に転任する。代わりに、ミーガン・リーブスが心理分析官としてチームに参加する。さらに、コルビ・グレンジャーも加わる。
- (#14) 正義への報復 (Judgment Call)
- (#15) 誘拐事件の真相 (Better or Worse)
- フォン・ノイマン・セル・オートマトン、疑似乱数
- (#16) 狙われたスター (Obsession)
- 三角法、curvelet解析、筆跡鑑定用法医学情報システム (FISH, Forensic Information System for Handwriting)、球面天文学、美術館問題
- (#17) 小さな目撃者 (Calculated Risk)
- (#18) 暗殺の確率 (Assassin)
- (#19) 狙いやすい標的 (Soft Target)
- パーコレーション理論、拡散
- (#20) データマイニング (Convergence)
- (#21) 隠された写真 (In Plain Sight)
- (#22) 姿なき告発者 (Toxin)
- (#23) 所有権争い (Bones of Contention)
- (#24) 放火捜査のカギ (Scorched)
- (#25) 報復の連鎖 (The OG)
- (#26) 賭けの代償 (Double Down)
- (#27) 臓器売買 (Harvest)
- (#28) 狙われたハイテクマシン (The Running Man)
- (#29) 追憶 (Protest)
- (#30) マインド・ゲーム (Mind Games)
- (#31) イラク人女性弁護士 (All's Fair)
- (#32) ハイスクール乱射事件 (Dark Matter)
- (#33) 狂った使命感 (Guns and Roses)
- (#34) FBI襲撃 (Rampage)
- (#35) 闇からの挑戦状 (Backscatter)
- (#36) アメリカン・ドリームの罠 (Undercurrents)
- (#37) 過去からのメッセージ (Hot Shot)
- en:List of Numb3rs episodes 2007-05-12 14:16 UTCより一部訳。
[編集] 第3シーズン
NUMBERSの第3シーズンは、北米では2006年9月22日から始まった[6]。前シーズンからの目立つ変化として、オープニングクレジットシーケンスの削除が挙げられる(現在、クレジットは番組の最初のパートで表示される)。また、このシーズンでは、ピーター・マクニコルがシーズンの大半、ダイアン・ファールが数回、出演していない。ピーター・マクニコルは最初の11話に登場したあと、テレビドラマ24のため休み、第3シーズン第21話でNUMBERSに復帰した。ラリー・フラインハート博士欠席の理由としてペイロード・スペシャリストとして国際宇宙ステーションに行っていたと説明された。ダイアン・ファールはシーズンの間妊娠中で、第18話で産休に入った。ミーガン・リーブス欠席の理由として、アメリカ合衆国司法省での特別任務に着いたと説明された。
[編集] 第4シーズン
早期にシリーズ継続を確信したシリーズ作家は、第4シーズンについて計画を始めた。まず、ミーガン・リーブスの司法省の任務からの復帰(ダイアン・ファールは第3シーズン終盤で産休のため番組から離れている)予定が明らかになっている。また、登場人物間の関係の発展が予想される。
[編集] プロダクションノート
- 番組の最初のアイディアはMITのイベントから得られた。[7]
- エップスとフラインハート、ラマヌジャンの所属する学部にCalSciであるが、そこのシーンは、カリフォルニア工科大学 (Caltech)と南カリフォルニア大学 (USC)で撮影されている。Caltech内でよく使用されている場所は、Millikan図書館の周辺、加えてMillikan湖、役員室、近所の建物へのアーケードである。USCでは、Doheny図書館やTown and Gown食堂が含まれる。
- 第3シーズンのエピソード"Pandora's Box"で、初めて架空であるCalSciのフルネームが California Institute of Science であると言及された
- 番組の制作者ニコラス・ファラッチとシェリル・ヒュートンは、2006年のカール・セーガン賞のAward for the Public Understanding of Science部門を受賞した。[8]
- 第1シーズンで使用された Craftsman home は、David Raposa と Edward Trosper 所有のものである。[9] 第2シーズンからは、複製のセットが使用されている。[要出典]
- シリーズ中で言及した有名な科学者や数学者は次のとおり。アイザック・ニュートン、アルベルト・アインシュタイン、アルキメデス、ジョン・フォン・ノイマン、ポール・エルデシュ、ピエール=シモン・ラプラス、マイケル・ファラデー、リチャード・P・ファインマン、ヴェルナー・ハイゼンベルク、ベルンハルト・リーマン、そしてエドワード・ウィッテン.
- シリーズ中、少なくとも2回、チェスの名局Morphy 対 Duke of Brunswick と Count Isouard 戦が取り上げられた。1つは「脱走犯の追跡」の最後のシーン、もう1つはエピソード「暗殺の確率」の「幕間のチェス」。
[編集] 参考文献
- ^ "Hollywood Math and Science Film Consulting" 2006-04-26閲覧.
- ^ Keith Devlin. "NUMB3RS gets the math right" 2006-05-07閲覧.
- ^ "Math Puzzle.com" 2006-04-27閲覧.
- ^ Silverberg, Alice (2006 November). “Alice in NUMB3Rland”. FOCUS 26 (8): 12-13.
- ^ "We all use math everyday Math Education Program" 2006-06-24閲覧.
- ^ Mahan, Colin, “Voila! CBS renews 14 shows at once”, TV.com. 2005-06-07閲覧.
- ^ ""Numb3rs (2005)" 2006-05-07閲覧.
- ^ "Official Numb3rs website" 2006-05-13閲覧.
- ^ Arts and Crafts by the 'Numb3rs' by Christy Hobart, Special to The Times Los Angeles Times, February 17, 2005