AVCREC
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AVCRECとはBlu-ray DiscのアプリケーションフォーマットのBDAVを応用してDVD等にデジタルハイビジョン映像を記録するための規格である。Blu-ray Disc Association(BDA)により規格化されており、ハイビジョン放送の録画が可能である[1]。
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[編集] 概要
著作権保護機構に対応していることから、著作権保護機構が必要なコンテンツの記録に適しているとされる。AVCRECの仕様は一般には公開されていない。
又、DVDフォーラムが策定しているHD DVD規格で記録型DVDに記録するHD Recという規格がある。HD RecとAVCRECは互換性がない。HD DVD陣営の中心であった東芝は、AVCRECはHD Recを基に作られたと主張していた[2]。
2007年以降に日本で発売されたBDレコーダー・DVDレコーダーの一部がこれに対応しており、従来のDVDレコーダーでは出来なかったデジタルハイビジョン放送(地上・BS・110度CSデジタル)をハイビジョン解像度のままDVDに記録することが可能になった。片面1層のDVDに約40分~1時間20分、片面2層に約1時間20分~3時間程度のハイビジョン記録が可能である(記録時間は製品や画質モードに依存する)。
なお単にAVCコーデックで録画することをAVCRECと呼ぶのは誤りであり、HDDやBDへの録画に対してAVCRECと呼ぶことはない。
[編集] 詳細
AVCRECはアプリケーションフォーマットにBDAVを用いるため、映像はMPEG-4 AVC/H.264とMPEG-2 TSのコーデックを利用してSD映像とHD映像の記録が可能である。音声はAACとドルビーデジタルとリニアPCMでの記録が可能である。著作権保護にはAACSを用いる[3] 。
[編集] 利用可能なメディア
現在の所、光ディスクのDVD-R・DVD-R DL・DVD-RW・DVD-RAMに対応しているが、メモリーカード等も想定している[4]。デジタル放送を記録する場合はDVDメディアがCPRMに対応している必要があり、CPRMをAACSの代用とする。
[編集] 対応機種
- ハイビジョンDIGA DMR-XP12、DMR-XP22V、DMR-XW100、DMR-XW120、DMR-XW200V、DMR-XW300、DMR-XW320
- ブルーレイDIGA DMR-BR500、DMR-BW700、DMR-BW800、DMR-BW900
- REALブルーレイ DVR-BZ100、DVR-BZ200
- REAL DVDレコーダー DVR-DW100、DVR-DW200
[編集] 制限事項
- 松下機はDVD-RWへのAVCREC方式での記録ができない。三菱機はDVD-RAMへの記録自体ができない。その為、松下機は三菱機で記録したAVCREC方式のDVD-RW、三菱機は松下機で記録したAVCREC方式のDVD-RAMの再生ができない。
- 現在製品化されているBD/DVDレコーダーでは、デジタル放送のストリーム(いわゆるDRモード)を再圧縮なしでAVCREC記録できない。競合規格のHD Recを採用する東芝のVARDIA RD-A301は可能である。
- BDレコーダーの大手であるソニーはAVCRECを採用していない。プレイステーション3も非対応であるが、著作権保護されていないAVCRECディスクはAVCHD互換として再生できる場合がある。
- PS3に加えてパソコン用のBD/DVD再生ソフト、BDプレーヤー等も非対応であることから、AVCREC形式で記録したディスクは録画したBD/DVDレコーダー自体で再生するしかないのが実状である。
[編集] 沿革
[編集] その他
[編集] 脚注
- ^ AVREC Format Specifications(英語)、Blu-ray Disc Association License Office、2007年
- ^ 「DVDにハイビジョン録画」はBD陣営の自己否定――東芝・片岡氏、ITmedia、2007年11月2日
- ^ 開発陣が語る「新DIGA」の能力 - 「新Uniphier」で「PHLチューニング」が生きる、AV Watch、2007年11月16日
- ^ 松下の“ミスターBD”小塚氏が語る「Blu-rayの現状」- AVCRECなど新採用も「映画のため」は揺るがず、AV Watch、2007年10月19日
- ^ バッファロー、PC向け単体地デジチューナ 2機種を正式発表、AV Watch、2008年4月21日