食品廃材
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食品廃材(しょくひんはいざい)とは、食品加工の過程で発生する不可食部の事である。
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[編集] 概要
これらは畜産・水産業における肉や内臓・骨格といった動物性の物や、穀類を脱穀した際に残る籾殻や稲藁・トウモロコシの芯といった類いの植物性の物がある。
古くから家畜の飼料や肥料、二次的な生産物の材料に広く利用されてきたが、現代では食糧生産が大規模になるにつれ、より大量の食品廃材が発生する。食品が素材のまま消費者の手に渡っていた時代から、消費者が消費しやすい形に加工した商品として流通するようになるにつれ、生産地においては大量の食品廃材が生まれることになった。これらの食品廃材はそのまま環境に廃棄すれば環境破壊に繋がる事も在るが、消費の方は様々な理由により滞りがちで、大きな社会問題となっている。
また1990年代から社会問題化した狂牛病問題により、一部家畜から作られた肉骨粉が、飼料としての利用において危険視され、大量に余ってしまう等している。これとは別に、古くから屑肉を含む残飯や食品廃材を飼料に利用していた養豚業では、豚肉中に含まれる寄生虫である旋毛虫が、飼料として与えられた豚に感染し、より多量の寄生虫感染豚を増やしてしまう問題が指摘されている。なお旋毛虫は狂牛病問題の原因である病原性プリオンとは違い、加熱調理でよく火を通せば食用には問題無いが、加熱が不十分な豚肉を食べた人間にも感染する事もある。重篤な感染では、死亡する事も在るので注意が必要である。
[編集] 動物性食品廃材
主に家畜の解体の際に出る、皮革や内臓・骨格であるが、これらはそれぞれ、様々な工程を経て、様々な分野で利用されている。
- 皮革
- 皮革は加工されて様々な工業製品・工芸品となる。また様々な工程を経て、食品として利用する地域もあり、インドネシア等では乾燥させた牛の皮を、水で戻して油で揚げたチップスが販売されている。また化粧品・医薬品の原料となるコラーゲンや、グミキャンディー・ゼリーの原料となるゼラチンもこれら家畜の皮革および食品としての価値が低い筋や骨などから抽出される。
- 内臓
- 肝臓や心臓など一部は食品としてそのまま、または加工されて出荷されている。それ以外の物は、骨とともに粉砕・高温の蒸気で加熱処理されて肉骨粉として、家畜飼料や肥料に用いられてきた。
- 骨格
- これらはスープの出汁を取るために煮込まれたり、内臓と共に粉砕加熱処理されて肉骨粉となったり、焼却・破砕され、肥料として利用される。また近年では焼却灰を建材に利用する等もしている。最近ではこれらに加えて焼却後の灰分からアパタイト等の工業原料が生産され、医療・工業・建築の多方面に渡る利用が進んだり、カニの殻から抽出されたキチンキトサンが健康食品原料や医療方面で利用が進んでいる。また、ホタテやカキの貝殻から土壌改良材などを作る研究開発も進められている。そのほかにカルシウム摂取用のサプリメントなども作られている。
[編集] 植物性食品廃材
これらは植物から可食部となる実等を取った残りである一次的食品廃材と、可食部を加工した際に残る二次的食品廃材がある。古くから一次的食品廃材は乾燥の後に燃料として利用したり、発酵させて肥料として利用されたりしてきた。
日本では米の生産において発生する藁を草鞋・蓑・縄・俵・莚といった、様々な工芸品に利用してきた。世界的にも概ね、似たような文化がある。海外の例を挙げればトウモロコシの芯であるが、これらは乾燥され、様々な工芸品の材料となる。トウモロコシの芯で作ったコーンパイプは、ポパイやマッカーサーが愛用し、トレードマークとなっている。
更に米作を例に二次食品廃材を挙げると、精米の際に出る糠は、糠漬けを作るのに利用されたり、洗髪や掃除などの洗剤として利用されたりしているし、酒造の際に更に精米して出た米粉を煎餅やあられの原料として使用した。そして酒造においては発酵後に残る酒粕は料理の調味料に用いたり、湯で溶いて生姜を少量加えて甘酒として飲用する…といった具合で、可能な限り利用しようとする工夫がある。
近年では、砂糖製造の際に残る廃糖蜜を発酵させ、バイオマスエタノールといわれるアルコール類を製造するのに利用している。これによって得られたアルコールが、アルコール内燃機関や燃料電池の燃料として利用できる事から、未来のエネルギー源としての期待も寄せられている。なお最近では、廃糖蜜のみならず、植物に豊富に含まれるセルロースを分解して糖を抽出、更にその糖を発酵させてアルコール生産する研究も進められており、将来的には植物性食品廃材から燃料用アルコールを抽出されるのかもしれない。またこれとは別の話では在るが、穀物の澱粉からは生分解性プラスチックが生産されるが、食品廃材に含まれる澱粉も、この生分解性プラスチック製造の原料となりうる可能性がある。
ほかにも植物繊維を豊富に含むものについては紙として利用されていることがある。藁、バナナ、サトウキビの搾りかす(バガス)などを用いた紙が作られている。