非常用炉心冷却装置
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非常用炉心冷却装置(ひじょうようろしんれいきゃくそうち、Emergency Core Cooling System:ECCS、緊急炉心冷却装置)は、水を冷却材として用いる原子炉の炉心で冷却材の喪失が起こった場合に動作する工学安全装置である。炉心に冷却材を注入することで原子炉を冷却する。
水を使って炉心を冷却する動力炉では、炉心の出力密度が高いため、冷却材が喪失するとスクラム(制御棒の一斉挿入による原子炉の緊急停止)しても、炉心の余熱と放射性物質の崩壊熱により、そのままでは炉心が破損し融けてしまう。非常用炉心冷却系は、炉心に水を注入することで炉心を冷却し破損を防止する。非常用炉心冷却系には幾つかの種類があり、高圧炉心スプレイ系(HPCS)、自動減圧系(ADS)、低圧炉心スプレイ系(LPCS)、低圧注水系(LPCI)など、炉の型式によって、それぞれ独立して複数組み合わされている。特に加圧水型原子炉では、原子炉圧力容器、並びに一次冷却系内部が非常に高圧である為、炉心の減圧を行いながら注入する。