青島文化教材社
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種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場
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略称 | アオシマ |
本社所在地 | 日本 420-0922 静岡市葵区唐瀬1-11-17 |
電話番号 | 054-263-2400(代表) |
設立 | 1961年(昭和36年)11月 有限会社として。 創業は1935年(昭和10年)「青島模型飛行機」として。 |
業種 | 製造業 |
事業内容 | プラスチックモデル、トイホビー等の製造・販売及び 教材、教具等の企画販売 |
代表者 | 代表取締役 青嶋 典生 |
資本金 | 16,600,000円 |
外部リンク | 青島文化教材社 |
特記事項:1989年(平成元年)6月16日 株式会社に組織変更 | |
青島文化教材社(あおしまぶんかきょうざいしゃ)とは、静岡模型教材協同組合に所属する日本の模型製造会社。 商標はアオシマ。 静岡県静岡市葵区に本社を置く株式会社で、プラモデルの大手企業。
目次 |
[編集] 会社沿革
実質的な創業者は青島次郎。1923年(大正12年)から飛行家として活躍した彼は1926年(大正15年・昭和元年)に飛行家を廃業した後も飛行機への愛着を捨てきれず、1932年(昭和7年)から動力付き模型飛行機を発売し、1935年(昭和10年)「青島模型飛行機」を創業する。
1940年(昭和15年)から当時の日本軍と文部省の主導で模型飛行機は教材として正式な教育課程に組み込まれ、一気に需要が拡大する。国策によって維持された産業ではあったが終戦前後にはすでに商売どころではなくなり、終戦後もGHQへの配慮から模型飛行機ですらおおっぴらな商売を避けたために1949年(昭和24年)まで会社は休眠状態となる。
1950年(昭和25年)から「青島文化教材社」として再出発、模型飛行機のほかプラモデルを発売開始する。最初のプラモデルは1961年発売の『スピードボート・ブルーバード』。黄色い流線型の航空機風高速ボードで、SF風味のオリジナル商品であった。また1962年には海外SFドラマ『スーパーカー』の商品化も行なっている(ただし無版権)。その後人気作品の登場メカによく似たSFメカのプラモを次々と発売、スケールモデルと並ぶ人気シリーズとなった。
1969年(昭和44年)にアポロ11号を含む「アポロシリーズ」を展開、版権料の必要ないキットだったこと、人類初の月着陸ということで客層を選ばなかったことなどから大ヒットを記録、第4回モデル大賞のフロンティア賞を受賞している。1971年からはウォーターラインシリーズを発売、息の長いロングセラー商品となる。
一方で『オバケのQ太郎』、『赤胴鈴之助』などのアニメキャラクターも手がけている。これらは単発で終わったが1974年(昭和49年)、『マッハバロン』で初めて「合体」シリーズを発表すると一躍大ヒット商品となり、当時の関西模型小売商組合連合会から1975年度の、もっとも売れた商品に贈られる賞「プロフィット賞」を受賞している。合体は同社の十八番となりその後「合体マシンシリーズ」というブランドでアニメ・特撮キャラクターモデルをリリースすることになる。
1976年(昭和51年)からは『トラック野郎』の隆盛に合わせてデコトラシリーズ、スーパーカーブームに合わせてスーパーカーシリーズをリリース。スーパーカーはブームが去ると次第に廃れたが、デコトラシリーズはロングセラーとなった。
1980年(昭和55年)から始まったガンプラブームだったが、実はメインスポンサーのクローバーはガンダム放映中にプラモ化をアオシマに打診していた。「合体」の商標を保有していたためであった。しかし、打ち切りが決まっているという話から、次回作のトライダーG7より模型化を行なうという話でまとまり、ガンダムの模型化はバンダイが引き受けることになったという。実際にトライダーG7は「合体」シリーズで、ダイオージャは「合体」ではないキットでリリースされている。
1984年(昭和59年)にはまだ黎明期だったガレージキットの分野にも進出、『みゆき』や『キャッツ♥アイ』のキャラクターフィギュアをレジンキャストキットでリリースしている。その後専門レーベルである「アルゴノーツ」を1991年(平成3年)に立ち上げ『ターミネーター』『ロボコップ』などのソフトビニールフィギュアやレジンキットを手がけた。
1989年(昭和64年・平成元年)に株式会社となる。模型業界はガンプラブームの後遺症による冬の時代を迎えておりTVアニメのキット化は行なわれていなかった。1997年(平成9年)の『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』、1999年(平成11年)の『勇者王ガオガイガー』からアニメモデルが徐々に復活、他のデコトラ、現用車両のスケールモデルと合わせて主力商品となっている。
2002年(平成14年)には、同年2月20日に会社解散したイマイ社から発売されていたプラ帆船、キャラクターモデル、エアコッキングガン、BBアクションガンの金型を購入し、自社製品として販売し始めた。なお、一部製品は金型の改良が行われている。
[編集] 創造のプラモデル
アオシマは、タミヤやハセガワ等の他のスケールモデルメーカーと比べると、ブランドイメージはあまり良くない。無版権で人気作品によく似たキットをリリースしてきたためと、もう一つ、「合体」シリーズの存在がある。
「合体」シリーズではアニメ・特撮作品では考えられない分割の商品を生み出した。そのキット形態は「首から上が戦車や飛行機に乗っているだけ」などのシュールなデザインから、ナマクビと揶揄されることもしばしばである。
アオシマは一貫してユーザーを楽しませる、プラモデルで遊んでもらうことを主眼におき商品開発を行なってきた。忠実に作品世界を再現しようとする模型の世界では、こうしたメーカーサイドが提案する「遊び」は道を外れている、ということもできる。
しかし、余った部品を組み合わせて自分だけのメカを作る「合体」シリーズの有形ブロック遊びは、タカラトミーのミクロマンやゾイドシリーズ、バンダイのムゲンバインなどにも共通する、ユーザーに好まれる遊びであることは事実である。アオシマのキャッチフレーズであった「創造のプラモデル」はプラモデルを通した遊びを追求した結果生まれた理念でもあった。
[編集] 主な製品
[編集] ウォーターラインシリーズ
- 旧作に関しては長門型などの明らかな考証間違いの製品も多く、リニューアルブーム以前から早期の修正を要望されていた。リニューアルされた製品はインスト(組立説明書)の解説こそ弱点があるが、再現性、部品精度と組立作業性の向上、および比較的安価な価格設定でMG誌をはじめとする模型各誌でも概ね好評価を得ている。ただし一部には異論もあり。
- 長門型戦艦と高雄型巡洋艦、甲型駆逐艦は先行したピットロード社製品と甲乙付けがたい再現性で、特に定評がある。
[編集] 合体マシンシリーズ
- 4つのプラモを組み合わせることにより、1つのロボットやメカを作る事ができるようにしたシリーズ。元々は第1弾のマッハバロンを他メーカーと違う価格帯で発売するため、分割したという苦肉の策だった。
- 1つ1つは500円と低価格で、組み立てがはめこみ式で簡単、ランナーごとに色が違う多色成型と当時の子供たちに好評を博した。更に単価100円のミニ合体マシンシリーズもあった。また、5ミリの共通ジョイントを使用していることから、自由自在な合体が可能で、さながら立体パズルのようだった。容赦のない分割のため、マシン上にロボットの頭だけが乗っているなどのシュールな外観を持つ商品が存在した。また、分割時もそれなりに成立したマシンにしようとしたため、本来のメカを完成させると大量の余剰パーツが出るのが特徴。
- 一般にはロボットを頭・胴体・両腕・両脚に分割した物が知られるが、発売当時の時流に乗って、戦艦やスーパーカーを4分割したシリーズも存在する。
[編集] イデオンシリーズ
- ガンプラブーム期に発売されたイデオンのプラモシリーズ。最初は、1個300円の箱スケールであるアニメスケールの1種として発売されていた。後にユーザーからの要望もあり、1/600の統一スケールでの発売がされた。特筆すべきは、全ての敵メカ(重機動メカ)が統一スケールで立体化された事で、この規模でシリーズ化されたアニメプラモは、1/144のガンダム、1/72のダグラムと当シリーズだけである。近年まで直営通販事業部でロングラン販売され、2005年には「イデオンプラモデル10個セット限定イデオン・コンプリートBOX」が大型玩具量販チェーン向けに発売された。
[編集] デコトラシリーズ
- 1976年(昭和51年)発売。当初は東映の『トラック野郎』のキャラクタープラモデルとして発売予定だった。しかし版権がバンダイに渡ったために、デコレーショントラックを略して「デコトラ」として商標を獲得、電飾を施したトラックのプラモデルをリリースする。第一期シリーズは麦球を細かに配線しなければならず、ユーザーを選ぶキットだった。第二期シリーズからは反射板と大型麦球を用いた簡易なものに換え、第三期からLEDを用いたものになっている。
- 現在もデコトラはアオシマの登録商標である。
[編集] スーパーカーシリーズ
- 1976年(昭和51年)発売。もともと現用車両を得意としていたアオシマのヒット商品。スーパーカーブームは週刊少年ジャンプ連載の『サーキットの狼』からであり、その版権は日東科学が持っていたが、アオシマのランボルギーニ・カウンタックは二度目のプロフィット賞を受賞するほどの大ヒット商品となった。
[編集] 現用車両シリーズ
- 発売されている実際の車をプラモ化したシリーズ。チューニングカー、旧車、VIPカー、タクシー、大型トラックなど、様々なシリーズがリリースされている。ボンネットバスなど希少な車種も立体化している。また、俗に「族車」や「街道レーサー」と呼ばれる暴走族が行なうようなハの字シャコタン、小径ホイールなどの改造を施した「旧四車會」や「ラメSP」というシリーズもリリースしており、根強い人気がある。
- 2005年から日産自動車の意向で、日産車のモデルのみ、こういった改造車のプラモデルが相次いで生産中止、もしくは発売中止となった。この事については様々な憶測があるが、正式な理由は不明である。
- 1/12バイクにも「俺のマシン」という族車仕様のシリーズがありこれらは人気漫画とタイアップして『湘南爆走族』『特攻の拓』『GTO』(車も含む)などのイラスト入りで発売されたものもある。カーモデルの主要シリーズは下記に記す。
- ザ・ベストカーGT
- 最も基本的なシリーズ。スポーツカーやセダンがラインナップされている。ほとんどがノーマルの状態だが、ホイールなどをカスタムされたものもある。
- D1グランプリで活躍しているマシンのモデル。主に人気選手のマシンがラインナップされている。D1コーポレーション公認商品。
- SパッケージバージョンR
- チューニングカーのモデルで、実在のチューニングメーカーやショップのパーツを装備している。
- ザ・ベストカーヴィンテージ
- スーパーVIPCAR
- いわゆるVIPカーのモデル。実在チューニングメーカーのエアロや、大径ホイール等のパーツを装備している。
- 1/24スケール痛車シリーズ
[編集] 大戦機シリーズ
- 1/72の第二次大戦時軍用機シリーズ。ラインナップに「五式戦II型」「烈風」「紫雲」「P-63Aキングコブラ」「カーチスP-36」等のマイナーな軍用機が選ばれており、機種選定において同業他社と差別化されていた。一連の日本海軍水上機キットは長らく唯一のモデルアップだった。昭和30年代に発売された後も幾度か再版されている。
- 1996年よりに真・大戦機シリーズと銘打たれた完全新作の「紫電」「Ta152H」「紫電改」の各種バリエーションキットが発売された。
[編集] ミニファイターシリーズ
[編集] アオシマコミックス
- 合体マシンシリーズオリジナルのロボット・メカを元にした漫画単行本を発売していた事がある。ラインナップは「スペースキャリアレッドホーク」「レッドホークヤマトII」「レッドホーク連合艦隊」「レッドホークシャイアード」「レッドホーク古代ロボゴダイガー」の全5巻、いずれも200ページ前後。作画はいずれも今道英治、原作は「グループ1・2・4・5」等、グループ+数字の列挙の表記になっている。先着順のプレゼントとして児童雑誌等に告知が打たれ、送料分の切手を送ればもらえた他、玩具店での店頭販売、一般書店での流通も行われていた模様。
- タイトルに「レッドホーク」と付くが、アトランジャー等の他のアオシマオリジナルマシンもいくつか作中に登場する。
- また、単品での販売や単行本化はされていないが、上記とは別に合体マシンの各プラモに封入されていた漫画も存在する。
[編集] 参考文献
- 超絶プラモ道2 アオシマプラモの世界 著:はぬまあん 発行:竹書房 ISBN 481240813X
[編集] 関連項目
- 70年代風ロボットアニメ ゲッP-X - 青島文化教材社の協力により「アトランジャー」が出演している。
[編集] 外部リンク
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