霊の戦い
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霊の戦い(れいのたたかい、英語:Spiritual warfare)の語には様々な定義があるが、次の引用文で要約される。
「善と悪の戦い。正しいものと誤り、光と闇との間の戦い。世界の秩序といのちを保つ肯定的な力と、これを破壊しようとする否定的な力の対立。 聖書的な視点からは、この二つの対立が、進行中の戦いであると明らかにされる。天では、主なる神の天使の万軍と、サタンの悪魔の王国が戦い、地上では神の子とされた者が、悪魔の子どもたちと戦う。」
聖書はクリスチャン生活における霊の戦いのイメージを呼び起こす。霊の戦いのイメージの一つはエペソ教会への手紙に見出される。伝統的にこの書簡を書いたのは使徒パウロと見なされている。この書簡の中でパウロは、イザヤ59章17節にならい、ローマ軍の武器にたとえて、霊の戦いについて教えている。
[編集] 古典的な悪魔学
正統的なキリスト教会すべて(東方諸教会、正教会、ローマ・カトリック、聖公会、プロテスタント)は、その伝統において、悪魔、サタンとして知られている堕天使の現実の存在を聖書啓示に基づいて告白した。この確信は、教父たちの文書、初代教会の会議の信条、教派の信仰告白でも確認されている。
キリスト教会の古典的な立場では、サタン、悪魔として知られている堕落した霊的な存在は、世界中で時々その実在を顕示すると信じられている。これらの存在の第一の目的は人間をだますことである。彼らの第一任務は、地上で神の御心がなされるのを妨げ、未信者がキリストを信じられないようにし、クリスチャンがイエスの真の弟子となるのを妨害することである。サタンは「偽りの父」(ヨハネ8:44)、「私たちの兄弟たちの告発者」(黙示録12:10)と呼ばれている。