都営バス港南支所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
都営バス港南支所(とえいバスこうなんししょ)は、港区港南4丁目の海岸通り沿いにある。正式名称は、東京都交通局品川自動車営業所港南支所。都営港南4丁目第2アパートの下層部を使用しており、営業所記号は「Y」を用いる。2008年度よりはとバスへの管理委託が行われた。
目次 |
[編集] 概要
1990年代の末にお台場方面への路線拡大による車両の回送距離を減らし、台場地区の需要の変動に対応することを目的に、当時の目黒営業所(2000年12月以降は支所)の分駐所として開設され、目黒支所の分駐所化に伴い品川営業所の管轄(但し、目黒・港南は一体で、品川本局とは区別されていた)となったのち、2005年3月に目黒分駐所廃止に伴い、支所へと昇格した。同支所の記号は廃止された志村営業所(板橋区東坂下、1982年3月29日に廃止)で使用されていたYである。主力路線は、浜松町駅からお台場地区へのアクセス路線である虹01系統である。
本所には本格的な車両点検の施設がなく、日常の検査以外の修理・点検などは品川営業所で行っている、都バスの車庫でありながら2005年3月まで定期券の窓口販売が行われていなかったなど、異色の存在である。
[編集] 沿革
品川近辺には古くからの品川営業所があったが、その後目黒営業所の周辺が目黒駅再開発のエリアとなるためかなり以前からこの地に移転させる計画があり、昭和末期には当時目黒営業所が受け持っていた田70系統(新宿駅 - 田町駅)や黒10系統(東京駅 - 目黒駅)を中心に移管させ、目黒営業所を閉鎖する計画があったほどである。その後当初の計画は消滅したが、冒頭の目的である台場方面の前線基地のほかに、計画が遅れていたが本家である目黒営業所が再開発の開始で閉鎖されたため、その代替施設としての位置付けもある。用地は元々東京都の宿舎として使用されていた場所であり、東京モノレールの線路の下にあるため、モノレール車内からも車庫構内が見える。当初は目黒営業所港南分駐所と名乗っていた。2005年3月に目黒分駐所廃止に伴い、支所へと昇格した。車両は旧目黒所属車のうち、大型車は全車両港南支所で引き続き使用され、品川とは東98・黒77系統用の車両との交換が行われた。しかし目黒が担当していた路線は、一部を除き品川営業所に所轄変更され、反対に埋立地の路線を中心に港南所轄と変更した。
2008年4月1日から、当支所の全路線がはとバスに管理委託された。[1]。
[編集] 現行路線
[編集] 虹01系統
- 虹01:浜松町バスターミナル - 日の出桟橋 - フジテレビ - 日本科学未来館前 - テレコムセンター駅(←東京ビッグサイト) - 国際展示場駅
- 虹01:浜松町駅(バスターミナル) - 日の出桟橋 - フジテレビ - 日本科学未来館前 -テレコムセンター駅 - 東京ビッグサイト
- 虹01:浜松町駅(バスターミナル) - 日の出桟橋 - フジテレビ(←日本科学未来館前)- テレコムセンター駅
- 虹01出入:港南四丁目(港南車庫)(→東京海洋大学本部→御楯橋) - 五色橋 - 汐路橋 - 日の出桟橋入口 - 浜松町駅(浜松町バスターミナル)
- 備考 東京ビッグサイトのイベント開催に伴う多客時に運行される国展03系統(浜松町駅 - (無停車) - 東京ビッグサイト)も本系統の臨時増発便と位置付けられ、基本的に港南以外は運用に入らない。ピーク時に品川の応援がある程度である。
浜松町駅と国際展示場駅もしくは東京ビッグサイトを結ぶ路線である。
生い立ちは田町からレインボーブリッジまでの路線として開通したものであり、経路上は現路線と関連は薄く、系統番号以外は全く別の路線である。当初はレインボーブリッジ展望台利用客向け観光路線であったが、次第に通勤路線の色合いが強くなり、平日の運行回数も増え、ルートもレインボーブリッジへの直通からダイヤモンドパレス・ピアシティ芝浦などを経由するようになった。また、田町駅は途中で経路変更のため港区スポーツセンター発に変えられた。
しかし、お台場地区の目覚しい発展から路線を設定することとなり、系統番号そのほかを譲ることになる。そして誕生した現在の虹01系統は、浜松町駅からレインボーブリッジ(臨港道路)を渡りお台場へのアクセス手段として機能している系統である。この路線が開通した経緯はフジテレビジョンなどが東京都に対し、通勤のバス路線開設を要請したからであり[要出典]、丁度同テレビ局が曙橋(新宿区河田町)からお台場に移転する直前に開通した。当初は品川営業所との共同運行だったが、一年で共管先が深川営業所に変更となった。その後、りんかい線延伸により需要が減り、ダイヤ改正のたびに減回され、現在ではテレコムセンターを経由せずに運行されるものがなくなった。その結果、運行開始当初は毎時5回程度と運行されていたが現在では日中には毎時3回となる時間もある。
この路線は開通から現在に至るまで、浜松町駅 - 国際展示場駅までが本線であるが、運行は多くが浜松町駅 - 東京ビッグサイトとなっている。
公共車両優先システム(PTPS)を導入しており、信号の優先制御を経路上で実施しているため対応した機器を搭載する必要があるため、PTPS装着車は一般車と区別するため前面にヨットやレインボーブリッジなどのイラストを貼り付けていたが、この路線の専用車は通称「虹バス」と呼ばれる。なお、後に目黒通りにも公共車両優先システム(PTPS)が導入されたため、分註所時代よりPTPS搭載車であれば虹バスでなくとも運用されている。
余談だが本路線を題材としたコンピューターゲームとして『東京バス案内』があり、ゲームの車両は、いすゞ・キュービックの低公害車B626号車で、ゲーム発売当初モデル車輌は新宿営業所所属であったが、後年実際に港南支所に転属となり、ゲーム世界が再現されるという嘘のような本当の話があった。
方向幕だが東京ビッグサイト発着便に(テレコムセンター経由が前面・側面に入っている)を使用している便があるが、この幕は平成18年3月31日まで存在したテレコムセンターを非経由便と経由便を区別するために使用されたコマだが、平成18年4月1日より全便がテレコムセンター経由となってたため、LED表示器の場合テレコムセンター経由の文字が前面から省略されたが、平成20年4月の管理委託により再び表示されるようになった。
本数が少なく、竹芝桟橋(竹芝駅)からは新交通ゆりかもめと路線が重複しているものの、運賃は1乗車200円で、ほかの都営バスと同様に都営バスの23区内一日乗車券(500円)や都電・都バス・都営地下鉄一日乗車券(700円)などが利用できるため、ゆりかもめやりんかい線を利用するよりも安く都心から臨海副都心へ行くことが出来る。
レインボーブリッジが通行止めになるとこの路線は浜離宮 - 勝どき - 晴海 - 豊洲 - 有明と非常に大回り迂回されることとなる。ただし、レインボーブリッジ上層部の首都高速台場線が通行止めになっても下の一般道は開通していることが多いため迂回運行はあまり行われていない。
[編集] 反90系統
- 反90:五反田駅 - 高輪一丁目 - 田町駅 - (東京港口→)三田駅
- 1950年5月15日:122系統として、久が原 - 五反田駅 - 田町駅 - 東京駅八重洲口線が東急電鉄バスとの相互乗り入れにより運行を開始する。
- 1951年5月10日:多摩川大橋 - 東京駅間に延長。
- 1959年6月2日:日本橋室町経由となる。(後年、日本橋室町経由は中止)
- 1970年9月21日:多摩川大橋 - 五反田駅間を廃止し、東急電鉄バスとの相互乗り入れも終了する(後に東96系統へ)。
- 1982年12月26日:五反田駅 - 田町駅 - 一ノ橋 - 清正公 - 五反田駅に変更する。系統番号を反96にする。
- 1990年6月30日:系統分割により、反90乙・五反田駅 - 田町駅と反96・五反田駅 - 赤坂アークヒルズ - 新橋駅に変更する。
- 2000年12月12日:路線再編に伴い、反90甲系統がなくなるため、反90系統に変更。
- 2008年4月1日:はとバス委託系統となり、港南支所に移管。
かつては東京駅まで走っていた路線であるが、JR山手線や地下鉄浅草線に並行するため、東京駅側が廃止された。その後も大きく路線再編の影響を受けて、昔日の面影はなくなってしまっている。
高輪台駅前 - 田町駅前は比較的狭隘な道路を走行するため、普段は中型車で運行される。本数は大きく減少しており、現在では朝間を除き終日1時間に1本である。
[編集] 反94系統
- 反94:五反田駅 - 高輪台駅 - 明治学院 - 魚籃坂下 - 古川橋 - 麻布十番駅 - 赤羽橋駅
- 2008年4月1日:はとバス委託系統となり、港南支所に移管。
五反田駅を出ると桜田通りに入り高輪台駅前、明治学院前を経由し、魚籃坂下交差点で桜田通りを離れ、古川橋、一ノ橋交差点を経て、再び桜田通り付近の赤羽橋駅前に至る路線である。麻布十番駅前 - 赤羽橋駅前は、都06の赤羽橋駅前発着便と同じく、古川を挟んで上下で別のルートとなっている。魚籃坂下 - 麻布十番駅前は反96本線と平行しており、高輪台駅前 - 魚籃坂下が独自区間となっているが、2000年の東京メトロ南北線および都営三田線・大江戸線の相次ぐ延伸開業により、この区間では徐々に本数を減らし、現在1日7往復が残るのみである。これは系統単独では山手線の内側で完結する路線バスの中で最も少ない。また、独自区間での乗降もあるが、五反田駅 - 麻布地域での利用が多く、また定時性も良いため事実上反96の短絡ルートとなっている。
なお、赤羽橋駅前停留所から大江戸線赤羽橋駅の間は若干離れている。
運行形態は、平日、土休日とも朝3往復、夕4往復で、ともに約1時間おきの運行となっている。また、赤羽橋駅前に到着した便は、発車時刻まで待機し、そのまま五反田駅行の便となる。
[編集] 井96系統
- 井96 大井町駅東口→青物横丁→都立八潮高校→天王洲アイル(パークスクエア)→南馬場→青物横丁→大井町駅東口(天王洲アイル循環:反時計回り)
- 1994年7月21日:品91折返系統を改称、井96系統とする
- 2002年2月25日:天王洲橋→青物横丁間を南馬場経由とする
- 2005年3月28日:品川営業所から港南支所へ所管変更
- 2008年4月1日:はとバス委託系統となる
井96系統は大井町駅を出発後、青物横丁を基点に反時計回りで天王洲地区を経由し再び青物横丁から大井町駅へ至る、いわゆるラケット型の循環路線である。1992年9月に当時の品91折返系統として、大井町駅と天王洲地区のアクセス向上を目的に開通したが、当初は平日のみの運行だった。その後大井町駅に関係する系統の再編により、井96系統として独立。さらに2002年2月には品91・品98系統の再編に伴う補強として、大井町方面行きの南馬場経由化、土曜休日の運転開始・ダイヤ増発が行われ、段階的に規模を大きくしてきた路線である。2005年3月に港南分駐所の支所格上げに伴い、品川営業所より移管された。
ダイヤは品川営業所時代に上記の経緯で拡充され、2002年12月のりんかい線全通にもほぼ影響を受けなかったものの、港南支所移管時に大幅減便され、特に土曜休日は終日毎時1 - 2本まで減回されている。
[編集] 品97系統
- 品97:新宿駅西口 - 新宿追分 - 信濃町駅 - 青山一丁目駅 - 天現寺橋 - (←泉岳寺、高輪警察署→) - 品川駅(平日、土曜)
- 品97:新宿駅西口 - 歌舞伎町 - 信濃町駅 - 青山一丁目駅 - 天現寺橋 - (←泉岳寺、高輪警察署→) - 品川駅(日曜、祝日)
※杉並支所の記事を参照
[編集] 品98系統
- 品98甲:品川駅東口 - 天王洲橋 - 2号バース - 大田市場
- 品98乙:品川駅東口 → 天王洲橋 → 2号バース → 大井埠頭バンプール(朝のみ運行)
- 品98丙:品川駅東口 - (急行) - 大田市場 平日・土曜早朝1本のみ(市場定休日は運休)
大田区を走行する唯一の都営バス路線。大井埠頭のコンテナターミナルや東京中央卸売市場大田市場への通勤・用務を目的としている。かつては東京港野鳥公園・大井埠頭中央公園を経由して大井町駅まで直通していた。この路線には早朝の5時台に市場関係者の利用があることから、品川駅から直行の急行便が設定されており、各停便と走行ルートが異なっている。かつては3本運行されていたが、現在は1本のみである。品川駅東口発は5:32(2007年10月現在)であり、始発電車に乗ってこの時間に間に合うエリアは非常に限られる。梅78系統と並んで都営バス屈指の乗車困難路線とも言われており、物理的に間に合わない分だけ梅78系統よりも乗車困難と言えたが、2008年3月31日に品川駅方面が廃止された結果、安田倉庫バス停は廃止となった。
この路線は在京の阪神ファンの間ではよく話題になる路線であるが、その訳は大井埠頭のあたりに「○号バース」と名のつくバス停が連続して複数存在し、かつて在籍したランディ・バースのホームランを連想させるためである。
[編集] 東98系統
- 東98:東京駅丸の内南口 - 経済産業省 - 東京タワー - 慶應義塾大学 - 目黒駅 - 清水 - 都立大学駅北口 - 等々力七丁目 - 等々力駅←等々力操車所
- 東98:東京駅丸の内南口→経済産業省→東京タワー→慶應義塾大学→目黒駅(終車)
- 東98:目黒駅 - 清水 - 都立大学駅北口 - 等々力七丁目 - 等々力駅←等々力操車所(出入庫)
東急バス目黒営業所との共同運行路線である。都営・東急共に、中型長尺ノンステップバス使用が基本。
東京駅丸の内南口を起点に、日比谷、赤羽橋駅、白金台駅、目黒駅、都立大学駅を経由して、東急大井町線等々力駅に至る東急バスとの共同運行路線である。路線長が長いことから、都が警視庁と共同で行っている公共車両優先システム(PTPS・信号機制御)の導入路線となっている。
地下鉄網が現在よりも恵まれなかった頃は、この路線以外にも都心・郊外直通型の相互乗り入れ路線が数多く存在したが、交通事情により大部分が分割・短縮され、1984年2月16日より都営と東急が共同運行を行う唯一の路線となっただけではなく、大手民営バスが都心部まで乗り入れる光景が見られる唯一の路線ともなった。
- 等々力方向は等々力駅前(東急の等々力停留所)で営業を終了する。
- なお、共同運行の東急バスは往復とも等々力操車所発着で営業する。
- 方向幕の行先表示は単に「等々力」となっている。なお、東急バスでは、「等々力操車所」となっている。
[編集] 品99系統(無系統)
- 品99出入:品川駅東口 - (無停車) - 港南四丁目(港南車庫構内)
現在は品川埠頭循環線が品川営業所に移管されたため、出入庫系統のみの運行である。
[編集] 田99系統
- 田99 品川駅東口 - 五色橋 - 芝浦埠頭 - (港区スポーツセンター→)田町駅東口
- 1967年10月10日:39系統開通。朝夕のみの運行。
- 1998年4月17日:品川営業所から目黒営業所に移管する。
- 2000年12月12日:目黒営業所の支所格下げに伴い、港南分駐所所管に変更する。(もとから目黒港南担当ではあった)
- 2002年12月1日:虹02系統(品川駅東口 - 東京テレポート駅)の廃止に伴い、日中の運転を開始する。
- 2002年4月1日:品川営業所に移管する。
- 2004年4月1日:経路変更を行う。(品川駅東口近辺、田町駅東口近辺など)
- 2005年3月28日:港南支所に移管する。
- 2006年4月1日:潮路橋経由から芝浦埠頭経由に、港南中学校経由から浜路橋経由に変更する。
- 2007年3月26日:従来の田町駅方向に加え、品川駅方向も御楯橋経由とする。
- 2008年4月1日:はとバス委託系統となる。
設定当初は、朝夕のみの運行であったが、2002年12月の虹02系統(新)の廃止により、日中の運行が開始された。
また、2004年4月に田町駅東口の交通広場完成に伴い、ルートの変更を行った。
なお、田92系統との誤乗防止のため方向幕は深緑色である。
[編集] 廃止・移管系統
[編集] 波01系統
品川営業所・深川営業所に移管。
[編集] 品93系統
品川営業所単独に変更。
[編集] 品98・品99系統
品川営業所に再移管。
[編集] 速01系統
- 速01:東京駅 - お台場海浜公園駅 - 船の科学館駅 - パレットタウン(循環)
レインボーブリッジを経由して東京駅と臨海副都心を結んでいた。開設当初は都市新バスの経年車を使用して東京駅八重洲南口から発着していたが、2000年春に貸切車を転用してからは有楽町・銀座を経由して東京駅丸の内南口発着に変更され、専用車はアクアシティお台場またはヴィーナスフォートのラッピング装飾が施された。運賃は大人300円・小児150円で、2000年からは誕生日に乗ると身分証明書の提示で運賃が無料になる特典が設けられた。2003年3月末に廃止。
[編集] 備考
- 指定車種:日野自動車 ただし、B626、C768 - C770、M178、M200 - M202はいすゞ自動車、P443-P445は日産ディーゼル かつては三菱製のH169も所属。(2007年3月に青戸へ転属)
- 音声合成:クラリオン→レゾナント・システムズ
- 案内装置:LECIP
[編集] 脚注
- ^ はとバス路線バス乗務員募集要項内で、新規事業所として港南支所が掲載されている。
|
|
---|---|
品川(A) ・ 渋谷(B) ・ 新宿(C) ・ 杉並(D) ・ 堀の内(廃止)(D) ・ 小滝橋(E) ・ 練馬(F) ・ 大塚(G) ・ 千住(H) ・ 南千住(K) ・ 新谷町(廃止)(K) ・ 青戸分駐(廃止)(K) ・ 江東(L) ・ 目黒(廃止)(M) ・ 北(N) ・ 滝野川(廃止)(N) ・ 巣鴨(P) ・ 臨海(R) ・ 江戸川(廃止)(R) ・ 東荒川(廃止)(R) ・ 深川(S) ・ 洲崎(廃止)(S) ・ 早稲田(T) ・ 戸山(廃止)(T) ・ 今井(廃止)(U) ・ 江戸川(現)(V) ・ 葛西(廃止)(V) ・ 青梅(W) ・ 八王子(廃止)(X) ・ 港南(Y) ・ 志村(廃止)(Y) ・ 青戸(Z) |