河田敬義
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河田 敬義(かわだ ゆきよし、1916年1月15日 - 1993年10月28日)は、日本の数学者。東京大学名誉教授、第6代統計数理研究所所長。正四位勲二等理学博士。
代数的整数論から確率論に至る数学の幅広い分野で重要な業績を残し、特に類体の理論を代数体だけでなくアーベル拡大の理論に適用して類体論を再構成したことは国際的にも高い評価を得ている。また、国内外の数多くの委員会委員を兼務し、(社)日本数学会では理事長(1966年度、1968年度)の期間も含め長年理事を務めている。これ等の学問的および学術行政的業績により、1977年(昭和52年)11月3日に紫綬褒章、1986年(昭和61年)11月3日に勲二等瑞宝章、1993年(平成5年)10月28日正四位叙位を授与された。
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[編集] 学歴
- 1935年(昭和10年) 3月 東京高等学校理科乙類卒業
- 1935年(昭和10年) 4月 東京帝国大学理学部数学科入学
- 1938年(昭和13年) 3月 同 卒業(理学士)
- 1938年(昭和13年) 4月 東京帝国大学大学院入学
- 1939年(昭和14年) 7月 同 退学
[編集] 学位
- 1945年(昭和20年)12月 理学博士(東京大学)
[編集] 賞罰
[編集] 職歴
- 1938年(昭和13年) 4月 東京帝国大学副手(理学部)
- 1939年(昭和14年) 7月 東京帝国大学助手(理学部)
- 1941年(昭和16年) 3月 東京文理科大学講師
- 1941年(昭和16年)10月 東京文理科大学助教授
- 1950年(昭和25年) 3月 東京大学教授(教養学部)
- 1953年(昭和28年) 5月 東京大学大学院担当(数物系数学専門課程)
- 1955年(昭和30年) 4月 東京大学理学部(数学第5講座/第1講座担当)
- 1976年(昭和51年) 3月 東京大学定年退官
- 1976年(昭和51年) 5月 東京大学名誉教授
- 1976年(昭和51年) 4月 上智大学教授(理工学部・数学科)
- 1986年(昭和61年) 3月 上智大学定年退職
[編集] 併任
- 1947年(昭和22年) 7月 - 1949年(昭和24年) 4月 統計数理研究所所員(文部技官)
- 1964年(昭和39年) 4月 - 1965年(昭和40年) 3月 京都大学(数理解析研究所)教授
- 1971年(昭和46年) 3月 - 1974年(昭和49年) 2月 統計数理研究所所長
- 1980年(昭和55年) 4月 統計数理研究所名誉所員
[編集] 非常勤講師
- 1955年(昭和30年) 4月 - 1957年(昭和32年) 3月 立教大学理学部(大学院)
- 1956年(昭和31年) 2月 - 1956年(昭和31年) 3月 広島大学理学部(集中講義)
- 1956年(昭和31年) 7月 - 1956年(昭和31年)12月 金沢大学理学部(集中講義)
- 1956年(昭和31年)10月 愛媛大学理学部(集中講義)
- 1957年(昭和32年) 4月 - 1958年(昭和33年) 3月 京都大学理学部(集中講義)
- 1958年(昭和33年) 4月 - 1959年(昭和34年) 3月 立教大学理学部
- 1958年(昭和33年)12月 - 1959年(昭和34年) 2月 金沢大学理学部(集中講義)
- 1964年(昭和39年)10月 - 1965年(昭和40年) 3月 九州大学理学部(集中講義)
- 1972年(昭和47年)12月 静岡大学理学部(集中講義)
- 1973年(昭和48年) 4月 - 1975年(昭和50年) 3月 東京理科大学理工学部
- 1982年(昭和57年)10月 - 1983年(昭和58年) 3月 山口大学理学部(集中講義)
[編集] 各種委員等(国内)
- 1954年(昭和29年) 9月 - 1956年(昭和31年) 8月 統計数理研究所評議員(文部省)
- 1955年(昭和30年) 代数的整数論国際会議組織委員
- 1960年(昭和35年) 7月 - 1975年(昭和50年) 3月 日本学術会議数学研究連絡委員
- 1964年(昭和39年) 3月 - 1965年(昭和40年) 8月 国家公務員採用上級試験専門委員(人事院)
- 1966年(昭和41年) 4月 - 1967年(昭和42年) 4月 (社)日本数学会理事長
- 1967年(昭和42年)11月 - 1969年(昭和44年)10月 教科書用図書検定調査審議会委員(文部省)
- 1968年(昭和43年) 4月 - 1969年(昭和44年) 4月 (社)日本数学会理事長
- 1969年(昭和44年) 関数解析国際会議組織委員
- 1969年(昭和44年) 4月 - 1977年(昭和52年) 3月 京都大学数理解析研究所運営委員(文部省)
- 1972年(昭和47年) 8月 - 1978年(昭和53年) 3月 大学設置審議会専門委員(文部省)
- 1973年(昭和48年) 多様体論国際会議組織委員
- 1973年(昭和48年) 1月 - 1975年(昭和50年) 3月 統計数理研究所評議員(文部省)
- 1973年(昭和48年) 9月 - 1981年(昭和56年) 3月 一般教育視学委員(文部省)
[編集] 各種委員等(国際)
- 1970年(昭和45年) 1月 - 1974年(昭和49年)12月 Member of Executive Committee of IMU (International Mathematical Union)
- 1974年(昭和49年)10月 - 1978年(昭和53年) 8月 Member of Consultative Committee of International Congress in 1978 at Helsinki
- 1975年(昭和50年) 1月 - 1979年(昭和54年)12月 Secretary of ICMI (International Commission on Mathematical Instruction)
- 1975年(昭和50年) 1月 - 1978年(昭和53年)12月 Member of Executive Committee of IMU
- 1978年(昭和53年) 8月 - 1993年(昭和 5年)10月 Member of Advisory Committee of SAMS (Southeast Asia Mathematical Society)
- 1979年(昭和54年) 1月 - 1982年(昭和57年)12月 Member of ICMI
[編集] 所属学会
- (社)日本数学会 理事長、理事、評議員、数学編集委員、Journal編集委員、監事等を務める。
- 日本数学教育学会
- 日本科学教育学会
- 日本統計学会
[編集] 海外渡航および短期出張
- 1952年(昭和27年) 7月 - 1954年(昭和29年) 5月 アメリカ合衆国 Princeton 高級研究所(Member)
- 1962年(昭和37年) 4月 - 10月 ブラジル(バイーア大学他)およびアメリカ合衆国(ジョンズ・ホプキンス大学、ハーバード大学等)
- 1966年(昭和41年) 8月( 4週間) ソビエト(Moscow Congress およびIMU総会出席)他ヨーロッパ諸国
- 1969年(昭和44年) 7月 - 8月(5週間) アメリカ合衆国(AMS(Amercan Mathematical Society)夏期研究会)、(Suny at Stony Brook 出席)
- 1971年(昭和46年) 5月( 8日間) スイス(Zurich IMU Executive Committee出席)
- 1972年(昭和47年) 6月( 9日間) イギリス(London IMU Executive Committee出席)
- 1973年(昭和48年) 5月( 8日間) ドイツ(Frankfurt IMU Executive Committee出席)
- 1974年(昭和49年) 3月(14日間) スイス(Zurich IMU Executive Committee出席 および ETH)
- 1974年(昭和49年) 8月(18日間) カナダ(IMU Vancouver Congress IMU および総会出席)
- 1976年(昭和51年) 5月( 6日間) フィンランド(Helsinki Consultative Committee of International Congress 出席)
- 1976年(昭和51年) 8月(16日間) ドイツ(Karlsruhe ICMI Congress 出席)
- 1977年(昭和52年) 9月(10日間) フランス(Paris ICMI Consultative Committee of International Congress 出席)
- 1978年(昭和53年) 8月(18日間) フィンランド(IMU Helsinki Congress IMU および総会出席)
- 1979年(昭和54年) 2月( 9日間) フィリピン(Manila 学術調査(日本学術振興会))
[編集] 主な著書
- 『確率論』、共立出版、1948
- 『自然数論』、河出書房、1948
- 『積分論』、東海書房、1950
- 『数理統計:基礎課程』、裳華房、1951、(丸山文行と共著)
- 『解析幾何学』、丸善出版、1951、(田村二郎・岩堀長慶と共著)
- 『微分式論:(Grassmann代数とLie群)』、河出書房、1951
- 『位相幾何学』、朝倉書店、1952、(竹内外史と共著)
- 『位相数学』、共立出版、1956
- 『代数的整数論』、共立出版、1957
- 『積分論』、共立出版、1959
- 『位相解析の基礎』、岩波書店、1960、(吉田耕作・岩村聯と共著)
- 『数理統計:大学演習』、裳華房、1962、(丸山文行・鍋谷清治と共著)
- 『位相幾何学』(現代数学演習叢書)、岩波書店、1965、(編)
- 『現代数学概説II』、岩波書店、1965、(三村征雄と共著)
- 『数理統計:基礎課程』、裳華房、1966、(丸山文行と共著)
- 『位相幾何学』、朝倉書店、1967、(大口邦雄と共著)
- 『代数曲線論入門』、至文堂、1968
- 『自然数論』、森北出版、1968
- 『位相幾何学演習』、朝倉書店、1968、(大口邦雄と共著)
- 『現代数学小径』、日本評論社、1974
- 『1930年以前のアメリカ数学小史』、上智大学数学講究録、1985
- 『ガウスの楕円関数論』、上智大学数学講究録、1986
- 『標数pの局所類体論』、上智大学数学講究録、1989、(関口晃司と共著)
- 『線型空間・アフィン空間』、岩波書店、1990、(伊原信一郎と共著)
- 『ホモロジー代数』、岩波書店、1990
- 『数学の歴史Ⅶa、19世紀の数学、整数論』、共立出版、1992
- 『数論(古典数論から類体論へ)』、岩波書店、1992
- 『日本の数学百年史 付録 1、1945年以前の欧文論文目録』、上智大学講究録、1993
[編集] 主な著書(編)
- 『岩波数学辞典(第2版)』、岩波書店、1968、(日本数学会編集)
- 『Encyclopedic Dictionary of Mathematics』、MIT Press、1977、(弥永昌吉と連名)
- 『日本の数学百年史 上・下』、岩波書店、1983-1984
- 『追想高木貞治先生』、高木貞治先生生誕百年記念会、1986
[編集] 主な著書(雑誌編集)
- 1958年(昭和33年) - 1975年(昭和50年) Annals of Mathmatics (Associate Editor)
- 1969年(昭和44年) - 1982年(昭和57年) Journal of Number Theory (Editor)
- 1977年(昭和53年) - 1987年(昭和62年) Tokyo Journal of Mathmatics (Editor in chief)
[編集] その他(参考)
- 『柔らかい頭と強い腕-河田敬義追想集-』、聖学院ゼネラル・サービス出版部、1994.9.27、(河田敬義追想集編集委員会)
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