巻雲
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巻雲 |
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略記号 | Ci |
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雲形記号 | 、、または |
類 | 巻雲 |
高度 | 5,000~13,000 m |
階級 | A族 層状雲(上層雲) |
特徴 | 薄く、細いすじ状 |
降水の有無 | あり(地上に達しない尾流雲) |
巻雲(けんうん、ラテン語学術名Cirrus、略号Ci、シーラス)は雲の一種。絹雲と書かれることもある。俗称ですじ雲、はね雲、しらす雲とも呼ばれる。
国際的な雲形の分類である十種雲形の1つで、略号はラテン語の学術名Cirrusの頭2文字をとったCiである。 Cirrusは巻き毛を意味する。刷毛で白いペンキを伸ばしたように、あるいは櫛で髪の毛をすいたように見える、細いすじ状の形の雲が集まった形をした雲で、影がない。
単純にまっすぐに伸びたものだけでなく、頭の部分が鉤型に反り返っていたり、綿状のかたまりになっているものなどバリエーションがあり、それによって毛状雲・鉤状雲・濃密雲・塔状雲・房状雲に細分類される。対流圏の上部、高度5 - 13kmの高さに発生し、氷晶からできている。
中緯度地方では春や秋に多く見られるが、これはその時期に中緯度地方上空に位置するジェット気流に巻雲が伴うことが多いためである。 ジェット気流に伴うこの巻雲をジェット巻雲という。 ジェット巻雲の代表的な例としてシーラスストリークとトランスバースラインがある。 シーラスストリークはジェット気流の強風域の高緯度側に気流と平行な方向に並ぶ細長い筋状の巻雲である。 トランスバースラインはジェット気流の強風域にそれと垂直な方向に並んで発生する波状の巻雲列である。 トランスバースラインの発生する部分には乱気流が発生していることがしばしばある。
積乱雲が発達して対流圏界面に達すると雲頂から風下側に雲が吹き流されて、巻雲となることがある。
温暖前線や熱帯低気圧が接近してくるとき最初にあらわれるのが巻雲である。そのため巻雲が空一面に広がると雨が近いといった言い伝え(気象伝承)が知られている。
雲形 | |
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高積雲 高層雲 乱層雲 | |
層積雲 層雲 |