実体二元論
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実体二元論(じったいにげんろん、英:Substance dualism)とは、心身問題に関する形而上学的な立場のひとつで、この世界にはモノとココロという本質的に異なる独立した二つの実体がある、という考え方。実体二元論という一つのはっきりとした理論があるわけではなく、一般に次の二つの特徴を併せ持つような考え方が実体二元論と呼ばれる。
代表的な実体二元論として17世紀のフランスの哲学者ルネ・デカルトの唱えた理論がある。これはデカルト二元論(Cartesian dualism)と呼ばれ、実体二元論の代表的理論として取り扱われている[1]。
また歴史的に最も最近、実体二元論を唱えた人物としては、20世紀のオーストラリアの神経生理学者ジョン・エックルズ[2]が有名である。エックルズはしばしば、最後の二元論者として扱われる[3]。
実体二元論は歴史的・通俗的には非常にポピュラーな考えではあるが、現代の専門家たちの間でこの理論を支持するものはほとんどいない[4][5][6][7]。その理由は端的にガリレイ・ニュートン以後蓄積されてきた自然科学の知識と整合性を持ってこの理論を主張することが難しいためである。
目次 |
[編集] 歴史
[編集] 問題点
[編集] 因果的閉鎖性
[編集] エネルギー保存則
[編集] 準備電位
[編集] 脚注
- ^ Pete Mandik "Substance dualism" Dictionary of Philosophy of Mind 2004年 以下冒頭文より引用 "Perhaps the most famous proponent of substance dualism was Descartes"
- ^ カール・ポパー (著), ジョン・C・エックルス (著), 大村裕 (翻訳), 沢田允茂 (翻訳), 西脇与作 (翻訳) 『自我と脳』 新装版 新思索社 2005年 ISBN 978-4783501374
- ^ 芋阪直行編 下條信輔・佐々木正人・信原幸弘・山中康裕著 『意識の科学は可能か』 p.9 新曜社 2002年 ISBN 4788508001
- ^ ジョン・サール著 山本貴光・吉川浩満 訳 『MiND 心の哲学』 朝日出版社 2006年 ISBN 4-255-00325-4 第二章 第一節 「二元論の困難」pp.64-72 以下p.64より引用。「実体二元論に基づけば、肉体が滅びた後も魂は生きつづけられるという結論が導かれる。そしてここから、死後の生があると信じる信仰者たちに訴えるものの見方が生み出される。だが専門家たちのあいだでは、実体二元論はもはや検討にも値しないと考えられている。」
- ^ ダニエル・デネット著 山口泰司 訳 『解明される意識』 青土社 1998年 ISBN 4-7917-5596 第二章 第四節「二元論はなぜ見捨てられるのか」pp.50-58
- ^ 西脇与作 『もの、命、心の科学と哲学<下>』「第二節 現代の常識はデカルトの意見」 オンラインマガジンゑれきてる 東芝発行 2004年
- ^ Nicholas Everitt "Substance Dualism and Disembodied Existence" Faith & Philosophy, Vol. 17, No. 3 (2000), pp. 331-347. 以下冒頭文より引用 "Substance dualism, that most unpopular of current theories of mind,"
[編集] 関連項目
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概念 | 心 - 意識 (現象的意識 - クオリア) - 心身問題 - 説明のギャップ - 意識のハード・プロブレム - 付随性 - 因果的閉包性 - 自由意志 - 汎心論 - カルテジアン劇場 - 認知的閉鎖 |
一元論 | 物理主義(唯物論 - 行動主義 - 機能主義 - 計算主義) - 唯心論 |
二元論 | 存在論(実体二元論 - 性質二元論 - 記述二元論) - 因果関係(相互作用説 - 随伴現象説 - 並行説) |
思考実験 | チューリング・テスト - 中国語の部屋 - 哲学的ゾンビ - マリーの部屋 - - 水槽の脳 - スワンプマン |
人物(日本国外) | デイヴィッド・チャーマーズ - ジョン・サール - ダニエル・デネット - ポール・チャーチランド - パトリシア・チャーチランド - コリン・マッギン - フランシス・クリック&クリストフ・コッホ -ジェラルド・イーデルマン&ジュリオ・トノーニ |
人物(日本) | 信原幸弘 - 金杉武司 - 柴田正良 - 河野哲也 - 西脇与作 / 前野隆司 - 茂木健一郎 - 郡司ペギオ幸夫 |
関連項目 | 理論物理学 - 脳 - 神経科学 - 認知科学 - 心理学 - 進化心理学 - 現象学 - 言語哲学 - 科学哲学 |