完全自殺マニュアル
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完全自殺マニュアル(かんぜんじさつマニュアル)は、鶴見済の著書。 ISBN 9784872331264。 1993年に日本の太田出版より刊行され、100万部を売上げる、ベストセラーになった。
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[編集] 概要
自殺の方法の説明、分析を行った内容で、この本を元に自殺する者が後を絶たないため、日本の自治体においては有害図書に指定されるなど物議を醸した。これに対し著者の鶴見は、読者からの手紙やマスコミのバッシングに答える形で翌年『ぼくたちの「完全自殺マニュアル」』(太田出版)を出版し、事態は沈静化した。日本では社会的問題となった。
2003年には、この本をモチーフとした映画『自殺マニュアル』『自殺マニュアル2』が制作され、話題となった。
[編集] 内容
完全自殺マニュアルには、首吊り・服毒・入水・飛び降り・列車への飛び込み・焼身・手首を切る(リストカット)・凍死・感電・ガス中毒などの自殺手段のほか、見苦しさ・苦痛・致死度・手間などを項目別に髑髏印をつけ、実際に自決する時のリスクなどを具体的に記載している。なお、本書が推奨している自殺方法は、首吊りである。
記載内容には、読者に自殺を促す項目も、それを阻止する項目もない。あるのは自殺の具体的な手段と、死に至る経過と結果のデータのみである。前書きの項目には、自殺に否定的な世の中に「なぜ生きなければならないのか」と言う問いかけがあり、「おわりに」で本人が、前書きの文章は取ってつけたようなものであり、「生きたけりゃ勝手に生きればいいし、死にたければ勝手に死ねばいい」と書いている。
[編集] 評価
一部は、「自殺者を出した問題作」と完全批判をしている。また、一部では「死に向き合う事で“生きよう”と思った」と絶賛しており、問題作によく見られる「賛否両論」である。しかし、両者が挙げるのは「なぜ著者はこれを書き、死ぬ権利を主張したのか」であり、『ぼくたちの「完全自殺マニュアル」』ではその問いに答えられていない為、疑問が残ったのだと言える。
後に鶴見は、「一生懸命な人生を強いられている人々から不安を少しだけ和らげる、この本はそんな存在であってほしいと思った。本当の話、読者には生きてほしいと思っていた」と語った。
また、書籍に記載されていた薬物の致死量等のデータに関しては、あまり正確ではなかった[1]。
[編集] 脚注
- ^ 河上イチロー 「Chapter 2 ドクター・キリコ事件報道のウソを暴く!!」『サイバースペースからの攻撃』 雷韻出版、1999-05-15、初版、153ページ。ISBN 4-947737-06-9。