地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン
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『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(ちきゅうこうげきめいれい ゴジラたいガイガン)は1972年に公開された日本映画で、ゴジラシリーズの第12作である。1972年3月12日公開。観客動員数は178万人。併映は『帰ってきたウルトラマン』、『天才バカボン』、『昆虫物語 みなしごハッチ』、『ミラーマン』、『かしの木モック』。登場する怪獣はゴジラ、アンギラス、ガイガン、キングギドラ。
ラドン、モスラ(幼虫)、カマキラス、ゴロザウルス、クモンガ、ミニラがライブフィルムで登場した。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 概要
第二次怪獣ブームの真っ只中に製作された作品だが、全盛期に比べて製作予算が削られたため、作品における特撮シーンには、過去の作品から大量にライブフィルムが流用されている(この手法は次回作の『ゴジラ対メガロ』にも受け継がれる)。音楽も新録音ではなく、全編にわたって伊福部昭の曲が本人に無断で流用されている。
上記のような理由から酷評するファンも少なくないが、一方で“宇宙人の正体が実はゴキブリであった”などの意表を突くストーリーや、新怪獣ガイガンのデザイン、人気怪獣アンギラスの活躍、圧倒的に不利な状況に陥りながらも最後には逆転勝利するゴジラ&アンギラスなど見所は多く、この作品を絶賛する声も多い。
科学万能主義に対するアンチテーゼがあり、「なぜだ……圧倒的な科学力を誇っていた我々が……なぜだ……」と言い残し絶命する宇宙人に対して、「素朴の勝利」と作品では断言される。さらには「科学が発達しすぎると平和は遠のいて行くかもしれない」という名台詞を残した。
元々はゴジラ、ガイガンの他に、ラドン、バラン、メガロ、モグ(新宇宙怪獣)が登場する予定であった。メガロのみ次回作でデビューした。
本作は、第1作『ゴジラ』から一貫してゴジラを演じ続けてきた中島春雄の最後のゴジラ作品でもある。
[編集] ストーリー
売れない劇画家の小高源吾は、マネージャー・友江トモ子がとってきた、現在建設中の「世界子供ランド」の怪獣デザインの仕事にありつく。だが、子供ランドの会長はまだ少年であり、事務局長の久保田と共に何やら不思議な人物であった。
そんな中、「子供ランド」のオフィスの前で、小高は久保田たちに追われていた一人の女が落とした奇妙なテープを拾う。後に追われていた女・志摩マチ子と知り合った小高は、子供ランドにマチ子の兄・志摩武が監禁されているのではないかとの話を聞く。不審に思った小高は、マチ子が子供ランドから奪ったテープを再生してみた。しかしそのテープからは奇妙な電子音のみが流れ、一体何なのかはわからぬままだった。
実は子供ランドの職員は地球征服を狙うM宇宙ハンター星雲人の面々で、テープの内容は宇宙怪獣のガイガンとキングギドラを呼び寄せるためのものだった。それに応え、宇宙から飛来するガイガンとキングギドラ。テープの電子音に気付いたゴジラは異常を感じ、アンギラスを偵察に向かわせる。しかし、相模湾に上陸したところで防衛隊の攻撃に追い返されてしまった。
その隙に、キングギドラとガイガンは東京に飛来。防衛隊の攻撃をものともせず、東京から月の瀬海岸のコンビナートを徹底的に破壊した。そこに遂にゴジラがアンギラスと共に上陸する。かくして、ゴジラ・アンギラス対ガイガン・キングギドラの壮絶な流血戦が開始された。
[編集] M宇宙ハンター星雲人
宇宙恐竜をサイボーグ化しガイガンを作り上げた張本人。外見は地球人だが、これは死体をユニフォームのように着ているためで、正体は地球のゴキブリのような生き物である。かつて彼らの星は地球と同様に人類が支配していたが、遥か昔に環境汚染で滅亡してしまった。やがてその環境でさえも生存可能な、知能を持ったゴキブリのような生物が君臨する。その末裔がM宇宙ハンター星雲人である。ガイガンとキングギドラをテープのようなもので操り、ゴジラとアンギラスを苦しめたが、コントロールセンターを破壊されて倒された。正体が明かされるシーンでは実際のゴキブリが使われている。
『ゴジラ対メガロ』には名前だけ登場し、海底王国シートピアとは友好関係という設定だった。シートピアから応援を要請されたのではM宇宙ハンター星からガイガンを送り込んだ。
特撮テレビ番組『ゴジラアイランド』にも登場している。
[編集] その他
- この作品には、ゴジラとアンギラスによるふきだしでの会話シーンが存在する。あまりに年少向けの演出ということで、いわゆる「オールドファン」への受けは良くはないが、当時の子供たちの反響はなかなかのものだったらしい。なお、海外版はフキダシではなく、吹き替えでの演出が成された。つまり、海外にはゴジラとアンギラスの声を担当した声優が存在する。
- 偵察のため本土に上陸しようとするアンギラスを防衛軍が誤解し迎撃するシーン、ゴジラと共に海を海を渡るシーンでは、対ガイガン・ギドラ戦でつくはずの傷がすでにアンギラスの顔にある。これは着ぐるみの濡れるシーンをクライマックスの対ガイガン・ギドラ戦の後に撮影したためである。
- 劇中、ガイガンが破壊したショーウィンドウに置いてあったマネキンはリカちゃん人形を使用している。またガイガンが鍵爪で東京タワー(らしき鉄塔)を破壊するカットがある。
- ゴジラタワーの造形は安丸信行が担当した。
- 当初のタイトルは『ゴジラ対キングギドラ 地球攻撃命令』だったが、製作側が新怪獣ガイガンをメインにしたほうがいいとの判断で現行のタイトルになった。
- 海のシーンのゴジラの着ぐるみは『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』のものを再使用した。
[編集] スタッフ
[編集] キャスト
- 小高源吾:石川博
- 高杉正作:高島稔
- 志摩マチコ:梅田智子
- 志摩武士:村井国夫
- 友江トモ子:菱見百合子
- 少年(世界子供ランド会長):藤田漸
- クボタ(事務局長):西沢利明
- 配下の男:大前亘
- 受付の警官:草川直也
- 少年の母:葦原邦子
- 編集長:武藤章生
- 和尚:中村是好
- 防衛本部指令:清水元
- ゴジラ:中島春雄 *防衛指令本部員としても出演している。
- アンギラス:大宮幸悦
- ガイガン:中山剣吾
- キングギドラ:伊奈貫太
[編集] 関連項目
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昭和シリーズ | ゴジラ (1954) - 逆襲 - キングコング対 - モスラ対 - 地球最大の決戦 - 怪獣大戦争 - 南海の大決闘 - ゴジラの息子 - 怪獣総進撃 - オール怪獣大進撃 - 対ヘドラ - 対ガイガン - 対メガロ - 対メカゴジラ - メカゴジラの逆襲 |
平成vsシリーズ | ゴジラ (1984) - vsビオランテ - vsキングギドラ - vsモスラ - vsメカゴジラ - vsスペースゴジラ - vsデストロイア |
ミレニアムシリーズ | ミレニアム - ×メガギラス - 大怪獣総攻撃 - ×メカゴジラ - 東京SOS - FINAL WARS |
関連作品 | 流星人間ゾーン - GODZILLA - ゴジラアイランド |
登場怪獣 | ゴジラ - アンギラス - キングコング - モスラ - 小美人 - ラドン - キングギドラ - X星人 - エビラ - ミニラ - カマキラス - クモンガ - マンダ - バラゴン - ゴロザウルス - ガバラ - ヘドラ - ガイガン - メガロ - ジェットジャガー - メカゴジラ - キングシーサー - チタノザウルス - ビオランテ - ゴジラザウルス - スペースゴジラ - モゲラ - ゴジラジュニア - デストロイア - オルガ - メガギラス - カメーバ |
関連項目 | 東宝特撮映画の登場兵器 |