回覧板
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回覧板(かいらんばん)は、日本で町内会・隣組などで回し読みする会報(広報)、及びそれに使用される板状の道具の名称である。主に集落内での連絡手段として使用される。
[編集] 概要
道具としての回覧版は、連絡文書などを板にばね金具で挟んで固定し(現在は用箋挟が多用される)、集落・町内の各戸を順番に回し、集落・町内全戸に連絡事項を伝えるものである。材質は、ビニールをコーティングした板紙などである。またものによっては地域の商店などの広告が入っている場合がある。
システムとしては、地域によって細部は異なるが、文書の表紙下部には印鑑を押す枡が並んでおり、読み終わった家庭の者は、そこに押印または署名を行い、次の家庭に届けるシステムとなっている。このシステムでは部外者の閲覧を防げるが、現在はほとんど秘密保持のために行われているわけではない一種の慣習に近いものとなっている。
実際は、集落・地区内のお知らせよりも、交番発行の警察広報紙、自治体が配布する各種お知らせの紙などが多数折り込まれている場合が多い。その多くは地域生活に即した情報であり、町内会や催し物(イベント)開催のお知らせや安全・防犯・防災情報、また町内会や自治会の決定事項なども伝えられる。分別収集のある地域では、新年度のごみの収集計画表など、生活に密接に関係する情報などもこれで伝えられる地域もある。
これらは概ね数日から一週間程度で巡回するルートが予め定められており、即日速報という訳にはいかないが、町内会で人を集めて説明するほどでもない内容を連絡したり、井戸端会議のような漏れ落ちないし伝言ゲーム的な不確実さの無い情報伝達に使われる。
ただ、町内会や隣組の組織形態は高度経済成長からバブル景気を経て都市部で衰退著しく、新住民がこういった情報網から漏れ落ちてしまい、結果的に生活情報が伝わらないことで旧来からの住民と新住民の間の溝を深めてしまうこともある。マンションなど大型の集合住宅では、独自の自治会と回覧板システムを持つところもある。
インターホンを押して対面で手渡しするのが慣習とされている場合と、互いの手間の省略の為にそれを省略しポストなどに差し置きするのが慣習となっている場合とがあり、どちらが常識であるかは、一概にいえない。