吉村医院
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吉村医院(よしむらいいん)は、愛知県岡崎市にある私立の診療所である。
特に、自然分娩(日本の昔ながらの自然なお産・出産)に力を入れている。院内には「古屋」と称する茅葺屋根の施設がある。妊婦が薪割り・雑巾掛け・炊事などの昔ながらの労働形態の運動などで体力を維持して出産に備える、などのユニークな試みに取り組んでいる産院として知られている。
また、日本に「吉村医院」という同名の診療所が複数存在する模様である。
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[編集] 院長
吉村 正(よしむら ただし)。1932年生まれ。1956年、名古屋大学医学部卒。医学博士。
[編集] 著書
- 吉村正・山田桂子・編・著 『お産って楽しいね』(健康双書) 農山漁村文化協会(農文協) 1987年1月 ISBN 4-540-86099-2
- 吉村正・著、清原なつの・作画 『お産って自然でなくっちゃね - ある産科医の真実の提言』(健康双書) 農山漁村文化協会(農文協) 1992年12月 ISBN 4-540-92084-7
- 吉村正・著、きくちさかえ・写真 『お産! このいのちの神秘 - 二万例のお産が教えてくれた真実』 春秋社 2003年6月 ISBN 4-393-71611-6
- 吉村正・著 『しあわせなお産をしよう - 自然出産のすすめ』(DVDブック) 春秋社 2006年5月 ISBN 4-393-97035-7
- 吉村正・著 『幸せな、お産 - Happy Birth wonderful moments』 現代書館 2007年8月 ISBN 978-4-7684-7671-0
[編集] 歴史
開設後、現在にいたるまで自然なお産に取り組んできた。分娩数は2万数千件を数える。
[編集] 施設
一見古めかしい施設であるが、院内PHSシステム、電波時計、温水洗浄便座の導入など、単に古ければ良いと考えるのではなく、現代のものでも便利なものは導入している。便利なものは何でも使え、が院長の持論である。
[編集] 自然なお産
この診療所の一番の特徴は、医療介入を極力おこなわない「昔ながらの自然なお産」を行っていることである。 院長の吉村正は、たくさんのお産の経験を通じて、医療介入をする場合としない場合で周産期死亡数(周産期死亡率)に差が無いことに気付いた、と言う(ただし、これを裏付ける統計・研究は存在せず、吉村院長自身の研究業績としてもまとめられていないので疑わしいとする反論がある)。以後、人間の出発点である出生を歪み無く自然におこなうことが、様々な社会問題を減らすことの第一歩と考え、自然なお産の重要さを訴えている。 やみくもに「自然なお産」を行っているわけではなく、母子は常に現代医学の管理下に置かれており、リスクを最小限に減らしながらの自然なお産を行っている。
[編集] 「してはいけない」がない病院
妊娠初期から分娩、退院にいたるまで、一般に知られている制限事項は、食事に関して以外ほとんど無い。分娩時の立会いは妊婦本人が同意すれば制限は無い。ビデオ撮影なども自由である。産んだ後はそのまま産んだ子供を入院室に連れて行ってよい。入院中の面会時間の制限は無いため、家族が和室の入院室に泊まって家族水入らずで過ごすこともできる。
[編集] 問題点
- 医院の経営・運営は、カリスマ性の強い院長によるところが大きい。
- 大病院のような高度な医療設備を持たないため、母子に異常が認められるような場合は、大病院と連携せざるを得ない。
[編集] 批判
インターネット上の日記(NATROMの日記[1] )には、「信仰と狂気~吉村医院での幸せなお産」と題して、以下のような批判が掲載されている。なお、これは匿名の批判であり、真偽は不明である。
- 異常分娩時に吉村医院単独で対処できる限界まで粘ってから転送し、最終的に帝王切開などの近代医学による介入を必要とするケースも存在するようである。[1]
- 受診歴のないハイリスク妊婦が妊娠末期の緊急事態になってから紹介されてくるため、近隣の総合病院は大変な負担を強いられている、という話がある。[1]
- 一般に、異常分娩では、できるだけ当初より異常に対応できる病院に転送されることが望ましく、転送が遅れればそれだけ妊婦および胎児の危険性は高くなる。そのリスクについてはあらかじめ患者に説明されている必要がある。
[編集] 数値データ
REBORN産院情報 吉村医院より、2001年8月現在。
- 前回帝王切開した妊婦の試験分娩:成功率ほぼ100%
- 逆子の試験分娩:成功率100%
- 会陰切開率:全体で数%
- 陣痛促進剤の使用:ほとんど0%
- フリ-スタイル出産(畳あるいは床):実施率99%位
- 夫の立ち会い:約75%
- 母乳のみになって退院する率:99%
- 他の産院への年間搬送率:約2%
上記データの扱いについて
他施設への搬送件数は累計でおよそ500件、年間10件前後行われていることになる。
対応できない症例については他施設に搬送するため、逆子の試験分娩、前回帝王切開妊婦の分娩の自施設内での成功率100%という数字が保たれている可能性がある。
[編集] 関連書籍・放送
- 週刊文春 2006年7月20日号 『本当にあるのか「理想の病院」(1)』
- NHK 『すくすく子育て』 2004年10月30日放送 「自分らしく産む - 吉村医院」
- 朝日放送 『たけし・所のWA風がきた!』 2002年1月8日放送 「赤ちゃん誕生」
[編集] 出典
- ^ a b c http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20070707#p1
NATROMの日記