北小路健
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北小路 健(きたこうじ けん、1913年1月25日 - 1991年10月22日)は、国文学者、古文書学者。本名は渡部 栄(わたなべ さかえ)。
福島県会津若松市生まれ。1937年、東京文理科大学国文科卒、能勢朝次に師事し、「源氏物語」研究を志す。母の遺品の中から、従一位麗子本源氏物語を発見し、これを論文にする。しかし応召され、病のため除隊となるが、満州で中学教師の傍ら研究を続けた。学界でも注目されるようになり、蔵書は和本7000冊を含む13000冊を超えたが、敗戦時、ソ連兵によってすべて焼かれた。その後、長春の露天市で島崎藤村の「夜明け前」を見つけ、これを研究課題のひとつとする。
引き揚げの後も、なぜか大学教師の職には就かず、在野で研究を続ける。『夜明け前』研究の成果は『木曽路 文献の旅』として結実し、「木曽路はすべて山の中である」に始まる冒頭部分が、『木曽街道図会』から借用したものであることを発見した。同書で1984年、毎日出版文化賞を受賞。また安岡章太郎が『流離譚』を書くにあたり文献の解読を頼んできたが、北小路は安岡を説いて、現地をともに踏査した。1984年、その数奇な半生記『古文書の面白さ』を刊行し、日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。蔵書を焼いたロシヤ人らを「露助」と何度も書いているためか再刊されないが、これは名著である。
写真家渡部まなぶの写真に文章をつけた書を多数刊行している。
[編集] 著書
- (渡部栄名義)
- 源氏物語従一位麗子本之研究 大道社, 1936
- 源氏物語律調論 上巻 文学社, 1940
- (北小路健名義)
- 自由をもとめて 福島事件の話-歴史物語 日本児童文庫刊行会, 1958
- 遊女 その歴史と哀歓 人物往来社, 1964
- 木曽路 文献の旅 芸艸堂, 1970
- 木曽路 文献の旅 続 芸艸堂, 1971
- 資料写真による『夜明け前』への招待 槌馬屋文書館, 1972
- 図説『夜明け前』の栞 虚像と実像を探る 国書刊行会, 1973
- 藤村における旅 伊東一夫,早坂礼吾共著 木耳社, 1973
- 福島事件物語 自由への叫び 国書刊行会, 1974
- 『夜明け前』探究 伊那路の文献 明治書院, 1974
- 望郷満洲 写真集 国書刊行会, 1978
- さらば大連・旅順 写真集 国書刊行会, 1979
- ああ北満 写真集 編著 国書刊行会, 1980
- 1981撫順・本渓・丹東・遼陽・鞍山 国書刊行会, 1981(満洲の旅)
- 1981大連 国書刊行会, 1981 (満洲の旅)
- 1981瀋陽 国書刊行会, 1981 (満洲の旅)
- 1982チチハル・チャムス・牡丹江 国書刊行会, 1982(満洲の旅)
- 1982ハルピン 国書刊行会, 1982 (満洲の旅)
- 1982長春・吉林 国書刊行会, 1982 (満洲の旅)
- 古文書の面白さ 新潮選書, 1984
- 一茶の日記 立風書房, 1988