勇者のくせになまいきだ。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャンル | ダンジョン・マネージメント |
---|---|
対応機種 | プレイステーション・ポータブル |
開発元 | アクワイア |
発売元 | SCE |
人数 | 1人 |
メディア | UMD |
発売日 | 2007年12月6日 |
価格 | 3,980円(税込) |
対象年齢 | CERO:A(全年齢) |
デバイス | メモリースティックDuo128KB以上 |
売上本数 | 111,845本(ファミ通情報) |
『勇者のくせになまいきだ。』とはSCEから2007年12月6日に発売されたプレイステーション・ポータブル(PSP)専用ソフトウェアである。公式な略名は無いが開発者は「ゆうなま」という略名を使用している。
目次 |
[編集] 概要
ダンジョンを造り、食物連鎖によって強力な魔物を育てることで次々とダンジョンに侵入してくる勇者たちを倒し、世界征服を果たすことが目的のゲーム。キャラクターデザインからダンジョンまで全て、ドット絵を意識したデザインになっている。
勇者がダンジョンをクリアし、魔王を連れ去ってしまうと(この場合、世界に平和が訪れるという意味で)ゲームオーバーになる。一度ゲームオーバーになってしまうと、ダンジョンの構築・魔物の育成を一からやり直さなければならない。いわゆる『不思議のダンジョン』シリーズを代表とした「プレイヤー自身の技術を磨く」ことが重要となるゲームである。
プロデューサーはSCE・山本正美(代表作:『天誅』、『デカボイス』)、ディレクターはアクワイア・中西晃史(代表作:『侍』、『忍道戒』) キャラデザインは「ゲームやろうぜ!2006」の合格者・小林陽明。サウンドはノイジークロークが手がけている。11月15日に『勇者のくせになまいきだ。初体験版』が配布された。
過去のゲームのオマージュ要素が多く、マニアックなサブカルチャーのパロディなどが詰め込まれている他、果てはネットスラングまでちりばめられている。
ダンジョン・マネージメントという斬新なゲーム性が評価され週刊ファミ通のクロスレビューでプラチナ殿堂入りを果たした。
[編集] ゲームモード
- ストーリー
- 全8ステージの攻略を目指す、このゲームのメインとなるモード。ダンジョンの構成がそのまま次ステージへ引き継がれるため、後先のことを考えながら進めていく必要がある。また、ステージ間で魔物の強化が行える。
- また、クリア後に出るあるコマンドを入力すると難易度がさらに上がった「勇者のくせに超なまいきだ。」がプレイ可能。
- トレーニング
- チュートリアル的な要素を多く含んだ、1ステージ完結型のモード。基本的な操作方法と魔物の生態系を学ぶための「トレーニング」と応用的な「チャレンジ」とに分けられる。
- VS
- 勇者たちをエディットしたり、他のユーザーが作成した勇者たちに挑んだりするモード。データの交換はメモリースティック Duoを介して行う。
- ストーリー・トレーニング・ずかんのモードを進めていくことで、エディットできる要素が増えていく。
- ずかん
- 今まで他のモードで発生させた魔物やダンジョンに挑んできた勇者のさまざまなデータを閲覧できるモード。
[編集] 登場キャラクター
- 破壊神
- いわゆるプレイヤーのこと。次々と挑んでくる勇者に対抗し世界征服を果たすべく、魔王に呼び寄せられた。
- 姿を確認することができず破壊神が持つ「つるはし」のみ、ゲーム画面で確認することができる。
- 魔王
- 魔王。勇者とは永遠に相成れない存在。戦闘に巻き込まれてもやられたりはしないのだが、戦うことができない。
- いわゆる王将的存在で、魔王が勇者に連れ去られてしまうとゲームオーバー。チュートリアルによると、娘がいるらしいが、冗談か本気かは不明。ニジリゴケの前のめりなひたむきに「明日も頑張ろう」と癒されているらしい。
[編集] 魔物たち
魔物は基本的にダンジョン内に存在する養分、あるいは魔分を含んだ土を掘ることで生み出すことができる。生み出された魔物はそれぞれが行動パターンを持っており、繁殖・捕食・死滅を繰り返してダンジョン内で生活を始めていく。破壊神(プレイヤー)はそれぞれの特徴を理解しながら魔物の数を増やしていき、勇者に対抗する必要がある。
[編集] 養分から生み出される魔物
養分はあらかじめダンジョン内のあらゆる土壌内に散乱している。この養分は常に一定の量しか存在していない(いわゆる「養分保存の法則」)ため、いかに養分を集められるかが勝負のカギとなっている(ただし、魔物が死んだときに周りに土がないとその魔物の持っていた養分・魔分は消滅する)。
養分を含む魔物が死んでしまうかダンジョンに進入する外敵(勇者)を退治したとき、その周囲に養分が散らばる。つまり、新たに養分を増やすためには勇者を倒せばよいのである。
- ニジリゴケ類
微量の養分を含む土から生み出される、魔物の中でも最下層の魔物。土の養分を吸収し、他の土に吐き出すことを繰り返しながらダンジョン内を徘徊する。
壁にぶつからなければ進行方向を変えないため、ダンジョンをうまく掘って養分を1か所に集積できるようにすれば上位の魔物を生み出すのに非常に役立つ。
- ニジリゴケ
- いわゆる「スライム」によく似た形状をしているが、植物の一種。隣接する土から養分を吸収し、吐き出すを繰り返す。壁にぶつかるまで曲がれない。
- ツボミ
- 生命力が少なくなったニジリゴケが変態した姿。広範囲から養分を吸収することができる。
- ただし、うまく養分を集められなければそのまま枯れてしまう。
- ニジリバナ
- 養分を十分蓄えたツボミが成長したもの。ツボミよりも広範囲の土から養分を吸収する。やがて枯れてしまうが、それまでに蓄えた養分に応じて新たなニジリゴケを数匹生み出す。
- 「なにかもよもよしたもの」を吐き出し、外敵の動きを鈍らせつつ攻撃することができる。
- ガジガジムシ類
それなりに養分を含む土から生み出される、ニジリゴケより1段階上級の魔物。食物連鎖でニジリゴケを捕食し、成長・繁殖していく。
特徴的な動きをするでもなく、ダンジョン内を気ままに動き回りながら生活している。
- ガジガジムシ
- 「アリ」のような姿をした幼虫。ニジリゴケを捕食するのだが、ニジリバナを捕食することはできない。
- サナギ
- ガジガジムシが変態した姿。ガジガジムシが一定の養分を蓄えたとき、狭い通路内で変態する。
- ガジフライになるまで動くことも攻撃することもできない。
- ガジフライ
- ガジガジムシの成虫。幼虫のころよりも攻撃力などが上がっている。
- 養分を蓄えることで、新たにガジガジムシを生み出すことができる。
- トカゲおとこ類
たっぷりと養分を含む土から生み出される、「ガジガジムシ」より1段階上級の魔物。食物連鎖でガジガジムシを捕食し、成長・繁殖していく。
ダンジョン内の広めの部屋で巣を作り、生活している。
- トカゲおとこ
- 攻撃力が高く、勇者の天敵となる存在。ガジガジムシを主食としているのだが、必要以上に食べたりはしない。
- 足は遅いのだが、ひとたび獲物(勇者)を見つけると素早く近づき襲い掛かる。
- おとこの卵
- 養分を蓄えたトカゲおとこが、巣に産み落とす卵。一定時間で孵化し、新たなトカゲおとこが生まれる。
- 他のトカゲおとこが作った巣でも卵を産む。孵化する前に勇者に割られないよう注意したい。
- 余談だがこの卵は汗臭いらしい。
[編集] 魔分から生み出される魔物
魔分は養分と異なり、ダンジョン内には存在しない成分である。ダンジョンに進入する外敵(勇者)が「魔法」を使うか外敵を倒すと、ダンジョン内に新たな魔分が生成される。
養分と同じく魔分を含む魔物が死んでしまうと、周囲の土に再び散らばる。なお、魔分よりも養分が優先されるため養分と魔分を両方含んでいる場合、魔分が多くない限り見かけの上では、土壌内の魔分量を確認できない。
- エレメント類
微量の魔分を含む土から生み出される、魔分系では最下層の魔物。ニジリゴケと非常に似た行動パターンを持つ。
- エレメント
- 魂のような姿をした、いわゆる「魔分版のニジリゴケ」。一定の生命力を蓄えたとき、新たに魔分を生成しつつ増殖する。
- リリス類
そこそこの魔分を含む土から生み出される、「エレメント」の上位種。食物連鎖でガジガジムシを捕食・エレメントを吸収し、繁殖していく。
- リリス
- ダンジョン内の紅一点的存在。遠距離からの魔法攻撃が得意なのだが耐久力に乏しいため、隣接されると弱い。細く長い通路でその威力は発揮される。
- 繁殖はしやすいのだが飢えに弱いため、放っておくとすぐに餓死してしまう。
- フェロモン
- リリスが発する分泌物。ねばねばするらしく、獲物がかかるとしばらく動けなくなってしまう。
- ドラゴン類
たっぷりと魔分を含む土から生み出される、「リリス」の上位種。魔物の中でも最高位の攻撃力を誇るが横移動しかできないため、うまく活かすのに腕が必要である。
目の前に存在するものは何でも捕食してしまう、食物連鎖の頂点に君臨する存在である。
- ドラゴン
- いわゆる「地竜」。生命力が少なくなってきたとき卵を残して死んでしまう、一子相伝型の繁殖を行う。
- ドラゴンが放つブレスは横方向に長く伸びる上、攻撃力も高い。しかし、勇者はともかくとして魔物まで焼き尽くしてしまうのがやっかいである。勇者が通るか目の前に多くの魔物が存在するとき、ブレスを吐き出すようである。
- ドラゴンの卵
- ドラゴンの生命力が少なくなってきたとき、生み出される卵。孵化までにはやや時間がかかる。
- ふん
- ドラゴンがたまに落とす、いわゆる排泄物。勇者が踏みつけてしまうとショックなのであろうか、しばらくその場に立ち尽くしてしまう。
[編集] 特殊な条件で生み出される魔物
- スケルトン類
土から生まれるタイプの魔物とは異なり、勇者の亡骸から生み出される生命体。たとえ倒されてもその場に残るので、倒した勇者の数だけダンジョン内に存在することになる。
- スケルトン
- ダンジョンで倒された勇者のしかばねが、命を吹き込まれた存在。今まで蓄えられていた魔分に比例して、強くなるのが特徴。
- 何も食べないため、生命力が尽きると再びしかばねに戻ってしまう。
- しかばね
- ダンジョン内で倒された勇者の亡骸。破壊神がつるはしでつつくことで、命を吹き込むことができる。近くにいるエレメントを吸収し、魔分を蓄えていく。魔分がある程度たまると赤くなり、つつくと「魔王のしもべ」になる。
- デーもん類
養分あるいは魔分をたっぷり含んだ土を周囲8マス全てを掘った状態で生み出すことができる魔物。存在するだけで、特殊な効果の恩恵を受けることができる。
- デーもん
- 魔法陣をつるはしでノックすることで召喚することができる。生命力は強いが、攻撃力や耐久力は高くない。基本的にスケルトンを捕食(?)・エレメントを吸収して生活しているのだが、空腹になるとガジガジムシやリリスでさえも捕食してしまう。
- デーもんは存在するだけで、ダンジョン内全ての魔物の防御力を上げることができる特殊能力を備えている。
- 魔法陣
- 養分あるいは魔分をたっぷり含んだ土を周囲8マス全てを掘った上で掘ると発生させられる。近くのエレメントを吸収することで、魔分を蓄えることができる。
- 魔法陣は勇者に踏まれると魔分量が減少するのだが、引き換えに勇者のMP(マジックパワー)を大きく奪うことができる。
- ゴールドガジガジ、サナギ(ゴールド)、ガジセイント
宝箱をつつくと出てくる魔物。ムシ類の中では耐久性にすぐれるが成長が遅い。古い文献では同種のブロンズガジガジ、シルバーガジガジがいたことが記されているが、近年の宝箱乱獲によって絶滅したものと思われる。繁殖力は持たない。
- ドフゴン
宝箱をつつくと出てくる魔物。ぱっと見はドラゴンに見えるが魔物分類学上はドラゴンではない。ドラゴン類よりも早く移動することができるが、力は劣る。魔界の焼肉屋では一時期、魔牛の肉が手に入らない事情もありドフゴンの肉が流行った。充分うまい。
- さまようほね
宝箱をつつくと出てくる魔物。宝箱に入って遊んでいるうちに出られなくなって死んでしまった勇者の怨霊といわれる。宝箱から開放されてすぐには自分が死んだことにまだ気付かないようで、自分を閉じ込めた憎き勇者を襲う。やがて自分の身におきたことに気付くとただのしかばねに戻る。
[編集] 忌々しい勇者たち
勇者の目的は、ダンジョンを攻略しどこかに潜む魔王を(退治するわけでもなく)簀巻きにして捕まえた上で地上に引きずり出し、世界に平和を取り戻すことである。
国産RPGらしく(魔王いわく「国産RPGだから気をよくしている」)アイテムや魔法を巧みに使いながら、魔王軍を脅かしていく。
- ちなみに、海外のゲームは、国産ゲームに比べて非常に難易度が高い。(RPGに限らず、アクションゲームなども難易度が高い。『ウィザードリィ』など。『バイオハザード』では、海外版でのNomalが国産のHardにあたる。)
- 勇者の行動パターン
- 魔物との戦闘
- 目の前に魔物が現れると戦いを始める。数が多いときは攻撃魔法を唱え、体力が無くなれば回復魔法を唱える(ただし、呪文を覚えている場合に限り)。また同じマス内にいる魔物は同時に攻撃するため、できるなら多方向からの攻撃を狙いたい。
- 道具の使用
- ダンジョン内にたいまつを設置し、休憩場所としても運用する。勇者はたいまつの近くにいる限り体力を回復していくため、極力離れたほうが戦いやすい。
- 探索ルート
- ダンジョンに進入してから後に掘られた通路には、基本的に侵入しない。
- 探索方法はそれぞれの勇者に設定されている性格が影響しており、それぞれが異なる。
- 多人数でのパーティを組んで挑む勇者たちは、通路が分かれていると別行動をすることがある。
- ダンジョン内の養分・魔分の増加
養分量を均一に保つダンジョン内に勇者が侵入することで、勇者の持つ養分・魔分がダンジョン内に増えることになる。特に魔分は勇者が侵入することでしか得られないため、運用が難しい。
- 勇者が魔法を使う
- 魔法を使用したとき、近くの土壌に魔分が蓄積される。
- 勇者が倒される
- 倒されたとき、勇者が持っている養分・魔分が近くの土壌に蓄積される。
- 勇者の職業
勇者にはそれぞれ職業が設定されている。どんなタイプの職業かは見た目からも判断できるが、一度戦ったことがあればずかんからも確認できる。
- 剣士系
- 外見は剣と盾を持ち鎧を身につけたもの。バランスの取れた能力を持つ。
- 戦士系
- 外見は斧などの重装備を身につけたもの。物理攻撃が得意だが、魔法攻撃は苦手。
- 魔道士系
- 外見は杖やローブを身につけたもの。魔法攻撃を主とするため、物理系の能力は低い。
[編集] オマージュ・パロディ
本作にはオマージュやパロディ、セリフや設定に対する遊び心が非常に多い。そもそものコンセプトはダンジョンキーパーのそのままであるが、ダンジョンキーパーにもオマージュやパロディが多くちりばめられている。そのため本作は「オマージュやパロディの多いゲームをオマージュしたゲーム」と言える。 また、マニアックなセリフ回しや表現などにも評価が高い。
[編集] 同系統のゲーム
「ダンジョン・マネージメント」をテーマにしたその他のゲーム
- ダンジョンキーパー
- カオスシード~風水回廊記~
- ゾンビバイタル
- D-MASTER
- 巣作りドラゴン
[編集] 外部リンク
- 勇者のくせになまいきだ。 公式サイト
- ノイジークローク(サウンド制作)公式サイト
- 勇者のくせになまwikiだ - ゲーム内でも触れられている、有志による攻略情報をまとめたWiki