刺繍
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本来の表記は「刺繡」です。この記事に付けられた題名は記事名の制約から不正確なものとなっています。 |
刺繍(ししゅう)とは手芸の一分野で、布地に特定のパターンや図柄、文字などを縫いこむことや、その結果できあがる装飾的な作品を言う。使われる技法によって、刺し子や文化刺繍、キルティングなどとも呼ばれる。
大まかにわけて、人の手で行う手刺繍と、機械を使用する機械刺繍、剣山状の針を使って布に糸を埋め込むパンチニードルとがある。
刺繍には、さまざまな色に染められた六本取りロウ引きなしの専用の糸(刺繍糸)と針穴を大きく取った専用の針(刺繍針)が使われる。材料が糸であるという性質上、混色がおこなえないため、使用する色の数だけ糸を用意する必要がある。そのため、文化刺繍など数十色の色を使用する刺繍を行う場合は、専用の針山が使われる。
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[編集] 歴史
日本では、縫い目に呪力が宿るとされていた。そのため、大人の着物に比べ、縫い目の少ない子供の着物には悪いモノが寄り付きやすいと考えられ、子供を守るために着物の背中に『背守り』と呼ばれる刺繍を施す風習があった。
中世ヨーロッパでは刺繍は上流階級の女性の教養として広まった。
[編集] 種類
- フランス刺繍 - フランス刺繍独特の技巧をこらしたステッチが多種ある。一般的な「刺繍」
- リボン刺繍 - リボン状のヤーン(糸)を刺す。刺繍糸よりも立体感をだす事ができる。
- 日本刺繍 - 京都で作られる日本刺繍を京繍、江戸(東京)で作られる日本刺繍を江戸刺繍、金沢で作られる日本刺繍を加賀刺繍と言い、その中で京繍は日本伝統工芸として認定されている。
- 絽刺し - 専用に作られた「絽」地の布の織り目の孔に一針ずつ糸を縫い込んでいくもの。図案には伝統的幾何学文様のものと絵画的なものとがある。まるでアップリケのように図案の部分の布地を全て繍糸で埋めてしまうのが特徴。天平時代には中国より伝来していたと見られる。主に皇室、公家、将軍家、大名家の女性達によって受け継がれてきたが、現在その技術を持つ者は少数である。
- 東京文化刺繍 - 表面一方からのみ針を刺し、糸を表にたわます手法。ジャガード織の風合いに仕上がる。
- 刺し子 - 木綿地の補強を目的としたステッチ。機能以上に伝統的な美しさもある。
- キルティング
- クロスステッチ
- プチポワン
- ミシン刺繍 - 機械刺繍の一種。