光学合成
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光学合成(こうがくごうせい、Optical composition)は、映画の合成技術で、複数のフィルムを光学的に合成する手法。オプチカル合成、オプティカル合成とも呼ばれる。
デジタル合成が主流となる前の映画における合成は専らこの手法に依っていたが、現在ではほとんど使われない技術となった。しかし、演出上の技法などで使用される事がある。
[編集] オプティカルプリンター
光学合成には「オプティカルプリンター」という機材が使われる。
オプティカルプリンターは、フィルムを別のフィルムにコピーするための機械であり、例えばネガフィルムから上映用のポジフィルムを作成するのにも使われる。こういった単純な用途に使われるオプティカルプリンターは、コピー元のフィルムとコピー先のフィルムとがそれぞれ1本ずつの比較的単純な構造のものである。
光学合成に使われるオプティカルプリンターは、コピー元のフィルムを複数本かける事ができるようにした特殊なものである。オーバーラップやワイプなどの基本的な光学合成を行うものから、複数の素材マスクを組み込んで合成する複雑なものまで、様々なものが存在した。要求される合成が複雑なものになればなるほど、コピー元のフィルムの本数は増える。安定した合成を行うためには機械そのものにも操作にもきわめて高い精度が求められる。また、合成の内容によって合成素材となるフィルムの作り方や構成も異なるため、大変な職人芸が要求された。
[編集] 使用するフィルム
カメラに装填するフィルムには特殊なフィルム、インターメディエイトフィルム(IM)が使用される。インターは、オリジナルネガから転写されれば、マスターポジ(オレンジベース、ポジ像)になり、マスターポジから転写されれば、インターネガ(オレンジベース、ネガ像)になる。このインターネガを上映用のフィルムに焼き付けると通常のクリアベース、ポジ像になる。
主にマスク用に使用される白黒のフィルムを「ハイ・コントラスト・フィルム」通称:ハイコンと呼ぶ(製版用フィルムに由来して「リスフィルム」と呼ばれる場合もある)。このフィルムはほとんど階調が無く(ほとんど二階調)、クリアベースとマットな黒色を持つフィルムである。主にマスクやタイトル用の文字に使用される。しかしこのハイコンフィルムは「堅すぎる」特性ため、合成用のマスクとしては使いづらいもので、実際の合成作業用としては、以下のパンクロが主に使われた。
パンクロマチック・フィルム。通称:パンクロ。ハイコンフィルムが青系の光のみに感光するのに対して、パンクロはどの光にも感光してしまう特性を持っている。そしてハイコンに比べわずかに階調を持った「柔らかい」特性のフィルムである。
DH目、又はBH目と呼ばれるクリアベース、ポジ像のフィルム。光り物やグロー効果を作り出す時によく使うフィルム。通常の映写用のフィルムと違いは、パーフォレイションの形状が映写用の遊びの多いKS目ではなく、遊びの無いDH目、BH目である。
[編集] 豆知識
『ウルトラセブン』第11話「魔の山へ飛べ」では、ワイルド星人によってフィルムに転写された魂を肉体に合成する装置として登場した。これは、光学合成用オプティカルプリンターの上記の機能からイメージされたものであろう。当時はまだデジタル合成などは存在していなかったため、『ウルトラセブン』でも、オプティカルプリンターが作品製作上、不可欠の日常的な道具として使われていた。一連の円谷作品ではあらかじめオプチカル処理をするカットでは35mmカメラが使用された。通常これらのTVシリーズでは16mmフィルム、カメラによって撮影・編集されていたが、オプチカルの画質劣化を避ける為、合成カット(光線、面割合成、絵合成)時には実写撮影には35mmが使用された。オプチカル素材を35mm、プリンターカメラには16mmを使用し、最終的に16mmにして編集した。