伝説の勇者の伝説
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伝説の勇者の伝説 | |
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ジャンル | ファンタジー |
小説 | |
著者 | 鏡貴也 |
イラスト | とよた瑣織 |
出版社 | 富士見書房 |
掲載誌 | 月刊ドラゴンマガジン |
レーベル | 富士見ファンタジア文庫 |
巻数 | 本編11巻(全21巻予定) 短編8巻(全25巻予定) 以下続刊 |
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『伝説の勇者の伝説』(でんせつのゆうしゃのでんせつ、略称:伝勇伝)は、富士見ファンタジア文庫から刊行されている鏡貴也のライトノベル作品である。イラストはとよた瑣織。
第4回龍皇杯優勝作品(EMEとのW優勝)。シリーズ累計200万部を突破した。
目次 |
[編集] ストーリー
ローランド帝国王立特殊学院の学生、ライナ・リュートは、いつも寝てばかりで無気力の劣等生。昼寝だけして過ごすことを望むが、ある日、敵国のエスタブール王国が戦争をしかけてきたことで、ライナたち学生は戦争に送り込まれ仲間の多くを失ってしまう。戦後シオンと共にローランドのために行動を始めたライナだが大陸を覆う闇はローランドをも蝕み始めていた。
[編集] 登場人物
[編集] 主人公
- ライナ・リュート(声:うえだゆうじ)
- 本作の主人公。複写眼(アルファ・スティグマ)保持者。黒髪黒目、長身痩躯。
- 常に気だるげでやる気がなく寝ることばかり考えているが、体術、魔法共に常人離れしたレベルで特に魔法に関してはずば抜けた技術を持っている。陰成師だった13歳の頃、当時「ローランド最高の魔術師」と呼ばれていたクヲント・クオを倒し、以降「ローランド最高の魔術師」と呼ばれるようになり軍の陰に属する者達から恐れられていた。魔法に関する才能は複写眼保持者であることだけではなく、それを抜きにした魔法に対する天才的な理解力と感性による所が大きく、その能力に比べれば複写眼などおまけに過ぎないというのが師であったジェルメの評価。その他にも古文、古語や暗号の解読も得意としている。通常複写眼保持者は一度暴走すると正気に戻れないがライナは暴走しても尚正気に戻ることができ、そのため陰成師時代に度重なる命令違反、命令放棄にもかかわらず珍しい実験体として生かされていた。昔は今のように昼寝の事ばかりを考えてはいなかったのだが、ジェルメによって睡眠皆無の地獄の特訓を課されたために暇を見つけては寝るようになってしまった。
- シオンの命令でフェリスと勇者の遺物の探索を行っていたが、旅を続ける内にそれを取り巻く闇を追っていく。
- 生まれはリュートルー家の貴族だが幼い頃の記憶は封印されており、両親の名前は認識できなくなっている。
- 遺物探索の旅からローランドに帰還し一年が経過した頃、シオンが遺物らしき何かに蝕まれていることに気付き、彼を救うべく真実を求めフェリスと共にローランドを出国する事を決意する。
- フェリス・エリス(声:久川綾)
- 本作のヒロイン。金髪碧眼で女神と見まごう美貌を持つ。
- 剣の一族と呼ばれるエリス家の長女で長剣を武器とする。尋常ではない強さの持ち主であり目に見えないほどのスピードで繰り出される剣は時に魔法でさえ切り裂く。その強さはエリス家の異常な戦闘訓練の賜物であるが近親相姦による遺伝的な資質も大きい事が両親の関係(両親は兄妹)から推察できる。兄弟には現エリス家当主の兄ルシルと無邪気な妹イリスがおり、両親はフェリスが14歳の時ルシルが殺害した。幼い頃からの拷問に近い訓練のせいで当初は表情に乏しかったが、ライナと旅を続ける内に少しずつ感情を表すようになった。普段はライナを苛めて楽しんでいるが本心では彼を大切に思っており、死んだと聞かされた時には涙を流した。
だんごが大好物でありシオンからのかなりの金額の仕送りをすべてだんごにつぎ込んでおり、ライナは生活費を稼ぐためにバイトさせられていた。また度々自分の美貌を自慢しているが、突っ込んでもらえないと赤面する。 - 勇者の遺物の探索からローランドに帰還し一年が経過した後、シオンによって拘束されたライナを救出し共に国を出る事を決める。
[編集] ローランド帝国
- シオン・アスタール(声:平川大輔)
- ローランド国王。長い銀髪、金色の瞳。前王の妾の子。
- 身分の低い女の息子という理由で兄弟から差別され王立特殊学院に入学させられるがそこでライナ、キファらと出会う。戦争の際ライナがエスタブール魔法騎士団を暴走によって壊滅したさせた事を自分の戦果とし昇進。その後クラウ、カルネらと革命を起こし王位に就いた。
- 王となってからはエスタブールとの戦争後投獄されていたライナを牢から解放し、フェリスと巡り合わせ勇者の遺物探索の旅を命じた。
- 悪政を布く貴族を次々と粛清し巷では英雄王と呼ばれているが自分の行動の結果人が不幸になることに苦悩しつつも、表面上は完璧な王を演じている。
- ライナ、フェリスに無理難題を吹っ掛けたり、つまらない嫌がらせをして楽しむひと時がシオンによって心癒される僅かな時間であり、彼らのことをとても大切に思っている。
- しかしミルクを隊長に据えた忌破り追撃退を差し向けたのは当初ライナに対する単なる嫌がらせと思われていたが、裏ではルークにライナ反抗時の抹殺を命じており、またミルクを隊長に任じたのにもライナをローランドに繋ぎ止める人質としていたような面もあり純粋にライナを親友として大切に思う心とは矛盾したような不可解な行動をしていた。
- ライナの出生、そしてライナ自身も知らないライナに秘められたものを知っており、それをライナに話さないまま「ライナを救うため」ライナを自身の手で殺そうとしたが結局殺せずに投獄をした。
- 狂った勇者との契約による聖呪によって体を徐々に蝕まれつつあり、人格の分裂も見られる。
- ルシル・エリス
- フェリスの兄。両親を殺してエリス家の当主になった。
- 化物じみた強さを持ち忘却欠片による攻撃さえ無効化してしまう。契約と思われる何かの理由によりローランドからは出ることができないのではいかと、ライナ、及びフロワードには考えられており、事実シオンがネルファに出向いた際はシオンに付いて行かなかった。しかし現在の所そうであるという確実な証拠はなく真実は明らかになっていない。フェリスにただならぬ愛情を抱いておりシオンを利用し(あるいは同意の上の利害関係で)何かを成そうとしている。
- その実態の多くはな謎に包まれている。
- ミルク・カラード(声:かないみか)
- 軍部でその名を上げるために貴族のカラード家に引き取られた元孤児。幼い頃ライナと結婚する約束を交わした。(ライナは忘れている。)
- 亜麻色のポニーテイルに愛らしい童顔。
- しかしその容姿と無邪気な性格であるにもかかわらず、能力は非常に高く魔法構築の技術から理論、格闘技術から多面的戦闘技術まで常人を遥かに上回る能力を有している。本人いわく首以外の関節は全て外せる。
- シオンの策略によって中尉に任ぜられ忌破り追撃隊に配属、ルークが隊長を勤めていた隊の隊長に。命を受け「忌破り」とされているライナを追う事に。
- 人並み外れた人望があり、部下の心を一瞬にして掌握する技術(本人が意図して発揮している訳ではない)は天性の才とミラーに言わしめた程。隊のメンバーには保護者的気分で忠誠を誓われている。隊長であるにもかかわらず隊のメンバー、特にルークには過保護にされる事もしばしば。
- 当初は特に疑いなく(命令というよりは半ば自身の執着で)ライナを追っていたが、次第にライナを追う命令自体に不自然さを感じ、自分がライナをローランドに引き止めておくための人質ではないかという推測に至る。
- ライナの父親であるリューラ・リュートルーに何らかの呪いをかけられたが現時点でそれがどんなものであるかは不明。リューラが言う所によれば狂った勇者の回す歯車を一つ外したのであってミルク自身に害のあるものではないとの事。
- ムー・ベラリオール
- ミルク・カラード隊の隊員。孤児であったが、育て親がローランドを出奔。ラッヘル・ミラーの隊が捕らえるが殺さずこっそりローランドへ連れて帰り、ルーク隊に所属していたが後にミルク隊に入隊した。 ラッハ・ベラリオールとは兄弟。
- ラッハ・ベラリオール
- ミルク・カラード隊の隊員。ムー・ベラリオールとは兄弟であり、彼と同じように入隊した。
- リーレ・リンクル(声:飯田利信)
- ミルク・カラード隊の情報を司っている。天才的な情報整理の能力を持つ。
- ルーク・スタッカート(声:森川智之)
- ミルク・カラード隊の副官を務めている人物。白髪長身。
- シオン・アスタールより、ライナ・リュートの反抗時の抹殺、ライナ・リュートの見落とした勇者の遺物(=忘却欠片)の調査及び回収を密かに命ぜられていた。
- 隊のメンバーを家族として大切に思っておりミルクに対してはとことん甘くすっかり父親気分。
- 純粋な戦闘能力ではライナ、クラウには圧倒的に劣るが、全ての状況において冷静さを保ち、敵の力を計り、あらゆる状況で勝利する術を見つける能力は信じられないほどであり、実際にライナは苦戦を強いられた事がある。
- 現在はライナが見落としていた忘却欠片「ラッツェルの糸」を武器として使用し作戦の幅を広げている。
- ラッヘル・ミラー
- 忌破り追撃隊隊長。かつての革命を計画・実行した人物だが、忌み破り追撃部隊は重要な役職であり、また下からの目線も大事だと主張し元帥への昇進を蹴り、未だ少佐の地位についている。
- 天才と呼ばれているが本人は必要であることを必要なだけしているだけで自分は天才ではないと否定している。ライナの師匠ジェルメ・クレイスロールの夫。未だにジェルメのことを「ジェルメ・クレイスロール君」と呼ぶ癖がある。
- ミラン・フロワード
- シオン・アスタールの補佐官の一人。
- シオンを自らの王に相応しいと判断し、ローランドの闇の部分を担うと言って仕官してきた。たとえ自らの命であっても、作戦の遂行に必要であれば捧げる事の出来る冷徹な人物。指輪の形をした忘却欠片「黒叡の指輪」を持つ。シオンの元に仕えてからは、旧エスタブール勢力をわざと反乱させて粛清したり、反国王派貴族たちを粛清するなどの計略を独断で遂行し、ローランドに多大な利益をもたらした。
- その反面、跡継ぎをつくらせるため次々にシオンの元へ女を送り込んだり、疲れたシオンを癒すためにからかってみたり、シオンの生誕祭を盛り上げるためにクラウに頼んでみたりなどの少しお茶目な面もある。シオンに心酔している。よく冗談も口にするが今のところそのセンスは誰からも理解されていない。
- クラウ・クロム
- 紅指のクラウとして隣国に名をはせている。現ローランド帝国元帥。シオンの右腕。『殲滅眼(イーノ・ドウーエ)』保持者ティーア・ルミブルとの戦いで片腕を失い禁呪により新たな腕を手に入れた。この腕のため最近の通り名は黒手の死神となっている。元エスタブールの王女であるノア・エンと恋仲であるが、自分の立場から一線を越えられないらしい。
- 人が死ぬのとその中で自分だけ安全な場所にいるのが嫌いなため常に前線に出たがるが、元帥に任命されてからは苦手な書類仕事に忙殺されている。重度の貴族嫌い。
- カルネ・カイウェル
- 現ローランド帝国の少将、シオンの左腕。人妻や未亡人好きで常に3人はキープしてあるらしい。またエスリナとは相思相愛だが、エスリナの兄であるフィオルと仲が良かったことと、自分が軍人であるためいつ死ぬかわからないといった理由から告白をしないでいる。
- 彼の不倫趣味は元々は過去に軍部で内政担当になった時、貴族たちとの摩擦と激務からくるストレスから始まったものだが、今はエスリナを遠ざける手段としてわざと派手に遊んでいる。常にフラれて終わっているので修羅場はない。
- シルワーウェスト・シルウェルト
- 通称シル。槍の一族とも呼ばれている、武芸の腕を認められ貴族になった旧家の末っ子。剣の一族のエリス家には対抗心を持つ。シオンから、ライナが勇者の遺物探しの旅に出ていた間の伝令役を受けていた。頭にフォークとナイフを無理やりつけられたかわいらしいピンクのブタのぬいぐるみ「ブーちゃん」を、最強の槍と信じている。
- アルア
- ルーナ帝国レジット村出身で複写眼(アルファ・スティグマ)保持者の少年。
- 領主の命でルーナ兵に殺されそうになった幼馴染の少女ククを見て複写眼を初めて発動、魔法を使用してククを救う。しかしそれにより複写眼(アルファ・スティグマ)の保持者である事が判明しルーナ兵に捕らえられ山奥で研究と称され拷問を受ける。その最中目の前で父親を殺されてしまい(母親はすでに殺されていた)あわや暴走しそうになった所をライナに阻止され救われた。
- その後スイとクゥに人質に取られたククを助け出すためライナに魔法の講義を、フェリスに体術の訓練を施される。その当時の実力はルーナ帝国軍の魔導兵2人を相手に渡り合えるほど。訓練に対して意欲的であり、フェリスに体術を、同じ複写眼(アルファ・スティグマ)の保持者であるライナに訓練されたため成長が凄まじく、そのまま一年も訓練し続けていれば同じ頃の自分を上回っていただろうとライナに感じさせた。
- クク救出の後はライナの勧めでククと共にローランドに移住し、現在はフェリスの実家であるエリス家にやっかいになりつつククを守るため自主的に修行を続けている。ライナ、フェリスそれぞれを先生と呼び、特にライナのことを慕っている。ただしその割にはフェリスのライナいじめに乗っかったりと、ライナいわく「世渡りが上手い」ようだ。
- クク
- ルーナ帝国レジット村出身の少女でアルアの幼馴染。
- 領主が重税を課した中、村の中で一番最初に家が税を払えなくなり目の前で父親を殺され、さらに自分も殺されそうになった所をアルアに助けられる。スイとクゥに人質として誘拐されるも無事救出され、その後ライナの勧めでアルアと共にローランドに移住した。ルーナでのライナの発言から母親も共に移住したと思われるが、ローランドでの母親に関する描写は一切ない。複写眼(アルファ・スティグマ)についての知識がなかったため先入観を持たず、また純粋な好意もあり母親を含めた村人がアルアを迫害し、ルーナ兵に連れ去られた後もアルアを思い続けローランドに移住後も仲良くやっている。
- ビオ・メンテ
- ライナ暗殺の任を受けて家政婦として派遣されるが実際はライナによって処分される計画だった。罰を受けるのにもかかわらず自分を国外に逃がそうとするライナを好きになりライナと共に国外に逃亡しようとするが軍上層部はそのことを読んでおりビオ自身を殺すことによってライナを暴走させる実験をしようとしていた。ライナが自分を守り、人を殺すことで傷付くのを望まなかった彼女は自ら命を絶つ。最期はライナの傍で眠りについた。第一回伝勇伝キャラ投票1位となった。
[編集] ガスターク
- レファル・エディア
- ガスターク国王。飄々としており掴み所のない性格をしている。一撃で数万もの軍を消し飛ばす剣の忘却欠片、グロウヴィルを所有しているが、使用の代償として嗅覚と左目、右足を失っている。忘却欠片や魔眼に関する情報を数多く手にし、大陸を覆う闇の正体を知る数少ない人物である。
- キファに一目惚れし求愛するも振られ、それでも尚キファに好意を抱き続けている。
- キファ・ノールズ
- 赤髪、赤瞳の美女。エスタブール帝国出身であり姉と妹と共にローランドへ送りこまれたが、姉を殺され妹を人質に取られ、エスタブールを罠に嵌める為の二重の間者として利用されていた。学院時代からライナの優しさに気付いており、密かに想いを寄せていた。
- 王立特殊学院でライナ、シオンと出会い、一時は平穏な日々を過ごすもののローランドとエスタブールの戦争が始まり、戦場において離反しシオンの部隊の全滅の原因を作ってしまう。戦後ローランドによって投獄されるが、ライナがした国との取引により解放されシオンにライナを頼み出国した。
- その後ライナを救うためライナの複写眼の謎を追って向かったストオルでガスタークの王レファルに出会う。そこでレファルの持つグロウヴィルに共通点を見い出しガスタークへ渡るもローランドの間者の嫌疑をかけられ捕らえられてしまう。しかしレファルにライナをローランドからガスタークに連れて来てほしいと開放され、「大伝説の勇者の伝説1」にて今正にローランドを出国しようとしていたライナと三年ぶりの再開を果たす。
- レファルには出会って以来熱烈に好意を寄せられるが、レファルの人間性に好意は抱いても恋愛感情には至らず今もライナだけを一途に想い続けている。
- リル・オルラ
- スイとクゥの兄。ローランド帝国の担当で有力貴族とのつながりもあった。來獣の指輪という忘却欠片を使用。ライナと接触するが彼を逃がす(理由は現時点では不明)忘却欠片や魔眼等に詳しい。ちなみにライナとフェリスは、彼がスイとクゥの兄である事は知らない模様。
- スイ・オルラ
- クゥの兄で、彼女と共に行動している。普段は作家志望の人当たりの良いにこやかな青年だが、その実態は強か。レファルの考えに強く賛同しており、彼の考えを否定する者には容赦しない。かつてはエレミーオの櫛を使用していた。
- フロワードにより左手を再び失い、瀕死の重傷を負ってしまう。その後クゥの手によりガスタークに運ばれ、治療を受けた。レファルによると「死んではいない」らしい。
- クゥ・オルラ
- 十四歳の少女。一見楚々とした美少女だが、かなりの饒舌かつ毒舌。兄スイの「面倒を見て」おり、そんな兄妹の様子にはライナ達も騙されかけた。アイルクローノの鎌という忘却欠片を使用。これを使用しているときは別人のように黙り込み、表情も消える。
[編集] 名称不明の国
- ピア・ヴァーリエ
- 水色の髪の少女。先天性魔道異常。ライナ、ペリアと共にジェルメに地獄の特訓を施される。当初は二人より数段実力が優れていた。自信過剰な面があり、才能の無い者を見下す発言をしていたが徐々に改善された模様。最終的にライナに殺されたことにしてペリアと共に出国したがゾーラに忌破りとして追われていたことから生存が知られていたものと思われる。現在は女王となって忘却欠片のことを知りうる立場にあり物語の確信に最も近い人物の一人である。
- ペリア・ペルーラ
- 金髪の青年。全結界の実験の犠牲者。争いを好まない性格でありライナとピアのブレーキ役になっていた。ピアと共に出国しており今は女王となったピアの傍に仕えている。ゾーラがローランドに派遣されている際はピアの命令でガスタークヘ密偵に行っていた。ちなみにピアに気軽に接するためにゾーラからは一方的にライバル視されている。
- ゾーラ・ロム
- かつて陰成師だったころ忌破り追撃の任を受けその際に出会ったピアに一目惚れする。その際ピアが好きになって欲しかったら強くなれと言ったことで、より強くなろうと軍のいいなりにはならずより強い相手と戦う事で訓練を積んでいく。さらに受ける暗殺依頼には「自分より弱い者は殺さない」「思想のない殺しはやらない」など自分なりのルールを設けるようになり軍部からは邪魔者扱いされるようになる。
- ピアと出会いローランドに帰還した後、「ローランド最高の魔術師」と呼ばれるようになっていたライナとも出会っていおり、その当時の格闘における実力はライナとほぼ互角であった。当時ライナとは会えば喧嘩をしクロスカウンターで相打ちばかりしていたが同じ軍の厄介者として根底では気が合っていた。
- 現在はピアを頂点とする国(もしくは組織と思われるもの)に所属しており、任務でシオンを暗殺しようとした際の戦闘ではオリジナルの魔法でルシルに本気を出させた。最終的に敗北するが忘却欠片を使用したとはいえルシルから逃げ延びており以前に増して実力を付けている。ちなみにルシルとの戦闘の前にライナと再会しているがライナにはルシルに殺されたと思われている。
- 出会った当時から現在に至りペリアを一方的にライバル視、目の敵にしている。
[編集] 魔法
本作品における魔法とは空気中に世界を埋め尽くすように存在する気の流れ、もしくは精霊とされるもの(実際は何なのかは解明されていない)をある法則に従って並べ替え、命令を出すことによって様々な現象を生み出すものである。この気の流れ、もしくは精霊とされるそれはアルアによると「金色でキラキラでフワフワ」しているように見える。通常の人間がこれを視認するには脳の眠っている部分を起こすため瞑想などの修行を約1年ほど積むことが必要。しかし複写眼(アルファ・スティグマ)の保持者はその目の特性故にそのような修行なしに視認することができる。
魔法を発動するには気の流れ、もしくは精霊とされているこの金色の粒子に指先で干渉し法則に従い並び替え、最後に呪文を唱えることにより、より強く起こそうとする現象を思念(イメージ)する。本作品における魔力とはこの思念(イメージ)の力の事であり、この力が強いほど起きる現象が強く大きくなる。この金の粒子の並べ方は無限にあり、最初の並べ方の法則を変えるだけで全ての模様、記号、命令の意味が変わってくる。そのため各国の魔導学者達はその研究に命をかけている。
各国ごとに起動方法・構成・術式などの全ての形式は全く違い、それ故に魔法は各国の軍事機密であり魔法を使える者が他国へ出奔する事は禁忌とされ、そのような者は『忌破り』(いみやぶり)と呼ばれそのほとんどが『忌破り追撃部隊』(いみやぶりついげきぶたい)によって拘束、抹殺される。それに加え、新しく魔法を理解し使いこなすに至るまでには数ヶ月から数年(魔術師としての熟練度による)かかる事もあり、通常は自国の魔法以外を使うことはできない。その例外とされるのが間者として他国に潜入しその国の魔法を学んだ者、もしくは他国の魔導兵などと戦闘になるなどして魔法の発動を見た複写眼の保持者などである。
[編集] 用語
- 魔眼(まがん)
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- 複写眼(アルファ・スティグマ)
- 魔眼の一種。その両眼は潰すこともえぐることもできない。発動時には瞳の中に朱の五芒星が現れる。空間を見るだけでそこにある魔力や展開しつつある魔法の構成を読み取ることができ、一度見た魔法なら他国の魔法でも自由に使うことができる。肉親、友人などの親しい人物を目の前で殺されるなど、精神に強いショックを受けると暴走し破壊を撒き散らす。その事から複写眼の保持者は破壊を撒き散らす化け物と人々に忌み嫌われている。暴走時、通常なら複写眼の保持者は二度と正気に戻ることができない。ただし完全に暴走する前、絶叫、もしくは哄笑を上げている段階で第三者が気絶させることができれば暴走を防ぐことができる。その方法で暴走を止めた稀有なケースが作中で描かれている範囲ではライナがアルアを、ティーアが保護していた保持者の子とも達を止めた二回。
- ライナは暴走から自我を取り戻す事のできる例外的存在であり、暴走の状態も通常の複写眼の保持者とは違っている。またその暴走状態から自我を取り戻しかけている状態で第三者に瞼を閉じさせてもらう事で完全に元の状態に戻ることができる。クラウによると大抵の保持者は精神の未熟な子どもの頃に暴走してしまうため、ライナのような年齢(幼いの頃の記憶を持っていないため正確ではないが現在20才)まで生き延びている例は少ないと推察できる。ライナとアルアの例を見ると、事故的なものではなく軍が実験と称して精神的ショックをわざわざ与えて意図的に暴走を促すような事実もある。
- ガスタークでは暴走前の複写眼は魔眼の中ではさほどレベルの高いものではないと評価されていたようだが、ライナはアルアに魔法の援護させた戦闘において「やっかいさは最悪」とスイに言わしめた。
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- 殲滅眼(イーノ・ドゥーエ)
- 魔眼の一種。発動時には瞳の中に朱の十字が表れ、この世界の魔道学における気の流れ、もしくは精霊と言われているものを吸収することにより超人的な身体能力を得ることができる。魔法、もしくは人間の肉体を直接喰らう事によって効率よく力を得ることが可能であり、また空間から直接精霊を吸収する事によって力を得ることもできるが時間が掛かり得られる力も小さい。瞳が無意識に空間の精霊を吸収してしまうため上手く魔法の構成が創れず、自らは魔法を全く使うことができなくなっている。天から降ってきた声に従い胎内から母親を食い殺して生まれてくる。
- そのため、少なくとも保持者であるティーアに関して言えば人間を自分達と同じ存在とは思っておらず見下しており人間を喰らう事に罪悪感を感じていない。ティーアの話しぶりからするとそれは他の殲滅眼にも同じような傾向があると思われる。
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- 夢置眼(エブラ・クリプト)
- 魔眼の一種。発動時には瞳の中に縦に並んだ朱の点が現れ睡眠時他人の夢を覗き見ることができる。対象のいる場所が自分から離れれば離れるほど読み取れる夢の内容は断片的なものになる。
- ティーア達の組織はこの夢置眼の保持者達がその能力により各地の魔眼(神の眼)の保持者を探している。
- 忌破り(いみやぶり)
- ある国の魔法技術を習得し、何らかの事情で国外に逃亡した人物を指す。魔法技術はそれぞれの国ごとに全く違うため情報が漏れる事が軍事バランスが崩れる事に直結すその為忌破りと呼ばれる人物を抹殺するために忌破り追撃隊が存在する。
- 忘却欠片(ルール・フラグメ)
- ライナが仮に呼称している「勇者の遺物」のガスタークにおける呼称、および正式と思われる名称。
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- アイルクローノの鎌
- クゥの所持する大鎌の形をした忘却欠片。所持者の身体能力を飛躍的に向上させる。また、刃に触れたものを凍結させる能力を持つ。しかし、使用している間は感情も凍結するという副作用がある。
- エレミーオの櫛
- スイが所持していた櫛の形をした忘却欠片。対象に向かって振ることにより強烈な衝撃波を発生させる。暴走したアルファ・スティグマの保持者の放つ破壊をもたらす五芒星を打ち消す対策として使用されていたが、暴走したライナの放つ五芒星には効果がなく逆に破壊されてしまった。
- 黒叡の指輪
- フロワードが持っている黒い指輪。実体を持つ獣の姿をした影を生み出し、操る。「影」を繋げることで、切り落とされた腕をくっつけることもできる。
- 來獣の指輪
- リルが持っている指輪。実体を持つ光の獣を生み出す。黒叡の指輪と同等の力を持っている。
- グロウヴィル
- レファルが所持する大剣の形をした忘却欠片。極めて絶大な威力を誇るが使用の際には体の一部を失うという高いリスクを負わなければならない。力を行使する際にはライナの暴走時と同様に空から堕ちてくるような声が聞こえるが、ライナのそれとは違って厳かで畏怖を抱かせるものである。
- 石喰い(スパンクエル)
- リルが持っている忘却欠片。具体的な効果は不明だが、魔眼保持者の眼球を抉り出したり、ルークの糸を切り刻んだりした。
- ラッツェルの糸
- ルークの所持する針の形をした忘却欠片。細い針から目を凝らさなければ見えないほどの細く強靭で決して切れない糸を無限に出し入れできる。もとはただの便利な裁縫道具だったようだがルークは武器として使用している。
- 次元の龍
- 持ち主の願望を具現化して、世界に破滅と絶望をもたらす黒の番(つがい)の黒水晶。グロウヴィルに匹敵する極めて強力な忘却欠片であり持ち主が邪悪な心の持ち主であれば破滅の龍化してしまう。現在シルが所有しているがシルの願いは友人が欲しいという純粋なものであったため破滅の龍化せずに人間となった。ちなみに破滅の龍化しなくともある程度の力は持っている模様。
- メノスの断残
- 全てを焼き尽くすまで消えることの無い黒い炎を生み出す人形の形をした忘却欠片。城三つ薙ぎ払って余りある威力であり、使用者は逃げ切ることができないため本来は自爆用であるが、ゾーラはルシルの能力を逆手に取り対処の隙を利用して逃走した。
- アートファールの呪詛
- リューラがライナに扉を見せるために使用。効果の詳細は不明。
- 神獣消し(シプアムス)
- かつてルーナ帝国の神から姫へ贈られた魔払いのお守り。周囲の光を取り込み巨大な雷を発生させる。山ぐらいなら跡形もなく消し去る威力を持っている。
- すべての式
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- 遥か昔、南の果てに住んでいた寂しがりの悪魔。後にすべての式を解く者とすべての式を編む者の二つに分かれる。
- すべての式を解く者
- すべての式から分かれた後、狂った勇者に喰われる。現在ではライナのことである。別名α。
- すべての式を編む者
- すべての式から分かれた直後、狂った勇者に喰われる。現在はエリス家の現当主ルシル・エリスのことである。別名ω。
- 狂った勇者
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- 狂った黒い勇者とも呼ばれる。一説によれば、遥か昔女神を皆殺しにした後に世界を一度終わらせた。すべての式を解く者を喰らい真になる。喰われたすべての式を解く者は地獄のような痛みが永遠に続くことになる。現在ではシオンのことである。
- 神の声
- 鍵
- 門
[編集] 既刊一覧
- 伝説の勇者の伝説(長編) 第一部 1~11巻
- 昼寝王国の野望 ISBN 482911410X 2002年2月25日 初版発行
- 宿命の二人三脚 ISBN 4829114398
- 非情の安眠妨害 ISBN 4829115181
- 大掃除の宴 ISBN 4829115645
- 出来心の後始末 ISBN 4829116064
- シオン暗殺計画 ISBN 4829116404
- 失踪の真相 ISBN 4829116617
- 行方知れずの恩知らず ISBN 482911729X
- 完全無欠の王様 ISBN 4829117680
- 孤軍奮闘の王様 ISBN 4829118172
- 君子豹変の王様 ISBN 4829118709 2006年10月25日 初版発行
※長編に関しては、表紙カバーが2007年10月以降に順次書き下ろし新装カバーに置き換えられた。 構成はメインキャラクターが1巻に1人ずつ。
- 大伝説の勇者の伝説(長編) 第二部1~巻
- 行く先未定の大逃亡 ISBN 9784829119662 2007年10月25日初版発行
- 明日をも知れぬ大合戦 ISBN 9784829119815
- とりあえず伝説の勇者の伝説(短編)
- 脱力のヒロイック・サーガ ISBN 4829114835
- 無気力のクロスカウンター ISBN 4829115300
- 暴力のファーストコンタクト ISBN 4829115769
- 魔力のバーゲンセール ISBN 4829116250
- 魅力のオーバーヒート ISBN 4829116765
- 死力のダンスパーティ ISBN 482911746X
- 努力のタイムリミット ISBN 4829118091
- 権力のワンダーランド ISBN 4829118547
- 全力のドロップアウト ISBN 4829118903
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