人柱
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人柱(ひとばしら)は、堤、橋、城といった大規模な建築物が水害や敵襲によって破壊されないよう神に祈願するため、生きながら建築物やその近傍に埋められた人身御供である。 また、情報の少ない製品を自ら購入し、テスト及びレビューをする人のこと。
[編集] 概要
古墳の造築に当たって人身御供にされた人々から始まり、史実はともかくとして日本各地に伝説が残っている。現在では工事の際に人柱を立てることはしないが、タコ部屋労働に伴って生き埋めにされた労働者も人柱と呼ばれ、通常の労働環境下であっても不幸にも工事中労働者が事故死した場合、慰霊と鎮魂の思いを込めて人柱と呼ぶ場合がある。
上記の例とはややニュアンスが異なる人柱も存在する。例を挙げれば、城の秘密通路を作成した作業員が秘密隠蔽の為に全員殺され、その死体を人柱に見立てるケースである。表現としては残酷であるが、実用性が伴った人柱と言える。上記のタコ部屋の人柱も、不当労働や賃金の未払いから「どうせなら殺してしまえ」という理由で人柱にされてしまった例も考えられる。
炭鉱火災が発生した際に酸素が供給されなくなるように坑内に残る鉱夫を救助せずに坑口を封鎖するケースも該当するとされる。(但し、これは小説や映画での創作であるといわれている)
自虐的な比喩として、動作するかよくわからない怪しげな新製品やジャンク品を率先して購入・試用し、良品か粗悪品(地雷品)かを調べるマニアの事も指す。特にパーソナルコンピュータは、部品・ソフトウェアがバラ売りされている一方で、互換性が低かったのでマニアは大枚をはたいてそれらを試用し、ネット上で誇らしげに動作報告をしたものである。動作が保障されない試用版(ベータ版)ソフトのことを人柱版と称することもある。動作検証のために自らの財産を他人のために犠牲にすることから転じたと考えられる。
[編集] 人柱伝説の残る建築物の例
日本国内
- 常紋トンネル - タコと呼ばれた労働者の骨が待避壕から出た。タコが生き埋めにされたことは、当時のタコ部屋労働者他の証言から明らかになっている。
- 越川橋梁 - 根北線の未開業区間にある橋梁
- 茨田堤 - 日本書紀、仁徳天皇の条
- 香川・小田池、平池の堤防
- 刈藻島・兵庫県
- 富士川の雁堤
- 長浜城 (近江国)
- 松江城
- 服部大池 - 堤建設の際に埋められた「お糸の人柱伝説」
- 厳島神社
- 錦帯橋
- 輪中
- 芋川用水
- 吉田新田 - 埋め立て工事に際しての「お三(女名)の人柱伝説」が有り、鎮守の日枝神社は「お三の宮」と呼ばれる。
日本国外