モスリン
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モスリン(仏語: mousseline)とは羊毛(ウール)などの単糸で平織りした薄地の織物。
日本では通常モスリンといった場合は羊毛100%のものを指す。別名、メリンス(スペイン語に由来)、唐縮緬(とうちりめん)。
薄地で柔らかくあたたかいウール衣料素材で、日本では戦前の普段着の着物、冬物の襦袢、半纏の表などに用いられているが、近年では東北地方以外ではほとんど流通しておらず、目にする機会は少なくなっている。
神崎川を越えて大阪の淀川区と兵庫県尼崎市を結ぶ橋の一つに「毛斯倫(モスリン)大橋」があるが、この名称は初代の橋が「毛斯倫株式会社」が掛けた私橋だったことによる。戦前には日本のモスリン製造業は繊維産業として隆盛を誇り、一代で莫大な財を成した資産家も多かった。
日本が戦争に突入し、政府より「繊維製品の使用制限」が公布され(1937年10月11日)、羊毛製品にステープル・ファイバー(スフ)混入が命じられると、自ずとモスリンの製造業は衰退を余儀なくされた。
17世紀にヨーロッパに登場したが、その語源はイラクの都市モースルからもたらされたことに由来する。しかし実際にはインド亜大陸のダッカ(現バングラデシュ)で作られ陸路モースルまで運ばれていた。(もともとは木綿織物であるが、日本には木綿では伝わらず広まらなかった)