ミツクリザメ
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?ミツクリザメ | ||||||||||||||||||
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Mitsukurina owstoni |
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Mitsukurina owstoni Jordan, 1898 |
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和名 | ||||||||||||||||||
ミツクリザメ | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Goblin shark |
ミツクリザメ Mitsukurina owstoni (箕作鮫、英名:Goblin shark、ゴブリン・シャーク)は、ネズミザメ目ミツクリザメ科 Mitsukurinidae に属するサメである。ミツクリザメ科は 1 属 1 種。板状に変形した長い吻が特徴である。写真や図では口が前方へ突出した状態を描いたものが多いが、通常は頭蓋の中に納まって突出しない。深海性のサメで、大変珍しい種。
目次 |
[編集] 名前の由来
学名 Mitsukurina owstoni は発見者アラン・オーストン(A. Owston)と、東京大学三崎臨海実験所の初代所長であった箕作佳吉(みつくりかきち)教授に捧げられたものである。オーストンはイギリスの貿易商であったが、実験所の研究に理解を示し、ドレッジ(とくに深所にいる海洋生物を採集するための網)で捕獲した生物をたびたび寄贈していたようである。ある日、彼は相模湾を航行中に、これまでに見たことのない奇妙な生物を採集した。このミツクリザメの記念すべき第一号は実験所に寄贈された後、1898年、アメリカの魚類学者、デイビッド・スター・ジョーダン(David Starr Jordan)により全くの新種であることが確認され、Mitsukurina owstoni と名づけられた。和名はもちろん、箕作教授に因んだものである。
ミツクリザメは船上に逆さ吊り上げられると顎が飛び出し、嘴(くちばし)のような口には多数の鋭い歯が剥き出しになる。自身の体重で顔は膨らみ、ブヨブヨした軟らかい体はみるみる褐色に変色、さらに大量出血により全身が赤く染まる。このおぞましい姿から、英語では Goblin shark (悪鬼のようなサメ)と呼ばれている。
[編集] 形態
大きく突出した扁平な吻(頭部先端の尖った部分)が特徴である。吻には電気受容器のロレンチニ瓶を多数備えており、海底の餌を探すのに役立っている。吻は軟骨性で柔軟なため、カジキ類の吻のように攻撃や防御を行うには適していない。
ミツクリザメは顎が前方に突出した姿で描かれることが多いが、突出自体はサメ類が共通して持っている性質であり、さほど驚くに値しない。本種の場合は顎が容易に、しかもかなり顕著に突出して目立つため、そのように描かれるのであろう。上顎は湾曲し、鳥の嘴のような形をしている。口の前半部の歯は長く尖り、表面は滑らかで内側に向けて曲がっている。それに対して後半部の歯はやや短く、ものを噛み砕くのに適している。
全長は最大で 5m 程度に達するが、平均的な個体は 3m に満たない。生存時の体色はやや灰色がかった薄ピンク色で、死後は褐色、さらに時間が経過すると灰色になる。やや透明な皮膚の下には血管が走っており、それが生きているときの独特なピンク色を生み出している。
背には比較的小さな背鰭を2 基、また胸鰭、腹鰭、臀鰭を備える。尾鰭は上葉(上半分)が長く、下葉(下半分)は上葉に比べてかなり短い。このタイプの尾鰭を持つサメは底生性であることが多く、あまり速くは泳げないと考えられる。体には古代のサメの特徴を残しており、生きている化石などとも呼ばれる。
特徴的な外見から、映画「ガメラ対深海怪獣ジグラ」に登場する敵怪獣ジグラのモチーフとして採用されている。
[編集] 分布
これまでに捕獲された個体の多くは日本近海で見つかっている。とくに駿河湾や相模湾など水深が1000m 以上にもなる深海湾での捕獲が多い。一方、千葉県沖の東京海底谷の入り口で多くの幼体が見つかり漁の網にかかることがある。他には、太平洋西部のオーストラリアや大西洋のギアナ、ビスケー湾、マデイラ諸島、インド洋の南アフリカなどの周辺海域で生息が確認されている。水深1200m かあるいはそれ以上の深海底に生息し、通常人間が海中で生きている姿を目にすることはない。
[編集] 生態
深海種であり、これまでに捕獲された個体も少ないため、生態の解明は難航している。生殖に関しては事実上何も分かっていない。ミツクリザメはその長い吻を使って海底の餌生物を探し出し、大きく顎を突出させて獲物を捕らえるものと考えられている。長く鋭く伸びた棘のような歯は、肉を食いちぎるというより、くわえた獲物を逃がさないために働いているのだろう。カニなど硬い甲羅をもつものは奥歯で噛み砕いて食べる。餌は主に深海性の甲殻類や頭足類、硬骨魚類や他のサメ類である。
[編集] 人との関わり
人には危害を加えない。現在までに数十個体が採集されているが、得られた貴重な個体は剥製標本にされたり、研究に使われるため、食用にされることはまずない。一時生きたミツクリザメが東海大学海洋科学博物館にて飼育されていたが、これは極めて稀な例である。
剥製標本は世界各地の水族館や博物館が所有している。一部では販売も行っている。日本では、しながわ水族館(東京都)、京急油壺マリンパーク(神奈川県)、葉山しおさい博物館(神奈川県)、世界クワガタムシ博物館(埼玉県)、駿河湾深海生物博物館(静岡県)などで見ることができる。
[編集] 参考文献
- A&A・フェッラーリ 『サメガイドブック-世界のサメ・エイ図鑑』 御船淳・山本毅訳、谷内透監修、ティビーエス・ブリタニカ、2001年、256頁。