マッスルボマー
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ジャンル | プロレス |
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対応機種 | アーケード [AC] FM TOWNS スーパーファミコン [SFC] |
開発元 | カプコン |
発売元 | カプコン |
人数 | 1〜4人 |
メディア | [FMT] CD-ROM [SFC] ロムカセット |
発売日 | [AC] 1993年7月/12月(DUO) [FMT] 1993年11月 [SFC] 1994年3月30日 |
価格 | [FMT] [SFC] 9,800円(税抜) |
使用基板 | CPS-1 |
マッスルボマー(MUSCLE BOMBER)は、1993年7月にカプコンからアーケードゲーム機として発表された、プロレスを題材とするアクションゲーム。海外版でのタイトルは「Saturday Night Slam Masters」(サタデーナイトスラムマスターズ)。
1993年12月にはタッグマッチ専用になり同キャラクター対戦を可能にした調整版『マッスルボマーDuo -HEAT UP WARRIORS-』が登場している。キャラクターデザインは『北斗の拳』で有名な原哲夫が担当。
発売当時は『ストリートファイターII』シリーズをはじめとした対戦型格闘ゲームのブームの渦中であり、その影にあって注目度はあまり高いものではなかった。ゲームシステムは格闘ゲームに慣れたプレイヤーには取っつきが悪く、キャラクターも「濃い」ものばかりで敬遠されがちであった。しかし一方でその荒削りな魅力と、原哲夫が手がける熱いキャラが調和を見せ、一部に熱烈なファンを生んでいる。同社のゲーム『ファイナルファイト』シリーズからマイク・ハガー市長がプレイヤーキャラクターとして登場したことが話題を呼んだ。
家庭用ゲーム機・パソコンへの移植は、1993年11月に発売されたFM TOWNS版(FM TOWNS マーティーのCMにも使用された)と1994年3月30日に発売されたスーパーファミコン版が存在する。
目次 |
[編集] システム
ゲームのモードは1対1で対戦できるシングルマッチと2対2で戦うことのできるチームバトルロイヤルの2つがある。どちらのモードもリング内を上下左右に移動しながら、打撃技や投げ技を繰り出して相手の体力を奪っていくのだが、このゲームは体力をゼロにしても勝負は終わらず、通常は勝敗には直接関与していない。プロレスの試合のようにフォールして3カウントを奪うかギブアップさせることによって初めて勝利となる。従って体力が残っていても試合が終わる事があり得るが、フォールやギブアップ技を仕掛けた際、体力の残りが多いほど逃げられやすくなっているため、ある程度以上ダメージを与えないと勝利するのは至難の業である。(体力がゼロになると、フォール・ギブアップ技から逃げることが絶対に出来なくなる)なお、時間切れの場合は残り体力(チームバトルロイヤルでは2名の合計の体力)によって勝負を決する。
試合ではボタンひとつで相手との距離によって様々な技が出せるため、多少大雑把な操作でもゲームを楽しめるのが特徴。一方で投げを含んだ技の使いこなしや戦略の駆け引きには奥の深いところもある。他にも、相手をロープに振っての追撃やコーナーポストに上ってのアピール行動など、プロレスらしい要素を多く持っている。
正面から掴んで↓+攻撃とジャンプ同時押しで各キャラ共通で隠し技が出せる。また、少し複雑なコマンドを要求する必殺技(コマンドはキャラ毎に異なる)も各キャラに1つずつ設定されており、必殺技の名に違わぬ大ダメージを与えることができる。
ちなみに初代では「防御」というものが存在しないため、攻撃を回避しやすくするためにリング内を好きなように移動できるようになっている。
シングルマッチでは、さらに「場外」まで設けられており、パイプ椅子やビール瓶などを拾って凶器として使うこともできる。凶器には使用回数の制限があり、例えばパイプ椅子なら3回、ビール瓶なら1回攻撃が当たれば壊れて消滅するようになっている。
チームバトルロイヤルでは基本の8キャラ(CWA所属レスラー)に加えて、シングルマッチにおけるCPU専用である2人のボスキャラ(BWA所属レスラー)が使用できる。さらにマルチタップを使用することで最大4人までの同時対戦が可能となっている。
[編集] 登場人物
※海外版ではハガー以外のプレイヤーキャラは全く違う名前(英語版も参照)に変更されているため、()内には「日本/海外」として表記する。
[編集] プレイヤーキャラクター
[編集] CWA
- アレクセイ・ザラゾフ(Alexei Zalazof/Biff Slamkovich(ビッフ・スラムコビッチ))
- ロシア出身のプロレスラーで、ニックネームは赤い獅子。幼い頃からレスリングの英才教育を受けて育っており、数々の功績にも奢らず日々鍛錬を重ねている。パワーとスピードはともに平均的で攻めも守りも得意なため、スタンダードで使いやすい。あらゆる戦い方が可能でどのような相手とも渡り合えるので、ある意味プレイヤーの性格がそのまま反映されやすいキャラと言える。『ストリートファイターIII』のアレックスのモデルとなっている(と思われる)。必殺技は高速で6発の拳を叩き込むソニックフィストと逆間接を決めたまま一本背負いをするサンセットスプラッシュ。隠し技はツームストン・パイルドライバー。
- ラッキー・コルト(Lucky Colt/Gunloc(ガンロック))
- アメリカ出身で、ニックネームはフロリダの荒馬。ザラゾフとはライバル関係にあり、ともにハガーに師事した仲。現在でも互いに力を磨き合っているが、冷静沈着なザラゾフに対して、コルトは頭に血がのぼりやすく、すぐにカッとなる性格。ザラゾフと同じような体格で同じような技を持っており、ザラゾフがローキックを出す間合いでコルトはトゥキックを出すなどの細かい技が異なる以外、2人の性能はほぼ互角。単純にプレイヤー同士の技術を競いたければ、ザラゾフとコルトでの対戦がオススメ。必殺技はザラゾフと同じくソニックフィストとサンセットスプラッシュ。隠し技はパワースラム。
- ミステリアス・ブドー(Mysterious Budo/The Great Oni(ザ・グレート・オニ))
- 日本出身。歌舞伎役者を彷彿させる外見で、ニックネームは白面の悪魔。真っ赤な長髪、顔には白いペイントの派手なメイクとコスチュームは嫌々始めたものらしいが、最近では徐々に愛着を感じ始めているとか。軽量級でパワーは無いものの、それを補って余りある高性能かつ多彩な技を持つ。中でも蹴りを使った攻撃は強力なものが多く、間合いを上手く保てば一方的に相手を攻撃できる。必殺技はその場で跳躍して横回転しながら蹴りを放つ旋風脚と相手の首に爪を立て風車のように回る血風刃(けっぷうじん)。『ザ・キング・オブ・ファイターズ』に登場するハイデルンのネックローリングにソックリな技だが、技自体はこちらの方が元祖。隠し技はフェイスクラッシャー。
- タイタン・ザ・グレート(Titan The Great/Titanic Tim(タイタニック・ティム))
- イギリス出身。2m36cmという巨躯を持ち、ニックネームは最強最後の巨人。生まれた時から体重は5000gを超えており、小学校卒業時にはすでに身長190cmに達していたと言われる。その巨体ゆえ動きは鈍いが、その分非常にリーチが長く、パワーはハガーをも凌駕する。加えてカウンター技も豊富に備えるため、使いこなせば最強を目指せるキャラのひとり。『ストリートファイター』シリーズに登場するバーディーとは過去にコンビを組んでいた関係にある。必殺技はマットに手を付いて周囲を薙ぎ払うように両足を振り回すサークルウェーブと相手を足で上空まで放り投げた後で落ちてきたところにバックブリーカーをかますという荒業のタイタンブリーカー。隠し技はアイアンクローバスター。
- エル・スティンガー(El Stinger/El Stingray(エル・スティングレイ))
- メキシコ出身の覆面レスラーで、ニックネームはアカプルコの殺人蜂。目立ちたがり屋で脚光を浴びたいがためにリングに立っているが、その鍛えぬかれた実力は本物。身長168cmで体重も70kgに満たないという小柄で最軽量のキャラで、「殺人蜂」の名に恥じぬ全キャラ中で最速のスピードを誇る。反面パワーは最弱で打たれ弱く、技のコマンドも少々難しいものが多いため、扱うにはテクニックがいる。必殺技は回転しながらロケットの如く水平に飛行して相手に頭突きを喰らわすスクリューダイビングと相手の顎に膝蹴りを入れた後に上空高くジャンプしてきりもみしながら相手の頭目掛けて落下して頭突きをかますというアトミックダイバー。隠し技はモンキーフリップ。
- マイク・"マッチョ"・ハガー(Mike "Macho" Haggar)
- 『ファイナルファイト』でご存知の熱血市長。アメリカ出身で、架空の都市メトロシティの市長を務める。持ち前の正義感とパワーで悪党から恐れられている存在。どちらかと言えばパワータイプだが、その他の能力もなかなか高く使いやすい。ただし全体的に技の出が若干遅めなので、相手に攻撃を潰されないように注意して立ち回ることが求められる。必殺技は、『ストリートファイターII』のザンギエフでもお馴染みの自身を軸に回転して両腕でラリアットを放つダブルラリアットと相手を掴んで飛び上がり高速回転しながら落下するスクリューパイルドライバー。隠し技はジャンピングパイルドライバー。
- シープ・ザ・ロイヤル(Sheep the Royal/Alexander the Grater(アレクサンダー・ザ・グレーター))
- オーストラリアのシドニー出身のレスラーで、ニックネームは迷える羊。元アメフト界のスター選手であったが、数々の暴力沙汰を起こしたために追放処分を受け、その後プロレスに転向した。「迷える」の名は如何に相手を殺さないように戦うか、と言う彼自身の悩みから来ているらしい。ビッグバン・ベイダーを彷彿させる外見を持つキャラ。対空性能が乏しく動きも鈍いが、それ以外は標準以上の性能であり、特に接近戦に強い。必殺技は猛スピードで地獄突きを放つショットガンスタッブと相手をきりもみさせながら上空に放り投げるトルネードスラム。隠し技はサンダーファイヤーパワーボム。
- "ミッシングIQ" ゴメス(Missing "IQ" Gomes/King Rasta Mon(キング・ラスタ・マン))
- ドミニカ共和国出身のレスラーで、ニックネームは失われた知性とかなり酷いことを書かれている。実際、ジャングルで猿に育てられたせいで今でも余り人語が得意ではないらしい。『ストリートファイター』シリーズのブランカに似た設定のキャラ。野生育ちということもあってか、体格に似合わず非常にジャンプ力が高く、対空性能にも優秀。基本的には攻守を備えたバランス型のキャラだが、動作自体にややクセがあるため、使いこなすには少々慣れが必要。必殺技は駄々っ子のように手足をジタバタと振るジャングルパニックと相手を掴んで縦回転しながらジャンプし、凄まじい勢いで地面に叩きつけるというハリケーンストンパー。いずれもコマンドが簡単で出しやすい。隠し技はフェイスドライバー。
[編集] BWA
- キマラ・ザ・バウンサー(Kimala the Bouncer/Jumbo Flapjack(ジャンボ・フラップジャック))
- アメリカ出身で、体重200kgの巨漢レスラー。ニックネームは荒ぶる巨鯨。丁寧な口調と肥満した体躯、原哲夫デザインということもあってか、まるでハート様のようである。「強い者には弱く、弱い者には強い」性格で、自分より強いアストロには忠実な反面、弱った対戦相手をいたぶることに快感を感じている。見た目通り全キャラ中で最も動きが鈍重。とにかく動きが遅いので練習しないとキャラの性能に戸惑うが、この鈍重さは対戦相手にとっても戦いにくい要因のひとつである。反面、パワーとリーチにかけては非常に高性能であり、首締めやストンピングなど、まさにヒールに相応しい数々の強力な攻撃を持つ。必殺技は周囲に口から吹き散らす毒霧(反則技)、ジャンプしながら頭突きをかますバルーンアタック(DUOで追加)、現実のプロレスにも存在するジャイアントスイング。隠し技はオクラホマスタンピート。
- アストロ(Astro/The Scorpion(ザ・スコーピオン))
- 出身国をはじめ、その経歴や素性は一切不明で素顔すら見た者はいないと言う。ニックネームは褐色の閃光。闇プロレス団体BWA(ブラッド・レスリング・アソシエイション)の総帥であり、ひたすら強者との戦いを求めている。本ゲームのラスボスとも言うべき存在。メット風のマスクを被っており、他のキャラに比べると体格は小柄。だが見た目とは裏腹にパワーとスピードを併せ持つハイレベルなバランス型キャラで、技もあらゆる局面に対応できる高性能なものが多い。文句なしにマッスルボマー最強のキャラであるが、それだけに性能をフルに引き出すには練習が必要。必殺技は片手で倒立した状態で開いた脚を高速で回転させて蹴りを放つデススパイラル、連続でハイキックを繰り出すタイガーファング(DUOで追加)、相手を担ぎ上げてジャンプして、きりもみを加えながら地面に叩きつけると同時に腹部に頭突きを叩き込むピラミッドクラッシュ。隠し技はタイガードライバー。
[編集] サブキャラクター
- ヴィクター・オルテガ(Victor Ortega)
- 幾つかの派閥に分かれていたアメリカのプロレス団体を一つにまとめ上げたCWA(カプコン・レスリング・アソシエイション)の初代チャンプで、ニックネームはマッスルボマー。表題の『マッスルボマー』も彼の称号から来ている。類稀なパワーとテクニックを併せ持ち、その無敵とも言われる強さは『オルテガ覇者伝説』として世界の格闘界で語り継がれるほどだが、彼自身の詳細なデータは不明である。オルテガの存在によりプロレス界は平穏な時代が続いたが、幾つかのタイトルマッチをこなした後、彼は突如として失踪。噂では自分と戦えるだけの選手がいなくなってしまったことが原因らしいが、真相は定かではない。この失踪事件がアストロ率いる闇プロレス団体BWAが表の世界に進出する機会を与えてしまった。本作の大会(初代のシングルモード)は、オルテガの後継者を決めるための戦いである。
- ハリー・ヒックス(Harry Hicks)
- アメリカ出身で、マッスルボマーの試合を裁くレフェリー。ニックネームは人間裁判所。彼の父親もレスラーであったため、その憧れからプロレス界に入る。その華麗にして公正なジャッジには定評があり、オルテガの試合を担当した経験もある。ゲーム中では初代のシングルモードにのみ姿を見せる。必殺技は正確無比な審判による電光石火の3カウント。
- ジェシカ・ハガー(Jessica Haggar)
- ハガー自慢の箱入り娘で、ニックネームはプリティ・ドール。父の試合を観客席で見守っており、ハガーが勝利すると思わずリングに上がり込むこともある。まだ父に夢中で恋人はいないが、後に『ファイナルファイト』のコーディーと恋愛関係になる。なお、試合後にコルトがジェシカにちょっかいを出した際、怒ったコーディーと場外乱闘騒ぎになったことがある。必殺技はセクシーな目線攻撃と魅力的なナイスバディ。
- フリーク(Freak)
- ゴメスのセコンドにして友人で、ニックネームはインテリジェンスモンキー。IQ200超とも言われるチンパンジーで、人語をほぼ理解する。ゴメスとはジャングルで兄弟のように育ってきていたので以心伝心の関係にあり、ゴメスが試合に勝利すると喜びの余りリングで飛び跳ねることも。必殺技はウキ(?)らしい。
[編集] 漫画版マッスルボマー
1994年の週刊少年ジャンプ15・16号で、前編・後編に分けて読み切り作品として掲載された。原作は沢村烈、漫画は柳田東一郎による作品。登場キャラクターは概ねゲームのキャラクターと同様で、CWAの選手を次々と屠って行くアストロに主人公であるザラゾフが挑む、と言うのがストーリーの大筋。ちなみにこの漫画のアストロは、3D(Diving Death Drive)と言うオリジナルの投げ技を必殺技として使用している。
[編集] 関連項目
- DUOの続編であるが、こちらはリングの奥行きを無くして他の2D対戦格闘ゲームに近くなるなどシステムが大幅に変更されている。
カプコン対戦型格闘ゲーム
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ストリートファイター | ストリートファイター - II - ZERO (ZERO FG) - III - IV - EX - MOVIE/RBOF - 登場人物 |
ヴァンパイア | ヴァンパイア - ハンター - セイヴァー - ダークストーカーズコレクション - 登場人物 |
マーヴル VS. シリーズ | X-MEN - MSH - X-MEN vs SF - MSH vs SF - MARVEL VS. CAPCOM - MARVEL VS. CAPCOM 2 |
CAPCOM VS. SNK | CAPCOM VS. SNK - CAPCOM VS. SNK 2 |
ジョジョの奇妙な冒険 | ジョジョの奇妙な冒険 - 未来への遺産 |
その他(2D) | スーパーマッスルボマー - サイバーボッツ - ウォーザード - ポケットファイター - CAPCOM FIGHTING Jam - 戦国BASARA X |
その他(3D) | スターグラディエイター - ジャスティス学園 - 超鋼戦紀キカイオー - ファイナルファイト・リベンジ - 史上最強の弟子ケンイチ 激闘!ラグナレク八拳豪 - Fate/unlimited codes |