ヘラクレスの冒険
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ヘラクレスの冒険(英名The Labours of Hercules)は1947年に発表されたアガサ・クリスティ作のエルキュール・ポアロを主人公とした推理小説(短編集)である。
[編集] ストーリー
探偵業からの引退を考えたポアロは最後の仕事として自らのクリスチャンネームであるエルキュール(ヘラクレス)の難業にちなんで12件の依頼を受けることを決意する。
- ネメアのライオン(The Nemean Lion)
- ポアロの元に妻のペキニーズ犬がいなくなった。調査してほしいという手紙が届く。どこか気になったポアロは送り主に会うことにする。
- レルネーのヒドラ(The Learnean Hydra)
- 妻を亡くした医師に対するいわれなき中傷、ポアロは噂の出所と事件の真相を探る。
- アルカディアの鹿(The Arcadian Deer)
- 雪の中宿屋で立ち往生するポアロに対し青年は一目惚れの女性の捜索を依頼する。ポアロは様々な国を移動したが……
- エルマントスのイノシシ(The Erymanthian Boar)
- 山へと向かうケーブルカーの中で強引に車掌から悪党逮捕への協力を依頼する旧友の名が記された手紙を渡されたポアロ。しかし、ホテルについた後、ケーブルカーが転がって来た大岩で破損する。そして、ポアロは、ホテルの泊まり客に犯人が居ることをさとる。
- アウゲイアス王の大牛舎(The Augean Stables)
- 国民のシンボル的存在であった前首相は、実は悪辣な人物であった。しかし、ある雑誌にその事実を嗅ぎ付けられ、娘婿にあたる現首相はポアロに解決を依頼する。
- スチュムパロスの鳥(The Stymphalean Birds)
- 休暇先で次官のハロルドはしっかり者の中年女性と嫁に行ったその娘、そして、どこか異様な姉妹に見える二人連れに出会う。しかし、そこに娘の夫が現れて……
- クレタ島の雄牛(The Cretan Bull)
- その女性によれば恋人が自分自身を狂人であると思い込み婚約を破棄したと言う。相談を受けたポアロは恋人の家を訪れる。
- ディオメーデスの馬(The Horses of Diomedes)
- 電話により呼び出されたポアロは麻薬騒ぎの後始末を頼まれる。ポアロはコカインの出所を探るため、3人の娘に会う。
- ヒッポリュテの帯(The Girdle of Hyppolita)
- 暴動と共に消えたルーベンスの真作。その行方を追ってフランスへと旅立とうとしたポアロの元に奇妙な少女蒸発事件の情報がもたらされる。
- ゲリュオンの牛たち(The Flock of Geryon)
- 以前世話をした女性がポワロを訪ねてきた。友達が怪しい宗教にのめりこみ、全財産を教団に送るなどと言い出したらしい。ポアロは彼女に潜入捜査を依頼する。
- ヘリペリスたちのリンゴ(The Apples of Hesperides)
- 富豪の依頼はいわくつきの金の酒杯の捜索であった。探偵社まで利用してポアロは在り処を探すが……?
- ケルベロスの捕獲(The Capture of Cerberus)
- 混雑した駅で偶然の再開をしたポアロと女性。逆方向に進むエスカレーターによって無常にも引き離されながらもどこへ行けば会えるかと聞いたポアロに対して女性は「地獄で……」と答えた。
- そして、ポアロは、友人のジャップ警部から、その女性の経営する高級バー「地獄」で麻薬が売買されていると聞かされる。