フェロー諸島
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フェロー諸島(英語:Faroe islands, デンマーク語:Færøerne, フェロー語:Føroyar)は、スコットランドのシェトランド諸島およびノルウェー西海岸とアイスランドの間にある北大西洋の諸島。デンマークの自治領。面積は1398.85km²、人口は48,219人(2006年1月)。中心都市はストレイモイ島のトースハウン(Tórshavn、デンマーク語でThorshavn)。
- フェロー諸島
- Føroyar
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(国旗) (国章) - 国の標語 : なし
- 国歌 : Tú alfagra land mítt
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公用語 フェロー語、デンマーク語 首都 トースハウン 最大の都市 トースハウン 独立 なし(デンマーク領。自治開始は1948年) 通貨 フェロー・クローネ(DKK) 時間帯 UTC UTC(DST: +1) ccTLD FO 国際電話番号 298 - 註1:GDPは、CIA World Factbookより
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[編集] 歴史
アイルランドの修道士が最初に発見して修道院を築いていた。その後、9世紀頃ノルウェー西部からノルマン人(ヴァイキング)が入植し、11世紀にはノルウェー領となった。アイスランドに入植した人々は全てフェロー諸島からやってきたと言われている。1380年、ノルウェーとデンマークが同君連合(後のカルマル同盟につながる)に入って以来は、デンマークの支配を受けている。ただし第二次世界大戦中はデンマーク本土とは分断され、イギリスの占領下にあった。この期間の住民自治が自治政府要求の住民運動につながった。1948年には国防と外交の一部を除く権限を持つ自治政府が成立した。ちなみに本国は1973年にECに加盟したが、フェロー諸島は本国とは異なる独自の外交路線を歩み、現在もEUに属していない。
[編集] 地理
フェロー諸島は北欧の沖、ノルウェー海と北大西洋の間、アイスランドとノルウェーの中間付近に浮かぶ。座標は北緯62度西経7度。海岸線は1399km。涼しい夏と温暖な冬がある。冬は曇天で、霧と強い風の日が多い。島は多少の起伏がある荒涼とした岩場で、海岸は崖が多い。Slættaratindur の海抜882mが最高地点。
[編集] 経済
フェローとは「羊」の意味という説が有力。中世から羊の放牧が行なわれ、諸島内には羊が9万頭いるといわれる。また、馬や牛、ヤギなどの放牧、養鶏なども盛んである。牧草の栽培は諸島の至る所で行われている。ただし、高緯度、冷涼な気候のため、牧草以外の農耕には適していない。
伝統的な放牧と並行して、古くから水産業も盛んであった。現在は漁業が産業の中心となっている。漁獲された魚介類や水産加工品の多くは、日本の水産会社などが買い付けて、最終的に日本国内へ運ばれる。フェロー諸島産のサケや白身魚の冷凍フライなどが代表的である。また、日本、アイスランド、ノルウェーとともに、捕鯨国でもある。伝統的な捕鯨の手法が残り、地域住民が共同してクジラ捕りに参加する習慣は今でも残る。フェロー諸島がEUに加盟しない大きな理由は、捕鯨政策の違いにあるとされる。
そして、現在のフェロー諸島で注目される産業は、北海油田のフェロー諸島領海域の石油開発である。フェロー諸島は近い将来の独立を目指しており、石油は国家経済を支える収入源として期待されている。
[編集] 文化
フェロー諸島は、音楽や伝承の宝庫である。いずれも、古い北欧の文化を残すもので、アイスランドともまた違う。フェロー諸島の人々にとって祭りやクリスマスなど時季折々に欠かせないのが、チェーンダンスである。このチェーンダンスは、バイキング時代には北欧で広く行われたようであるが、なぜかフェロー諸島にしか残っていない。踊りは東ヨーロッパのポルカに似ている。先導役に合わせて島の古謡を大合唱しながら足を踏み鳴らす。これがフェロー諸島の最重要行事であるオラフ祭のときには、国会議事堂前の広場は国中から集まってきた人々によって巨大なチェーンダンスが日暮れ時から3時間近く続けられる。もちろん、指揮を執るのは首相。これは、バイキング時代の集会の名残で、直接民主制に付随するように形式的に現代まで引き継がれている。ほぼ国民総出の熱狂的なチェーンダンスが終わっても、町内単位で朝までチェーンダンスが続けられる。
- フェロー諸島の音楽
[編集] 名所・旧跡
[編集] 交通・アクセス
[編集] 航空
- ヴァガール空港 Vagar Airport
- コペンハーゲン国際空港からマースク航空(Maersk Air、SASスカンジナビア航空とコードシェア)ジェット機で毎日一往復。
- コペンハーゲン国際空港からアトランティック航空(Atlantic Airways、SASとコードシェア)小型機で毎日一往復。
- レイキャヴィーク空港国内線空港からアイスランド航空(Icelandair 、Atlantic Airとコードシェア)小型ジェット機で毎日一往復。
- ビルン空港(デンマーク、ユトランド半島中部)からマースク航空Maersk Airの定期便(夏季)。
- ビルン空港、オスロ空港、スタヴァンゲル空港、アバディーン空港、ロンドン・ヒースロー空港からAtlantic Airwaysの定期便がある。
[編集] 船舶
- トースハウン港
[編集] 地域内の交通
- バス
- 船舶
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Faroe Islands Tourlist Guide
- Føroya landsbókasavn (National library of the Faroe Islands)
- Faroe Islands Travel Guide
- Fróðskaparsetur Føroya / University of the Faroe Islands
- フェロー諸島のゴンドウ鯨漁
- Atlantic Airways
- Smyril Line
- Hagstova Føroya(統計局)
- 波轟と山鳴の島々 - 芸術祭の旅行記
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