バンジャール
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バンジャール(banjar)とは、インドネシア・バリ島にみられる地域コミュニティである。
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[編集] 概要
バンジャールは、形式的には居住単位であり、デサの既婚の男性居住者がそのメンバーとなるが、実際は「絶対主義的といえるほどの最高権力を持つ」(クリフォード・ギアツ)共同体であり、メンバーの生活のための法的、物質的、道徳的条件を整える役割を果たしている。
10世紀の古バリ語の碑文には、寺社関連の活動についてこの「バンジャール」の語がみられる。また、「バンジャール・パトゥス」(義務的な儀式参加)、「バンジャール・スカ・ドゥカ」(冠婚葬祭の相互扶助)という言葉にあるように、バンジャールの起源は、バリ・ヒンドゥーに根ざしたライフサイクルの儀式、とりわけ葬儀の準備・実行にあるとされている。しかし、その起源はどうあれ、一般にバンジャールは「親族のような共同体」と見なされている。
そして、バンジャールのメンバーシップである「クラマ・バンジャール」から除名されることは、バリの人びとにとって「甘んじて死を待つに等しい」事態である。
なお、行政事務を取り扱うバンジャールと同規模の組織としてドゥスンが並立している。かつて、バンジャールとドゥスンは、それぞれバンジャール・アダット、バンジャール・ディナスと呼ばれ(アダットは慣習を意味し、ディナスは行政を意味する)、役員構成員が重なる地域もあった。
[編集] バンジャールの歴史
[編集] 王国時代
[編集] オランダ植民地時代
[編集] インドネシア独立後
[編集] 1979年村落行政法の影響
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- クリフォード・ギアツ(小泉潤二訳)『ヌガラ――19世紀バリの劇場国家』(みすず書房, 1990年)