トヨタ・E型エンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

トヨタ・E型エンジン（トヨタ・Eがたエンジン）は、トヨタ自動車の水冷直列4気筒ガソリンエンジンの系列である。

目次 1 概要 2 改造 3 生産期間 4 型式 4.1 1E 4.2 2E-LU (2E) 4.3 2E-ELU 4.4 2E-TELU 4.5 2E-LJ 4.6 3E 4.7 3E-E 4.8 3E-TE 4.9 4E-F 4.10 4E-FE 4.11 4E-FTE 4.12 5E-FE 4.13 5E-FHE 5 注 6 関連項目

[編集] 概要

K型エンジンの後継として、1980年代中期から2000年代初頭まで、トヨタのコンパクトカーの主力エンジンに用いられたのがE型エンジンである。特にP系シャーシ（スターレット）やL系シャーシ（ターセル、コルサ、カローラII、サイノス)に数多く組み合わされた。初期にはキャブレター仕様であったが、2EにおいてEFI化が行われ (2E-ELU) 、ターボチャージャーの装着も始まった。ターボチャージャーは2E、3E、4Eに設定された。ハイメカツインカムヘッドが搭載されたのは4Eと5Eである。このうち4E-FEにはターボチャージャーが装着された4E-FTEも存在し、メーカー純正仕様ではこれがE型エンジンの最強モデルとなる。また5Eには高回転型のチューンを施した5E-FHEも存在している。

なお同じ型式のエンジンであっても、生産時期によってチューニングは異なっており、例えばEL4系に搭載された4E/5EとEL5系に搭載された4E/5Eでは、前者の方が高回転型である。その為、最大出力も大幅に異なっており、例えば最初期の4E-FE (1990-1992) は公称100馬力であるが、その後公称97馬力、次いで公称88馬力となった。

E型エンジンはEP系、EL系コンパクトカーの消滅とともに役目を終え、NZ型にバトンタッチして一線を退いた。

[編集] 改造

E型エンジンはいわゆるボーイズレーサーの代表車種であったスターレットに搭載されていた為、競技用の改造を受けることが比較的多かったエンジンである。中には一部のマニアによって5Eエンジン（1.5リッター）に4E-FTEのターボチャージャーとインタークーラーが移植された個体も存在した^[1]。この改造エンジンは俗に「5E-FTE」と呼ばれる^[2]。

[編集] 生産期間

• 国内向け：1984年10月 - 2002年7月

[編集] 型式

[編集] 1E

海外向け

• 種類：SOHC 12バルブ
• 排気量：0.999L
• 内径×行程：70.5×64.0(mm)
• 圧縮比：9.0
• 参考出力：40kW(55ps)/6,000rpm
• 参考トルク：75Nm(7.7kgm)/3,800rpm

[編集] 2E-LU (2E)

• 種類：SOHC 12バルブ 横置きエンジン
• 排気量：1.295L
• 内径×行程：73.0×77.4(mm)

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）3代目スターレット（EP71）
  • 5代目カローラ/スプリンター（EE80）
  • 3代目ターセル/コルサ/2代目カローラII（EL30）
  • 6代目カローラ/スプリンター（EE90）

[編集] 2E-ELU

• 種類：SOHC 12バルブ EFI 横置きエンジン
• 排気量：1.295L
• 内径×行程：73.0×77.4(mm)

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）3代目スターレット（EP71）

[編集] 2E-TELU

• 種類：SOHC 12バルブ インタークーラーターボ EFI 横置きエンジン
• 排気量：1.295L
• 内径×行程：73.0×77.4(mm)
• 出力：81kW(110ps)/6,000rpm
• トルク：150Nm(15.3kgm)/3,600rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）3代目スターレット1300ターボS（EP71）

[編集] 2E-LJ

• 種類：SOHC 12バルブ 横置きエンジン
• 排気量：1.295L
• 内径×行程：73.0×77.4(mm)

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）3代目スターレットバン（EP76V）

[編集] 3E

• 種類：SOHC 12バルブ
• 排気量：1.456L
• 内径×行程：73.0×87.0(mm)
• 圧縮比：9.3
• 参考出力：58kW(79ps)/6,000rpm
• 参考トルク：117Nm(12.0kgm)/4,000rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）3代目ターセル/コルサ/2代目カローラII（EL31）

[編集] 3E-E

• 種類：SOHC 12バルブ EFI
• 排気量：1.456L
• 内径×行程：73.0×87.0(mm)
• 圧縮比：9.3
• 参考出力：65kW(88ps)/6,000rpm
• 参考トルク：120Nm(12.2kgm)/4,800rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）3代目ターセル/コルサ/2代目カローラII（EL31）

[編集] 3E-TE

• 種類：SOHC 12バルブ インタークーラーターボ EFI
• 排気量：1.456L
• 内径×行程：73.0×87.0(mm)
• 圧縮比：8.0
• 参考出力：85kW(115ps)/5,600rpm
• 参考トルク：172Nm(17.5kgm)/3,200rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）3代目ターセル/コルサ/2代目カローラII リトラ1500GPターボ（EL31）

[編集] 4E-F

• 種類：DOHC 16バルブ ハイメカツインカム
• 排気量：1.331L
• 内径×行程：74.0×77.4(mm)
• 圧縮比：9.6
• 参考出力：60kW(82ps)/6,400rpm
• 参考トルク：110Nm(11.2kgm)/3,600rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）4代目スターレット（EP82）

[編集] 4E-FE

• 種類：DOHC 16バルブ EFI ハイメカツインカム
• 排気量：1.331L
• 内径×行程：74.0×77.4(mm)
• 圧縮比：9.6
• 参考出力：63kW(85ps)/5,500rpm
• 参考トルク：117Nm(12.0kgm)/4,400rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）4代目スターレット（EP82）
  • 4代目ターセル/コルサ/3代目カローラII（EL41）
  • 7代目カローラ/スプリンター（EE101）
  • 5代目ターセル/コルサ/4代目カローラII（EL51）
  • 8代目カローラ/スプリンター（EE111）
  • 5代目スターレット（EP91）
  • 2代目サイノスα(EL52)

[編集] 4E-FTE

• 種類：DOHC 16バルブ インタークーラーターボ EFI ハイメカツインカム
• 排気量：1.331L
• 内径×行程：74.0×77.4(mm)
• 圧縮比：8.2
• 参考出力：99kW(135ps)/6,400rpm
• 参考トルク：157Nm(16.0kgm)/4,800rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）4代目スターレット1300GT（EP82）
  • 5代目スターレット1300グランツァV（EP91）

[編集] 5E-FE

• 種類：DOHC 16バルブ EFI ハイメカツインカム
• 排気量：1.496L
• 内径×行程：74.0×87.0(mm)
• 圧縮比：9.8
• 参考出力：69kW(94ps)/5,400rpm
• 参考トルク：132Nm(13.5kgm)/4,400rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）4代目ターセル/コルサ/3代目カローラII（EL43）
  • 5代目ターセル/コルサ/4代目カローラII（EL53）
  • 初代サイノスα(EL44)
  • 初代ラウム(EXZ10)

[編集] 5E-FHE

• 種類：DOHC 16バルブ EFI-S ハイメカツインカム
• 排気量：1.496L
• 内径×行程：74.0×87.0(mm)
• 圧縮比：9.8
• 参考出力：85kW(115ps)/6,600rpm
• 参考トルク：135Nm(13.8kgm)/4,000rpm

• 搭載車種（車両型式）
  • （初）セラ（EXY10）
  • 4代目ターセル/コルサ/3代目カローラII（EL43）
  • 初代サイノスβ(EL44)
  • 2代目サイノスβ(EL54)

[編集] 注

1. ^ アメリカのバックヤードビルダーによるEL43ターセルセダンのターボチューン車両動画。2分過ぎにエンジンルーム内部が確認出来る。
2. ^ 5E-FTE仕様のEL43ターセルの動画

[編集] 関連項目

• トヨタ・K型エンジン
• トヨタ・NZエンジン
• トヨタのエンジン型式命名規則
• トヨタのエンジン系列名
• トヨタのエンジン型式一覧