デュアルショック
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デュアルショック(DUALSHOCK)は、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のプレイステーション対応の振動機能付きゲームコントローラ。方向キーの他、左右にアナログスティックが搭載されているのが特徴。
先行してアナログジョイスティックの互換コントローラとして発売されたアナログコントローラの改良版として登場したため、デュアルショックについても「アナログコントローラ」(または略して「アナコン」)と称することがある。本項ではこのアナログコントローラについても併せて記す。
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[編集] 概要
名称はコントローラの左右2箇所にある握り部分(=デュアル)が振動する(=ショック)機能より由来。単純に振動するだけではなく、振動の強弱や片方だけの振動といった細かい調整が可能。グリップ内部には鉄の塊がモーターにくっついている形になっており、それを回転させる事で振動させる。左側のグリップには大きな鉄のパーツが、右側にはそれよりもやや小ぶりの鉄のパーツが組み込まれている。
外観は初期型のコントローラに、アナログスティックを左右1本ずつ搭載したものとなっている。スティックの間にあるANALOGボタンを押すことで、アナログスティックのON/OFFを切り替えることが可能(その際、LEDの表示により確認が可能)。また、アナログスティックはボタンにもなっており、スティックを押し込むことで左がL3、右がR3ボタンとして機能する。先行して発売されたNINTENDO64の振動パックとは違い、本体から電源供給を受けているため、乾電池などを用意する必要はない。
その他の細かい点としては、L2・R2ボタンが初期の標準コントローラより二倍ほど大きくなり、L1・R1ボタンと形状の差別化が図られたことで形の違いによるボタン位置を確認しやすくなり、操作性が向上している。
デュアルショックの普及以降振動機能はプレイステーション(PS)、プレイステーション2(PS2)用ソフトの標準的機能として活用されてきたが、イマージョン社の特許技術を侵害していると2002年にSCEが告発され、米連邦裁判は9060万ドルの損害賠償支払いをSCEに命じた。SCEはこれを覆そうとしたが、元イマージョンのコンサルタントを買収工作したことが発覚した。2007年3月1日には、イマージョンの訴えを全面的に認める形で和解に同意した。
[編集] デュアルショック(DUALSHOCK)
- SCPH-1200
- SCPH-110
SCPH-110はPS one付属のコントローラ。本体にあわせて基本のボディカラーは白で、コネクタ部分が丸みを帯びている。
初期のプレイステーション付属コントローラはデュアルショックではなく、本体付属となったのは1997年11月20日に発売されたモデル(型番:SCPH-7000)からであった。
下位互換性は備えているが、デュアルショックに対応したソフトでないと、アナログスティックや振動などの新機能を生かすことができない。そのため、『バイオハザード』など一部のソフトがデュアルショック対応版として新たに発売された。
プレイステーション用のコントローラではあるが、プレイステーション2への接続も可能で、PS2専用ソフトでも、各種ボタンのアナログ入力機能を使わないタイトルについてはデュアルショック2同様に使用することができる。しかし、「DUALSHOCK 2専用」と記載のあるPS2専用ソフトには基本的には非対応で、ゲームを操作できない、もしくは起動自体が不可能になるソフトもある。
また、パソコン専用として発売されているゲームコントローラには操作性や耐久力に著しく難があるものが多く、パソコンでデュアルショックを使用可能にするゲームパッドコンバータが根強い人気である。しかしそうしたPS用コントローラー変換機の殆どはデュアルショック2の擬似アナログ入力に対応しておらず、そうした事情からか現在でも旧型のデュアルショックは中古市場で根強い人気がある。
[編集] デュアルショック2(DUALSHOCK2)
- SCPH-10010
- DESR-10
デュアルショック2は、プレイステーション2に標準で付属している専用コントローラ。重さは172g。
外見上はデュアルショックと変わりないが、STARTボタンとSELECTボタン以外のボタンにも押したときの圧力による256段階のアナログ判定がされている。ただ、ストロークが短いために押したときの力加減が難しく、ソフトウェアによっては思い通りに操作するのが難しい場合もあった。また、精密機器であるため他社のコントローラに比べると耐久度が低いともいわれている。
型番は発売から現在にいたるまでSCPH-10010だが、製造時期により細かい仕様変更が為されている。
カラーバリエーションとして、ブラック、エメラルド、クリスタル、クリムゾン・レッド、レモン・イエロー、オーシャン・ブルー、ゼン・ブラック、ミッドナイト・ブルー、セラミック・ホワイト、パール・ホワイト、サテン・シルバーがある。
[編集] デュアルショック3(DUALSHOCK3)
デュアルショック3(DUALSHOCK3)は、従来の6軸検出システムコントローラ「SIXAXIS」に振動機能を追加したプレイステーション3専用のワイヤレスコントローラ。日本国内では2007年11月11日に、北米や欧州では2008年4月に単体発売された(一部を除いて本体同梱コントローラは引き続きSIXAXIS)。日本での標準価格はSIXAXISより500円高い5,500円(税込)。
2007年9月20日、東京ゲームショウ 2007で代表取締役社長兼グループCEO平井一夫の基調講演において世界に先駆け正式発表された。CEO平井一夫曰く、かねてよりユーザーから「SIXAXISに振動機能を追加してほしい」との要望が多かった為と説明した。
既に発売されている一部タイトルについては、ネットワーク経由等でアップデートをすることによって、振動機能に対応させることが可能になる。また、PS、PS2のソフトも振動機能に対応させられる。振動させるために必要なモーターを搭載しているため、「SIXAXIS」と比較して193gと重くなっている(「SIXAXIS」は136g)。インプレス GAME Watchのの検証[1]によれば、フル充電時に連続11時間35分振動し続けることができる。
カラーバリエーションは本体に合わせてブラック/セラミック・ホワイト/サテン・シルバーがある。ただしPS3本体およびSIXAXISのクリアブラックは半透明であるのに対し、デュアルショック3のブラックは不透明な黒色である。
[編集] アナログコントローラ
- SCPH-1150
デュアルショックに先立ち、1997年4月25日に発売されたプレイステーション用アナログコントローラ(型番:SCPH-1150)。デュアルショックとの違いは以下のとおり。
- コントローラの持ち手部分が長い
- スティック上部に窪みがある
- 振動機能に強弱の区別がない
- アナログジョイスティック(型番:SCPH-1110)互換の動作モードがある(動作モードランプが緑色に点灯)
- ボタンアサインは△→R1、□→L1、R1→△、R2→□、L1→R2
発売から短期間でデュアルショックに取って代わられた。カラーバリエーションはプレイステーションと同色のグレーのみである。