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チャールズ・サンダース・パース - Wikipedia

チャールズ・サンダース・パース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

チャールズ・サンダース・パース
チャールズ・サンダース・パース

チャールズ・サンダース・パース(Charles Sanders Peirce、1839年9月10日 - 1914年4月19日)は、アメリカ合衆国哲学者論理学者、物理学者。プラグマティズムの創始者の一人であり、現代記号論の先駆者。

目次

[編集] 生涯

清教徒の移民であったジョン・パースの子孫であり、当時アメリカ最大の数学者と見なされたハーバード大学数学教授ベンジャミン・パースの次男として生まれる。早くから父に才能を見いだされ、特別の教育を受ける。なぞなぞ・トランプの手品・チェス・暗号を好み、8歳で化学者、10歳で数学者となり、12歳のときにはホエイトリーの『論理学の要項』を教えられ、これを完全に理解したという。1862年にマスター・オブ・アーツ、1863年にはバチェラー・オブ・アーツの学位をそれぞれ抜群の成績で授与され、1869年~70年度には、エマスン、キャボット、フィスクなどの年長者とならんでハーバード大学の哲学講演に参加した。

1859年にアメリカ海岸測量部に就職したのを皮切りに、1891年まで断続的に測量の仕事を続けた。1869年から1875年まで、ハーバード大学付属天文台の助手として測光に従事した。光の波長を測量の規準単位として用いるやり方は、パースが始めたものである。1875年にアメリカの最初の代表として国際測地学会に出席し、振り子による実験が精密ではないことを指摘し、各国の学者に注目されている。

1867年のアメリカ学芸院(American Academy of Arts and Sciences)でパースは、すでに1847年ブールが発表していた『論理の数学的分析』の重要性を指摘し、その体系に改良を加えた。学会が注目しなかったので中断されてしまったが、パースの記号論理学における仕事はシュレーダー『論理の代数についての講義』に引き継がれ、さらにラッセルホワイトヘッドの『数学原理』に結実することになる。

1887年以後、ペンシルヴェニア州のミルフォードに引きこもり、さまざまな百科全書や雑誌への寄稿と新刊書評によって生計を立てた。雑誌『ネイション(The Nation)』のための新刊書評を担当していたときは、莫大な数の書物を読みこなしては毎日2000語ずつ書いた、といわれる。これらの仕事は、エジプト学犯罪学言語学心理学数学力学天文学化学測量社会学歴史文芸評論神学伝記に及ぶ。

パースの興味は常に哲学に向いていたのだが、それを本職にすることがかなわなかった。一つには、かれの狷介不羈な性格によるものであり、今ひとつの理由は、1883年にかれが引き起こした離婚問題が清教徒道徳の根強かったマサチューセッツ州で嫌われたということである。当時のハーバード学長のエリオットは、パースを校内のいかなる場所にも立ち入らせなかったほどであり、このように冷遇されたことはパースの発表形式・文体を損ね、いっそう難解にしたものと考えられる。パースは経済観念を欠いており、中年以後はまったく窮乏状態で過ごした。長い年月をに苦しめられ、その苦痛を和らげるためにモルヒネを常用して、半分狂人のようになりながら、しかも死後20年たたないと学者たちから理解されないような学説を書き続けたのである。

[編集] 考え方の癖

パースが最初に読んだ哲学書はドイツ哲学であり、特にカント『純粋理性批判』を毎日2時間ずつ3年以上も読んだ結果、この本を暗記したほどだった。約2年の間、チョンシー・ライトと毎日会って議論したところから、ミルなどのイギリス哲学と触れた。論理学についてはギリシア語・ラテン語・ドイツ語・フランス語の諸文献を広くあさったが、特に中世のスコラ哲学者ドゥンス・スコトゥスなどから多くを学んだという。

6歳の頃から実験室に居住してきたパースは、哲学の古典を実験化学者の目をもって読み、何かの経験に還元できない主張を意味のないものとして斥けた。

  1. 自分ならびに他人の意見を、常に「間違えているかもしれないもの」として把握する
  2. 哲学的意見でも何でも、意見の意味を、ある実験条件と照らし合わせて考える

[編集] 方法論

批判的常識主義(Critical common-sensism)
人びとにとって疑いを差しはさめない信念というものがあり、常識というのは粗雑な(vague)信念である。人間生活においてこの粗雑な信念の果たす役割を、哲学も尊重しなければならない。
可謬主義(fallibilism)
絶対の確実性、精密さ、普遍的真理などは、経験の達しえないところにあるので、我われの知識は間違いを繰りかえしながら、間違いの少ない方向へ向かって進む。間違いうる可能性こそ知識の向上のためには必要である。したがって、思索にさいして仮説を選ぶときには、「それが間違いであったなら易しく論破できる」ような仮説を選ぶべきである。
次の4種の習慣は可謬主義に反し、知識の進歩を妨げる。
  1. 何かの事柄を絶対的に断言すること
  2. ある種のことが、知り得ないことだと言い切ること
  3. ある意見や命題が、知識の基礎となるものであり、究極的であり、それより下にもぐりこんで吟味することができないものであると主張すること
  4. ある法則や真理が、最終的かつ完全に定式化されたと断言すること

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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