チップセット
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チップセット(Chipset)とは、ある機能を実現するのに、複数の集積回路を組み合わせて機能を実現する構成の場合、それら一連の関連のある複数の集積回路(チップ)のことをチップセットと呼ぶ。
とりわけ、コンピュータにおいて、CPUの外部バスと、メモリや周辺機器を接続する標準バスとのバスブリッジや、パーソナルコンピュータを構成するのに必要な周辺回路を集積したチップといったような、複数のチップのことをチップセットと呼ぶこともある[1]。
以下はこの狭義の意味であるパーソナルコンピュータにおけるチップセットについて説明する。
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[編集] パーソナルコンピュータのチップセット
チップセット(Chipset)とは、パーソナルコンピュータ内部の、CPUの周辺回路を搭載したチップ(LSI)のことを指す。
[編集] 概要
チップセットにはメモリインタフェースやAGPなどの制御回路が搭載されているため、コンピュータのパフォーマンスに重大な影響を与える。すなわちマザーボード[2]は特殊な場合を除き、CPUをターゲットに設計されるのではなく、直接の設計ターゲットはチップセットとなる。極端な例だが、CPUを交換してシステムをアップグレードすることは可能だが、チップセットを交換することは、チップが作り付けである事から不可能である。CPUを交換しても、チップセットが対応できない場合が多い[3]。
初期のPC/AT互換機では、標準的なCPU周辺LSIを組み合わせて回路が構成されていたが、低価格化などをはかるためにこれら周辺LSI[4]を幾つかの、より高密度なLSIに統合したもので、チップス・アンド・テクノロジー社(インテルに買収)などが初期の代表的なメーカーである。もっとも、チップセットという言葉が認知され始めたのは、PCIバス規格に準じたインテルのi420TX(Saturn)やi430NX(Neptune)あたりからで、それ以前は統合ASICと呼ばれることが多かった。i430LX(Mercury)やi430FX(Triton)から、よく見られる2チップ構成となった。
多くのチップセットは、開発サイクルや発熱・歩留まりを考慮して、2チップ構成になっており、CPUやメモリバスに接続される方をノースブリッジ[5]、I/Oに接続される方をサウスブリッジ[6]と呼び、2つのチップ間は数ギガbpsの高速かつ排他的なリンク[7]で接続される。一般的にはノースブリッジの方が、サウスブリッジより、距離が近い。このリンクの方式と速度が整合していれば、1世代のノースブリッジで、何世代かのサウスブリッジに対応可能である。また、このほうがマーケティング的にも、システムの最新スペックが更新しやすいという利点があり、製品の格付けも容易となる。ノースブリッジには、CPUインターフェース、メモリインターフェース、PCI Expressなどが含まれ、サウスブリッジには、PCI、IDE、USB、EthernetなどのI/Oが搭載されることが多い。
開発サイクルを犠牲にしても実装面積の削減を目的に、ノースブリッジとサウスブリッジを一つにまとめた統合型のチップセットもある。こうした統合チップセットも歩留まりが向上すれば、コストダウン効果が期待でき、小型モバイルPCの高付加価値市場への参入が見込める。加えて、GPUの機能を統合しているものもある(統合チップセットを参照)。 また、OpteronやAthlon 64のようにCPUにメモリコントローラを統合することで、CPUとメモリ間のボトルネックを減少させる考え方も見直されてきている。これらの物理的な統合・分離とは異なり、IntelのCentrinoのように無線LAN内蔵のチップセットとCPUの組み合わせにブランド名を付けて付加価値化する動きもある。
カスタマイズされたベンチマークなどの特定アプリケーションを除き、2チップ間のリンクの方式と速度が全体のシステム能力の上限を決定することになるので、リンクの高速シリアル化および更なる高速化に余念がない。20世紀最終のUSBに始まった高速シリアル化は、RDRAMの実装失敗で二の足を踏んだものの、その後Serial ATAの普及、PCI Expressへの移行を済ませて、メモリインターフェースを残すのみとなった。
チップセットの高速化に伴い、レガシーデバイス(キーボード、マウス、フロッピーディスク、シリアル、パラレル、ISAバス(極一部の組み込み用マザーボードにはまだ採用されている))はサウスブリッジから削除され、サウスブリッジから更に接続されたスーパーI/Oチップに担当させる事が増えている。
[編集] 統合チップセット
ノースブリッジにグラフィックコアの統合を行ったチップセットを特に統合チップセットと呼ぶ。("グラフィック"または"ビデオ"と付けることもある)
ビデオメモリはメインメモリの一部領域を共有するUnified Memory Architecture(UMA)が主流であるが、専用の外部メモリをサポートする製品もある。
一般的に単体のGPUに比べ描画性能は低いものの、機能的にはマルチディスプレイやDVI出力、Shader Model 3.0に対応するものが登場するなど大幅に進化している。また、安価で省スペース性に優れるため、PCグラフィックス機能の主流となっている。
なお統合チップセットのグラフィック機能は一般的に「オンボードグラフィック」などと呼称されるが、あくまでマザーボード上のチップセットの機能であるため、「オンボードグラフィックカード」などの呼称は厳密には誤りである。
[編集] 代表的なチップセットメーカーとそのチップセット
インテルやAMDなどのCPUメーカーは、自社製の純正チップセットを開発、供給している。これにより信頼性やブランドイメージを上げる事に貢献している。
サードパーティーのメーカーは、統合型のチップセットによる実装工数の削減や、価格的なアドバンテージを製造メーカーにアピールする傾向にあり、低価格PC向けに採用されることが多い。一方で、ベンチマーク性能重視の製品を積極的に投入しているメーカーもある。
サードパーティ製チップセットは、不具合や相性問題を抱える製品が少なからず存在する(但し、各CPUメーカーの純正品が必ずしも安定しているという訳でもない)。チップセットドライバ、BIOSの更新や調整、各拡張カードのデバイスドライバやファームウェアの更新で安定する事もあるため、特に自作パソコンのユーザーはネット掲示板などを通じ、これら不具合や相性の解消法の意見交換を盛んに行っている。
[編集] チップセット業界の競争
サードパーティーのチップセットメーカーは常に熾烈な競争を繰り広げている。
かつては台湾系チップセットメーカー(ALi(ULi)、SiS、VIA)が主なサードパーティーとして競争を繰り広げていた。
2000年代前半より、ATIやNVIDIAといった大手グラフィックス専業メーカーがチップセットに参入し、マザーボードへの採用数も急増した。こうして、古くからあるチップセット専業メーカーは新参のメーカーにシェアを奪われた。 そして2005年、この業界で古参にあたるULiがNVIDIAに買収され、NVIDIAのアジア地区営業担当とチップセット開発に携わるようになった。 2006年にはAMDがATIを買収し、ATIチップセットがAMD純正として扱われるようになる。そのため、ATIのインテル向け新製品供給は無くなった。VIAもインテル、AMD向けの開発から撤退を表明しており、今後は自社CPU向けのみの開発となる。完全なサードパーティーとしてのチップセットメーカーは、NVIDIAとSiSを残すのみとなった。
[編集] PC/AT互換機用
- インテル
- i440BX,i440MX,i440GX (PentiumPro/PentiumII向け)
- i810,i815,i820,i830
- i840,i845,i850,i860,i865
- i855,i915,i945
- i925,i955,i965,i975(LGA775 向け)
- P3x,G3x,Q3x,X3xシリーズ(LGA775 向け)
- E7200/E7500/E8500 シリーズ
- AMD
- AMD750,760,770,780G,790X,790FX
- AMD690G,690V
- NVIDIA
- nForce シリーズ
- SiS
- SiS530,630,650,660,735,745,746,751,755,761
[編集] サーバ、ワークステーション向け
- Broadcom
- HT-2000,HT-2100
- ServerWorks
- ServerSet
[編集] 撤退、又は買収されたメーカー
- ATI Technologies
- RADEON IGP/XPRESS シリーズ
※AMDに買収され、事実上AMD製品専門となる
※ULiはALiのチップセット部門がスピンオフした子会社。2005年にNVIDIAに買収された
- VIA
- Apollo MVP3,Pro133A,KT266A,KT400
- K8T/K8M シリーズ
- P4X/P4M シリーズ
[編集] その他のプラットフォーム
RISC型CPUにもチップセットが存在し、主にワークステーションなどで使用される。
- アップルコンピュータ - PowerPCを搭載したMacintosh向けにチップセットを独自開発していた。
- NEC
- 東芝
- IBM - 自社開発のPOWER・PowerPC搭載システム向けのチップセットを開発・製造している。
- シリコングラフィックス chapter11適用前はMIPS系RISC CPU最強を誇るチップセットメーカーでもあった。
- ディジタル・イクイップメント・コーポレーション 買収前はAlpha向け、現在はヒューレット・パッカードとなりItanium系チップセットメーカーである。
[編集] 脚注
- ^ 前者のCPU-PCIバスブリッジなどのチップはコンパニオンチップとも呼ばれる。
- ^ メインボード、システムボードとも呼ばれる。
- ^ BIOSのアップデートによって後発のCPUが動作するケースもある。
- ^ 当時はDRAMコントローラ、i8257DMAコントローラ、INS8250シリアルIO、パラレルIO、μPD765AFDDコントローラなどが統合の対象となった。
- ^ Macintoshではシステムコントローラと呼ばれる。
- ^ MacintoshではI/Oコントローラと呼ばれる
- ^ HyperTransportなど。