シラン (植物)
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シラン(紫蘭、学名 Bletilla striata Reichb. fil.)とはラン科シラン属の宿根草。日本、台湾、中国原産の地生ラン。日向の草原などに自生する。
また、ラン科植物には珍しく、日向の畑土でも栽培可能なので、観賞用として庭に植えられる。極めて丈夫な植物で、半日陰から日向まで適応し、乾燥にも過湿にもよく耐え、栽培しやすい事で定評がある。
ラン科植物の種子は一般的に特別な条件が無いと発芽しないものが多いが、本種の種子はラン科としては異例に発芽しやすく、普通に鉢に播くだけで苗を得られる場合がある。無菌播種であれば水に糖類を添加しただけの単純な培養液上でもほぼ100%近い発芽率を示し、苗の育成も容易なので、しばしば無菌播種の練習に使用される。
地下にある偽球茎は丸くて平らで、前年以前の古い偽球茎がいくつもつながっている。葉は、最も新しい偽球茎から根出状に3枚から5枚程度出て、幅の広い長楕円形で、薄いが堅く、表面にはたくさんの縦筋が並んでいる。花期は4月から5月。花は紫紅色で、30から50cm程度の花茎の先に数個つく。花弁は細長く、あまり開ききらないような感じに咲く。
観賞用に、花の色が白色のもの、斑入りのもの、淡色花、花弁が唇弁化した「三蝶咲き」などがある。偽球茎は白及(びゃくきゅう)と呼ばれ、漢方薬として止血や痛み止め、慢性胃炎に用いられる。
野生のものは準絶滅危惧種。しかし栽培品として普及しており、種子が飛んで栽培逸出することもあるため、野生状態のものも本来の自生個体かどうか判別は難しい。
[編集] 花言葉
「互いに忘れない様に」「変わらぬ愛」「薄れゆく愛」