ウィケッド
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『ウィケッド』(Wicked) は、ブロードウェイのミュージカル舞台。サンフランシスコでのトライアウトを経て2003年10月30日にニューヨークのガーシュイン劇場で初演された。
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[編集] 概要
ストーリーは、アメリカでは誰もが知ってる少女ドロシーの冒険物語「オズの魔法使い」の裏話として構成され、西の悪い魔女・エルファバと北の良い魔女・グリンダの知られざる友情を描いている。
原作は1995年に刊行されたグレゴリー・マグワイア著の「オズの魔女記 (Wicked: The Life and Times of the Wicked Witch of the West)」。エルファバ (Elphaba) の名前は『オズの魔法使い』の作者ライマン・フランク・ボーム (Lyman Frank Baum) の頭文字L、F、Baから作られた。この作品は西の悪い魔女エルファバの視点で描かれ、オズの魔法使いの裏の歴史物語としてもの悲しく語られている。
ウィケッドは、オズの魔女記をウィニー・ホルツマンが書き直し、スティーブン・シュウォルツが曲を付けたミュージカル版は原作を大幅に脚色し直してテンポがよく、趣のある作品に仕上がった(そのため、キャラクター、ストーリーは原作とは異なっている)。境遇の全く異なる魔女2人の友情やボーイフレンドとの三角関係に焦点を当てながらも、肌の色の違いや動物たちに象徴させたアメリカ社会が抱える弱者への差別問題にメッセージがあり、最後にはどんでん返しも用意されている。ちなみに、ミュージカル版にはオズの魔法使いにも出てくるキャラクターが登場する。ブリキ男、カカシ、空を飛ぶ猿たちは誕生秘話も含めて姿を見せるが、意気地のないライオンは尻尾だけ、ドロシーは影絵だけで、愛犬トトは名前しか出てこない。
[編集] キャストについて
ブロードウェイのオリジナルキャストはエルファバ役にイディナ・メンゼル、グリンダ役にクリスティン・チェノウェスと演劇界の人気女優2人が主役を務め、オズの魔法使いはミュージカル「キャバレー」や「シカゴ」でお馴染みのジョエル・グレイが演じた。メンゼルは2004年6月のトニー賞で主演女優賞を受賞。授賞式では最大の見せ場「Defying Gravity」を熱唱した(チェノウェスもノミネートされた)。
舞台制作はハリウッドの大手映画会社ユニバーサル映画が行い、14億円の巨額を投じたことでも話題となった。大掛かりな舞台装置や、舞台を彩る美術・衣装・照明・音響も豪華で見応えがある。
シカゴ版の開幕では米国最大のTVコメディー番組サタデー・ナイト・ライブに長年出演したアナ・ガスタイヤーがエルファバを演じ、またロンドン版ではブロードウェイ・オリジナルキャストのイディーナ・メンゼルが2006年12月まで再演して話題をさらった。
ブロードウェイ・オリジナルキャストにより録音されたCDは、2005年にグラミー賞を受賞。2006年11月にはミュージカルCDとしては極めて珍しいプラチナセールスを記録している。
[編集] 各国での上演状況
[編集] アメリカ
アメリカでは、ブロードウェイの成功により、2005年春からブロードウェイと並行して全米ツアーとシカゴでのロングランが始まった。2006年9月からはロンドンのウエスト・エンドでも上演開始、2007年1月からロサンゼルスでもロングランが始まった。いずれの地域でもチケットの入手が最も困難なミュージカルのひとつとなっている。
[編集] 日本
日本では、2006年7月12日より、ストーリーを短縮した30分の特別版が大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの“ランド・オブ・オズ”内のエメラルド・シアターで上演されている。ただし、エルファバを外国人、グリンダを日本人が演じており英語と日本語が混在している。
また、2007年6月17日には劇団四季による完全日本語翻訳版が東京・新橋の電通四季劇場[海]にて開幕した(プレビューは6月15日)。[1]
なお、タイトルについて、ユニバーサルがタイトル表記を「ウィケッド」とすることを先に決めたため、上演開始が後になった劇団四季版は「ウィキッド」となっている。
[編集] その他の国
ドイツ・シュトゥットガルト(2007年11月~)で上演されており、オーストラリア(2008年7月~)、オランダ(2008年末もしくは2009年~)でも上演予定がある。
[編集] オリジナル・プロダクション クリエイティヴチーム
- 作詞/作曲:スティーヴン・シュウォルツ
- 脚本:ウィニー・ホルツマン
- 原作:グレゴリー・マグワイア
- 演出:ジョー・マンテロ
- ミュージカル・ステージング:ウェイン・シレント
- 装置デザイン:ユージーン・リー
- 衣裳デザイン:スーザン・ヒルファティ
- 照明デザイン:ケネス・ポズナー
- 音響デザイン:トニー・メオラ
- プロジェクション・デザイン:エレイン・J・マッカーシー
- ウィッグ&ヘアー・デザイン:トム・ワトソン
- 音楽スーパーバイザー/アレンジメント:スティーヴン・オリーマス
- オーケストレーション:ウィリアム・デイヴィッド・ブローン
- 音楽アレンジメント:アレックス・ラカモワ
- ダンス・アレンジメント:ジェームズ・リン・アボット
- 演出補:リサ・ルグイヨー
- ダンス・スーパーバイザー:マーク・マイヤース
- プロダクション・スーパーバイザー:トム・ウィドマン
- 装置デザイン補:エドワード・ピアース
- プロデューサー:マーク・プラット、ユニヴァーサル・ピクチャーズ、アラカ・グループ、ジョン・B・プラット、デイヴィッド・ストーン
- ジェネラル・マネジメント:321シアトリカル・マネジメント
[編集] ユニバーサル・スタジオ・ジャパン版『ウィケッド (アトラクション)』
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンではストーリーを再編し、約35分の特別版のショーとして2006年7月12日より上演している。
- エメラルド・シアター:2006年7月12日-
- 使用曲:
Dear old Shiz The Wizard and I What is this feeling? Popular One short day A sentimental man Defying Gravity For good
[編集] ユニバーサル・スタジオ・ジャパン版スタッフ
ユニバーサル・ブロードウェイスタッフ
- 編曲:スティーブン・シュワルツ(WICKEDの作曲家)
- 台本作家:ウィニー・ホルツマン
日本スタップ
- 演出:管野こうめい
- 振り付け:広崎うらん
[編集] ユニバーサル・スタジオ・ジャパン版 主要キャスト
3期(2008年2月27日~)
- グリンダ:可知寛子、チエ、ココロ
- エルファバ:チャリティー、キャサリーン、キャシー
- オズの魔法使い:瓜生、林信行、鰐淵勝
- チストリー:ダニエル、東洋系の2人
2期(2007年2月26日~2008年2月26日)
- グリンダ:
2期後半:高橋あすか、杉本朝陽、可知寛子
2期前半:谷合香子、杉本朝陽、可知寛子
- エルファバ
2期後半:テイラー・ジョーダン、エリン・コーネル、ジリアン・グリーン、ジェマ・スティーヴンソン
2期前半:ユージニア・プリミス、ララ・ジャニン、エリン・コーネル、ジリアン・グリーン
- オズの魔法使い:後藤晋彦、瓜生、林信行
- チストリー:ヒース・キーティング、リー・スライトホルム、山田拓実、星潤
1期(2006年7月12日~2007年2月25日)
- グリンダ
1期後半:小笠真紀、高橋あすか、篠原沙和実
1期前半:小笠真紀、谷合香子、高橋あすか
- エルファバ
1期後半:ジェマ・スティーヴンソン、ジリアン・ギアッチ、ユージニア・プリミス
1期前半:ジェマ・スティーヴンソン、ジリアン・ギアッチ、テイラー・ジョーダン
注:ジェマ・スティーヴンソンはオーストラリア・メルボルンで2008年7月から始まるWICKEDのエルファバ役の代役が決まっている。
- オズの魔法使い
1期後半:小林アトム、後藤晋彦、瓜生
1期前半:小林アトム、金澤博、後藤晋彦
- チストリー:サム、マーク・シャンキー、山田拓実、星潤
ネッサローズ、マダム・モリブル、フィエロ、 ボック、 ディラモンド教授は登場しない。
[編集] 日本語版『ウィキッド』
劇団四季による公演。タイトルは上述したように『ウィキッド』となっている。
- 東京公演:2007年6月17日-
[編集] 日本語版スタッフ
- 日本語版歌詞・台本:劇団四季文芸部
- 日本語版演出助手:横山清崇
- 振付スーパーバイザー:古澤 勇
- 音楽スーパーバイザー:鎮守めぐみ
[編集] 劇団四季 主要キャスト
- グリンダ:沼尾みゆき、苫田亜沙子、西 珠美、佐渡寧子
- エルファバ:濱田めぐみ、樋口麻美、今井美範
- ネッサローズ:小粥真由美、山本貴永
- マダム・モリブル:森以鶴美、武木綿子、八重沢真美
- フィエロ:李涛、北澤裕輔
- ボック:金田暢彦、大塚道人、伊藤綾祐
- ディラモンド教授:武見龍麿、岡本隆生
- オズの魔法使い:松下武史、栗原英雄、飯野おさみ
[編集] ミュージカル・ナンバー
第一幕
- No One Mourns the Wicked
- Dear Old Shiz
- The Wizard and I
- What Is This Feeling?
- Something Bad
- Dancing Through Life
- Popular
- I'm Not That Girl
- One Short Day
- A Sentimental Man
- Defying Gravity
第二幕
- No One Mourns the Wicked
- Thank Goodness
- The Wicked Witch of the East
- Wonderful
- I'm Not That Girl
- As Long As You're Mine
- No Good Deed
- March of the Witch Hunters
- For Good
- Finale