アレキサンドライト
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アレキサンドライト (alexandrite) は宝石の一種で、金緑石(クリソベリル、BeAl2O4)の変種。微量に鉄、クロムなどの不純物を含む。モース硬度は8.5。青緑色系スペクトルの強い太陽光(または蛍光灯の明かり)の下では暗緑色を示すが、赤色系スペクトルの強い白熱灯や蝋燭の明かりの下だと色が鮮やかな赤色に変わる。これは黄色系スペクトルを吸収するクロムを含有し、また石が反射する光に赤色要素と緑色要素の両方が平均的に存在し、青みが強い光線の元では青色系の色を、赤みが強い光線の元では赤色系の色を反射するためである。
産出量が少なく、非常に高価。人工のものも作られているが、製造費が高いためほとんど市場には出回らない。一般人には天然と人工の判別はほぼ不可能である。アレキサンドライトの中には同時にシャトヤンシー効果が現れる「アレキサンドライトキャッツアイ」と呼ばれる宝石もある。良質の物は一級のダイヤモンドに匹敵する価格が付けられるが、産出自体が稀である為決まった市場価格が無い。その為産出ごとに変色効果やシャトヤンシーの具合等によって価格が決まる。
紫外線を吸収する性質があるため、宇宙船の窓の材料に人工アレキサンドライトが使用されており、船内の安全確保に非常に重要な役割を負っている。
産地としては スリランカ、ブラジル、ロシア、インド、そしてタンザニアなどが挙げられる。
1830年、ウラル山脈東側のトコワヤで発見された。あまりに特異な性質を持つため当時のロシア皇帝ニコライ1世に献上された。その日は偶然にも皇太子アレクサンドル2世の12歳の誕生日である4月29日(アレクサンドル2世の即位した日にちなむという説もある)だったので、このように名づけられた。
鉱物学的性質については金緑石を参照
[編集] ブラジル産アレキサンドライト
透明度、変色性ともに上質のものがまれにみられる。暗緑色ではなく青みを帯びた緑色に変色するものには、特に高価な価格がついている。