アメージング・レース
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『アメージング・レース』(The Amazing Race)とは、アメリカ合衆国CBSのリアリティ番組シリーズである。司会はニュージーランド出身のPhil Keoghan。2003年から2007年まで5年連続でエミー賞(リアリティ番組部門)を受賞した。
アメリカ・CBS以外にも、アジア版(アメージング・レース・アジア)、ブラジル版、中央ヨーロッパ版が制作・放送されている。 日本ではAXNにて2007年1月より、『AXN Sunday Prime』枠でアメリカ版第4シーズンの日本語字幕版(司会のフィルのみ吹き替え)放送が開始。2007年10月からは第5シーズンがスタートした。
エリーゼ・ドガニエーリ(Elise Doganieri)とバートラン・ファン・ミュンスター(Bertram van Munster)によって企画立案され、2001年から最初のシリーズが全米で放映された。「Outstanding Reality-Competition Series award(実際の競争の模様を放送する著名な番組シリーズの賞、の意)」全五回の授賞など、エミー賞各賞を授賞している。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
以下は、特に説明がない限りアメリカ版の説明であり、「第○シーズン」と記述してある場合「アメリカ版の第○シーズン」を指す。
目次 |
[編集] レースについて
ゲームは2人1組の10~12チームで行われる(シーズン8のみ4人1組)。決められた所持金、番組から支給された最低限の荷物のみで、飛行機、タクシー、レンタカー、列車、船など様々な交通手段を使って指定された目的地へ移動、そこで再び指示を受け新たな目的地を目指す、という行程を繰り返し、最終ゴールに一番早く着いたチームに賞金100万ドルが支払われる。 途中競技者にはさまざまな課題や移動条件が課され、課題や条件をクリアしなければ先に進めない。また全行程はいくつかの「レッグ」に分かれており、各レッグの終点(「ピットストップ」と呼ばれる)ではそこに最後に到着したチームがその場で失格となる。(ただし予め決められたいくつかのレッグでは失格者は出ない。)最終レッグまで勝ち残れるのは通常3チーム。
アメリカ版の場合、スタートとゴールはアメリカ国内であるが、毎回ルートは地球をほぼ一周し、30日近くをかけ約10ヶ国を訪れる。各地で出される課題は、地域の観光名所や文化、習慣などに基づくものが多く、番組内では地域の光景やなどが紹介される。
[編集] ルールと用語
各項目名はアメリカ版に準じ、項目名の後の()内は、日本のAXNで放送された際に使われた訳語。
[編集] チーム
出場するチームは2人1組で構成される。2人は以下の項目をクリアしていなければチームになることは出来ない。
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- 友人同士、ルームメイト、親子、兄弟姉妹、交際中のカップルや夫婦(同性愛を含む)など、何らかの「関係」があること。
- お互いを3年以上知っていること。
- 他のチームのメンバーを知らないこと。
- 但しシーズン8は特例で、全チームが4人1組(両親の一人と子供その他)によるファミリー版レースであった。
- チームのメンバーはレース中、常に一緒に行動しなければならず、指示による場合以外は別々に行動することは許されない。またチーム内で負傷が出た場合など、レースの継続が困難とされた場合、チーム全員がリタイヤとなる。
[編集] スタート
スタート時、全てのチームに番組から荷物と資金が与えられる。携帯電話も含め私物の持ち込みは基本的に禁止される。スタート地点には全チームが横一列で集められ、番組ホストのフィルの合図で全チームが一斉にスタートし、最初のクルー(後述)を得る。
[編集] クルー(クルー、指示書)
クルーとは、封筒に入った指示書のこと。次に行くべき場所や課題などが記されている。各レッグのスタート時やタスク(後述)をクリアした際に渡されるほか、クルーで示された目的地に「クルーボックス」があって、中に新たなクルーが入っている場合もある。
[編集] レッグ(セクション)
レッグとは、各ピットストップ(後述)間を指す。スタートから第1ピットストップまでが第1レッグ、第1ピットストップから第2ピットストップまでが第2レッグ。最終ピットストップからゴールまではファイナルレッグと呼ばれる。おおむね1レッグが放送1回分。 途中にはいくつものクルーや課題があり、全ての指示や課題をクリアしなければならない。
[編集] レース中の移動手段と資金
船、レンタカー、バス、電車、タクシーなど、基本的に何を使ってもよい。クルーに特定の指示(徒歩や自転車など)がある時はそれに従わなければならない。クルーにある指示に違反するとペナルティ(後述)がある。 飛行機などを使用する際にもどの航空会社でどこを経由するかなどは自由だが、航空券はエコノミー券のみと定められている。
各移動手段に必要な資金は各レッグ開始時に渡されるお金で賄わなければならない。 各レッグごとにそのレッグに必要な資金だけ、レッグの始めにクルーとともに米ドルで渡される。そのレッグで余った資金は、次回以降のレッグに持ち越すことも出来る。また、航空券(シーズン8ではガソリン代も)については、あらかじめ渡されていたクレジットカードを使うことが出来る。このクレジットカードはほかの買い物には使用できない。また、資金が足りなくなった場合は、その国で違法にならない程度で、人々から金銭を請うなどの行為が許される。
[編集] タスク
各チームは、レース中、以下に挙げるチャレンジ(タスク)を与えられた場合、完了しなければ先に進めない。もし、気づかずに通り過ぎたり、きちんとこなさずに先に進んでも、ピットストップにチェックイン出来ず、戻って完了しなければならない。
- ディツアー(分かれ道)
2つのタスクのうちどちらか1つをクリアできれば完了。どちらのタスクにも長所短所があるようになっており、チームは基本的に自分たちが早く終えられそうなもの、または完了できそうな方を選ぶ。もし、選んだタスクが完了できないと判断した場合は、もう一方のタスクに乗り換えることも出来るが、初めに選んだタスクをしていた分の時間は無駄となる上、2つのタスクを行う場所が異なる場合その間の移動時間も大きなロスとなる。
- ロードブロック
チームのうち1人のみで行う。ロードブロックのタスクを知る前に、クルーには「誰が一番おなかがすいている?」といったようにタスクにまつわるヒントが与えられ、(このタスクはダチョウの卵を食べるタスクであった)ヒントを参考に誰がそのタスクを行うかをきめなければならない。一度誰が行うか決めた後は、変更は許されない。シーズン6からは、両方のチームメンバーが6つずつ(全12)のタスクを行わなければいけなくなった。
- ファストフォワード(近道権)
各レースの数レッグまたは全レッグに1つずつ与えられるタスクで、これをクリアすると以降のクルーを全て無視して、ディツアーやロードブロック無しに、次のピットストップへ直接行くことができるクルーを与えられる、大逆転のタスクである。 使用するかしないかはそれぞれのチームの自由であるが、各チームは全レース通じて1度しかファストフォワードを行うことが出来ない。また、1つのレッグのファストフォワードに複数のチームが挑戦した場合、ピットストップ行きのクルーが与えられるのは最初にタスクをクリアしたチームのみである。 リスクを含め慎重に考えなければならない。また、ファストフォワードを得たからといって必ず1位になれるわけではなく、ファストフォワードのタスクをしている間に他のチームとの差が開いたり、初めからあまりにも差が空きすぎたりしていた場合、通常ルートを通っているチームの方がチェックインが速い場合もありうる。過去にはファストフォワードを使用しながら最下位となって脱落したチームもある。
- インターセクション
- Uターン
- スピードバンプ
[編集] イールド(足止め権)
シーズン5から採用。他チームを一定時間待たせることが出来るもので、各チームレース中1度のみ使用できる。イールドしたいチームは、レッグ途中に設けてあるイールド地点で、後続のチームのうちイールドしたいチームの写真を掲げ、あらかじめ与えられている自分たちの写真シールを張る(このシールをなくすと、イールドをすることは出来ない)。イールドされたチームは、イールド地点に到達したとき、砂時計をひっくり返して砂が完全に落ちるまで待たなくてはならない。
[編集] ピットストップ(中間ゴール)
ピットストップは、各レッグのゴールである。各チームのゴール時には、番組ホストのPhil Keoghanにより「チェックイン」され、順位の通達を受ける。最下位のチームはその場で脱落となる(脱落者は出ない「ノンエリミネーションレッグ」というレッグもある)。
各チームはピットストップで休息したのち、それぞれゴールの丁度12時間後にそのピットストップより出発する(ただし例外あり)。つまり、前レッグで1位に35分の差をつけられ2位でチェックインした場合、次レッグでは1位チームの35分後に出発することになる。出発の際に、資金とクルーが与えられる。クルーを参考に、各関門をクリアし、次のピットストップを目指す。
特定のレッグのトップチームには、旅行や自動車などの賞品や賞金が授与される場合もある(賞品等があることは到着まで知らされない。賞金・賞品はレース終了後に実際に渡される)。
[編集] ノンエリミネーションレッグ
「脱落のないレッグ」の意。このレッグに最下位となったとしても、脱落させられない。ただし、シーズン5から、所持金の没収と次回のレッグの資金の剥奪、シーズン7から、所持品(パスポートとチェックイン時点で着ていた服は除く)を没収されることとなった。
[編集] その他のルール
チームはレース中、ルールにしたがって行動しなければならず、違反した場合はペナルティーが与えられる。これらのルールは公開されていないが、番組中に明らかになったものを以下に記す。
- 航空券はエコノミーで購入しなければならない。ただし、航空会社からビジネス・ファーストクラスに格上げされた場合は、エコノミー運賃を払っている限り違反ではない。
- チームはレース以前から知っている知人・友人・家族・親戚などと連絡してはいけない。ただし、レース中に偶然出会った場合(旅行代理店員など)は違反ではない。
- チームは、禁止された場合にお互いのタスクを助け合って行ってはいけない。ただし、特に禁止されていない場合については許可される。
- レース中、タバコを吸ってはいけない
- チームメンバーはお互いの20フィート(約6メートル10センチ)内にいなければならない。ただし、ロードブロック中を除く。
- 参加者の荷物はスタッフにより検査される場合がある。
[編集] ペナルティ
クルーに従わないなどの何らかの違反をした場合、次のピットストップに到着してから、決められた時間が経過するまでチェックインができない。以下、ペナルティーの種類と内容(時間)を記す。
- 禁止されている交通手段を使用した場合、30分(シーズン9から15分)
- 規定のコースにしたがって進まなかった場合、30分
- クルーボックスから1つ以上のクルーをとった場合、30分
- 他チームの車を使用した場合(他チームの所持品を盗んだ場合、の可能性あり)、30分
- 公共道路における速度違反、30分
- 故意にロードブロックを放棄する場合、4時間(次のチームがロードブロック地点に到達してから換算)
- 故意にディツアーを放棄する場合、24時間(ただし、シーズン1に一度だけ起こったため、ロードブロックの場合のペナルティー(シーズン6で発生)と比較しても重すぎるため、今もこのペナルティーが存在するかは不明)
- タスクを間違えて完了してしまった、また不完全の状態で次のクルーに到達した場合、ペナルティーは与えられないが、そのタスクに戻ってやり直さなければならない。(例外があり、シーズン1でクルーボックスを見逃したにもかかわらず、ピットストップに到達したときは、1時間のペナルティーが与えられた。
- チームの車が不慮に故障した場合、代替車を請求することが出来るが、その場合、代えの車を与えられるまでの時間は返還されない。
- スタッフのミスで時間のロスが生じたときには、そのロスは返還される(つまり、30分ロスされた場合はピットストップに30分早く着いたこととされる)が、例外もある。
[編集] 賞金
最終的に1位でゴールしたチームには賞金US$1,000,000(約1億2000万円相当)が贈られる。その他のチームには、そのチームの順位・脱落した順番に応じて賞金が支給される。
[編集] レースの行われた国・地域の一覧
大陸 | 国・地域 |
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北アメリカ | カナダ、コスタリカ、ジャマイカ、メキシコ、パナマ、アメリカ合衆国(アラスカ、グアム、ハワイ、プエルトリコ含む) |
南アメリカ | アルゼンチン、ペルー、ブラジル、チリ、エクアドル、ウルグアイ |
ヨーロッパ | オーストリア、フィンランド、フランス(コルシカ島含む)、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア(シチリア島含む)、リトアニア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ロシア連邦、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、ウクライナ、イギリス(イングランド・スコットランド含む)、バチカン市国 |
アフリカ | ボツワナ、ブルキナファソ、エジプト、エチオピア、ケニア、マダガスカル、モーリシャス、モロッコ、モザンビーク、ナミビア、セネガル、南アフリカ共和国、タンザニア(ザンジバル島含む)、チュニジア、ザンビア |
アジア | 中華人民共和国(香港、澳門含む)、インド、日本、クウェートマレーシア(サバ州含む)、モンゴル国、オマーン、フィリピン、シンガポール、大韓民国、スリランカ、タイ王国、アラブ首長国連邦、ベトナム |
オセアニア | オーストラリア、ニュージーランド |
※順はen:The Amazing Race (US TV series)による。
※上記はルートマーカー、ロードブロックなどのタスク、ピットストップなどがあった国・地域である。
※飛行機の乗り換えなどで立ち寄ったのみのバーレーン、デンマーク、カタール、台湾は除く。
[編集] その他
[編集] 各シーズンの詳細
- アメージング・レース1
- アメージング・レース2
- アメージング・レース3
- アメージング・レース4
- アメージング・レース5
- アメージング・レース6
- アメージング・レース7
- アメージング・レース8
- アメージング・レース9
- アメージング・レース10
- アメージング・レース11
- アメージング・レース12