べしゃり暮らし
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『べしゃり暮らし』は、森田まさのりによる漫画。週刊少年ジャンプで2005年44号から2006年30号まで連載され(28話まで)、赤マルジャンプ2006SUMMERの掲載を経て(29話)、週刊ヤングジャンプで2007年7号から月2回連載として再開(30話以降)。
同作の原点として2004年に週刊ヤングジャンプに2週連続で掲載された読切『柴犬』、プロトタイプとして週刊少年ジャンプ2005年5・6合併号に掲載された読切『スベルヲイトワズ』がある。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] 概要
本作は「学園の爆笑王」を名乗る高校生・上妻圭右(あがつま けいすけ)がお笑い芸人を目指す姿を描いた少年漫画である。作者の森田は、前作『ROOKIES』の作者コメントで「究極の笑いを目指したお笑い漫画を描くつもりだ、主人公も決まっている。」と公言しており、いくつかの習作を経て、それを形にしたもの。
お笑いに命を賭ける人間ドラマを描いた作品で話題を呼んだが、作者が体調を崩して週刊ペースを維持できなくなり、編集部に「マイペースで描きたい」という意向を伝えたため、2007年から週刊ヤングジャンプの不定期連載枠に移籍して再開となった(2008年2月現在、2勤2休のペースで掲載されている)。森田はこの作品をきれいな形で大団円を迎えることを公言している。
登場人物名は『ROOKIES』同様、プロ野球の選手名と実在の芸人の名前から取られており、また作中に登場する人気芸人は設定等は全て作者の創作ながら、外見は実在する芸人がモデルとされている。
キャラクター同士の会話中に笑い声を入れるなど、従来の漫画よりもリアルな日常描写が見られる。
[編集] 登場人物
[編集] 吉竹高校
野球部が全国高校野球選手権大会・県予選決勝進出を果たし、放送部が、全国放送コンクールで映像部門で入賞をするなど、文武共に活気のある高校。主人公の上妻圭右などが通う。名前の由来はおそらく吉本興業+松竹芸能もしくは吉竹春樹。
[編集] きそばAT
主人公・上妻圭右と元・高校生漫才師の辻本潤のお笑いコンビ。実質的な初舞台は高校の文化祭。昼の放送などで培ったしゃべりの技術と、アドリブからの即興漫才をベースにしている。きそばATのATは「上妻、辻本のAとTからとった」と辻本が語っている。
- 上妻 圭右(あがつま けいすけ)
- 主人公。きそばATのボケ担当。人を笑わせることが大好きで、笑わせるためなら命がけで何でもやる、自称「学園の爆笑王」。
- 校内放送「圭右明弘のお昼だどっぴゅん大放送」で校内中の笑いをとっている。ネタで校長のヅラ疑惑を持ち込んで放送中止となるが、命より大事な髪の毛を刈って自分でカツラをかぶって謝罪した。転校してきた辻本を当初はライバル視するが、次第に認めるようになり、学園祭の漫才コンテストで辻本と「きそばAT(オートマティック)」というコンビを組む。得意のアドリブ漫才で奮闘、審査委員である校長が0点をつけたため優勝を逃すが、芸人を目指す覚悟を固めた。
- 高3の秋、NMC(ニッポン漫才クラシック)にエントリーするが、その時点では「校内一」レベルに過ぎず、第1次予選でダダ滑りして敗退する。
- ボケる際には関西弁になるがエセであるため、デジきんから封印を勧められているが圭右本人は認めようとしていない。一方で、先輩芸人達もうらやむ天然ボケである。自然と出る標準語のボケ、ツッコミ(何も考えずに発言するため、本人はボケ、ツッコミと捉えていないが)はプロの芸人たちも面白いと評し、中でもデジきんの金本から、間接的に「天才」と認められている。金本に対し、下ネタオンパレードの最悪のネタを臆することなく批評を求め、初舞台となる、文化祭でも緊張のかけらも見せないほど、度胸は満点(楽屋に来る際、分別なく色々やらかす部分に対しては、相方の辻本も若干イタイやつと思っている)。
- 辻本 潤(つじもと じゅん)
- 関西から圭右のクラスに転校してきた元芸人。きそばATのツッコミ担当。何かと笑いで張り合ってくる圭右を訝しんでいたが、次第に笑いの才能を認めるようになり、学園祭の漫才コンテストから、圭右と「きそばAT」というコンビを組んだ。
- 静代と「SHIZU-JUN(シズジュン)」というお笑いコンビを組んでいたが、静代のことを本気で好きになり、お笑いの質を落とす前に別れようと何も言わずに勝手に上京してきた(一応、父親の蒸発が契機ではあるが)。のちに静代が追いかけてきたが「SHIZU-JUN」を正式に解散した。「きそばAT」結成後も相方の圭右にはっきり意見をできない甘さを抱えている。
- 玉木が辻本のネタをパクり、文化祭で披露した際には、ロッテンマイヤーズの涌井から「ネタがめっちゃ面白い。」と言われるなど、ネタ作りに才能がある。
[編集] 吉竹高校生徒・関係者
- 子安 蒼太(こやす そうた)
- お笑い好きの放送部員(機材担当)で圭右のよき理解者。
- 笑いのネタ作りに才能があり、デジタルきんぎょのラジオ番組のハガキ職人でもある。
- 父親は万年予選落ちのプロゴルファー。その反動で教育ママのようになっている母親のために大学進学を目指していたが、圭右の説得により、お笑い作家になることを決めた。暴走する圭右に対しては「圭右く…」と語尾が不明瞭になるのが癖。
- 土屋 奈々(つちや なな)
- 圭右の同級生で放送部員。下ネタが出る度に激怒して放送を強制終了する。圭右とは幼馴染みであり、「きそば上妻」の悲劇からお笑い嫌いだった時期があった。
- 上妻 潔(あがつま きよし)
- 圭右の父親。「きそば上妻」という蕎麦屋を経営している。店の帳場に誰も近づかせたくないらしい。元々は芸人好きだったが、食堂の常連客の漫才コンビ「ねずみ花火」の、ネタとはいえ食品衛生上に関わる、蕎麦屋をネタにした漫才で起きた悲劇が元で、芸人に憎しみを持つようになる(もっとも、圭右曰くその悲劇の原因は、父親である潔の「きそば上妻」に対するプライドにもあったらしい)圭右の校内放送でカンカンに怒った。しかし、実は芸人を憎みきれずにサインなどを帳場の奥に隠していた。現在は芸人を目指す圭右のことを陰ながら応援している節がある。
- 上妻 しのぶ(あがつま しのぶ)
- 圭右の姉。父親の店で手伝いをしている。いつもコアラが描かれたエプロンをしている。幼き頃に母を亡くしてからか、かなりのしっかり者。店の手伝いの他に、圭右のお弁当なども作っている。
- 竹若 明浩(たけわか あきひろ)
- 圭右の悪友で幼馴染み。校内放送「圭右明弘のお昼だどっぴゅん大放送」で圭右の相方を担当する放送部員。実家は理髪店を経営している。なお名前の由来はバッファロー吾郎の竹若元博と木村明浩からきていると思われる。
- 梅垣(うめがき)
- 圭右の同級生。天然パーマに髭、デブでいわゆるブサイクキャラ。圭右が漫才コンテストで出オチ狙いでコンビ結成を持ちかけた。圭右の下ネタコントが嫌で拒否し続けた。
- 玉木(たまき)
- イケメンで、女子にモテモテの男子。奈々に告白したが振られたため、腹いせに圭右らに数回嫌がらせをした(濡れ衣、音声ケーブル切断など)。最近は女子にモテなくなってきている様子。学園祭の漫才コンテストでは、一年の杉内と「STROKE OF FATE」(ストローク・オブ・フェイト)のコンビ名で出場し、きそばATのネタをパクって優勝。コンビ名はよくFATEをFAKEに間違えられる。
- 杉内(すぎうち)
- 一年生の中では面白いと評判の生徒。実際はロッテンマイヤーズのギャグを連呼しているだけである。漫才コンテストで、玉木が自分で考えてきたネタを面白くないと評し、パクって来た辻本のネタを面白いと評するなど、ある程度のお笑いセンスはあるように思える。玉木とコンビを組みコンテストで優勝。名前の由来は杉内俊哉と思われる。
- 沢尻 ひとみ(さわじり ひとみ)
- お笑いマニアの2年生。圭右の好きなアイドル、松浦亜衣に似ている可愛らしい女の子。連載1話目の冒頭の漫才のネタに出てきた「ひとみちゃん」張本人であると思われる。圭右に告白し、付き合うこととなったが、圭右の喋る関西弁に対する違和感を指摘したのがきっかけで交際は短期間で終了する(デジきん藤川と同じことを言われ、圭右の癇に障ったのが原因と思われる)。
- 校長
- 圭右の学校の校長。自己顕示欲が非常に強く、この学校に自分の名前を残したいと考えているらしい。圭右の校内放送が気に食わず、自分のヅラ疑惑(本当にヅラである)がネタにされたことで激怒、放送中止にした。
[編集] お笑い芸人・関係者
個性あふれる芸人や構成作家が登場。作中に出てきたヨシムラは、芸能プロダクションの名前であると思われ、そのヨシムラにはデジタルきんぎょや、ロッテンマイヤーズ、構成作家の下柳などが所属している。
[編集] デジタルきんぎょ
- 金本と藤川の人気お笑いコンビ。通称「デジきん」。辻本を「SHIZU-JUN」時代からかわいがっている。
- 以前は「エプロンパパ」のコンビ名でデビューしていたが、初舞台で問題を起こしてしまいその場で事務所を解雇され、一度解散。後にデジきんとして再結成した。共に売れてくるにつれ、リハーサルを別々にやったりプライベートでは一切しゃべらなかったりするなど仲が悪くなったが、圭右の影響もあってか関係は修復されつつある。コンビ名の元ネタはアナログフィッシュと思われる。
- 金本(かねもと)
- デジきんのボケ、ネタ作り担当。しゃべり、切り返しが格段にうまく、笑いに対してのこだわりがある。相方の藤川や、ロッテンの炭谷からも才能があると認められるほど、笑いの才能に長けている。
- その才能に目をつけられ、先にピンでの仕事が入ったり、ピンでの海外ロケが決まったりと、早くも、芸人として飯を食えるようになる。普段は、物静かでとっつきにくい印象があるが、売れない後輩に対し、パシリに使う一方、お釣りを恵んだりと、無愛想ながらも気遣っている場面がある。その面から、かつて仕事のない藤川を気遣うことがあり、それがきっかけで不仲に発展することもあった。カメラが回ると、顔が変わる。後に殴り合いの大喧嘩の末、今までよりも漫才の質が上がった。
- 名前の由来は金本知憲。
- 藤川 則夫(ふじかわ のりお)
- デジきんのツッコミ担当。声を張ったパワフルなツッコミが持ち味。
- かつては、ネタ中にセリフをかんだり、いまいち芸人として華のない人物だった。早くから結婚したことから、自分の安定を求める一方で、才能に秀で、自由に笑いを追求する金本をたてるようになってしまう。しかし、本当は自分も笑いを求めたいと言う気持ちもあり、当時のマネージャーから「引き立て役」と言われたことが発端で、細身の金本に対し、自分は太ると決め込み、キャラ作りも熱心に行い、一人での舞台で腕を磨いていった。おかげで、セリフをかむこともなくなり、要所でアドリブを入れるなど、腕をあげるが、ネタをめちゃめちゃにされたことをよく思わない金本と、不仲になってしまう。
- 誰からも慕われる、愛想のいい人物で、ロッテン涌井と仲が良い。圭右の事を気にかけ、「無理に関西弁を使う必要はない。」と諭す。酔うと全裸になる癖がある。
- 名前の由来は藤川球児。ちなみに彼の息子の名前も藤川球児である。
[編集] その他芸人・関係者
- サボテンミサイル
- 圭右にデジきんと間違えて覚えられていた。
- 短編作品『柴犬』にも同名のお笑いコンビが登場し、容姿から同一人物であるとされる。
- 鳥谷 静代(とりたに しずよ)
- 辻本の元相方。お笑いコンビ「SHIZU-JUN」を組んでいたが、辻本が何も言わずに勝手に上京し、彼を追うためにデジきんの藤川とともに大阪から東京にやってきたが正式に解散を告げられる。現在は、女の相方と共に「ニップレス」というコンビを組んで活動中。
- 名前の由来は鳥谷敬+山崎静代。
- ロッテンマイヤーズ
- 炭谷と涌井のお笑いコンビ。炭谷は才能がある人物を嫌ってる(彼なりにその相手を評価している証拠であるが)。涌井は人当たりの良い人物で、あだ名では「ワックィー」。おしりっぴょーんという芸が一世風靡した。
- 名前の由来は炭谷銀仁朗と涌井秀章。コンビ名の由来はロッテンマイヤーさん(『アルプスの少女ハイジ』の登場人物)からと思われる。
- るのあーる
- 上原と梵のお笑いコンビ。あるあるネタにボケの梵がキレ、それに対しツッコミの上原が共感するように叫ぶという漫才スタイル。あるあるあーるのるのあーるというネタ間のブリッジが有名。現在も養成所在学中だが、オーディション番組で子供にウケ、それにテレビ局が目をつけ、有名となる。
- 名前の由来は上原浩治、梵英心。キャラ設定のモデルはオリエンタルラジオだと思われる。
- ワラッテーナ
- 桜井と狩野のお笑いコンビ。NMCの予選会場から桜井が出てきた際、一緒に出てきた圭右がパーカーのフードを被っていたために出待ちの女の子達に相方の狩野と間違われサインを求められた。
- 名前の由来は桜井広大、狩野恵輔。
- 弾丸メタル
- お笑いコンビ。NMCに出場、決勝進出する。コンビ名の由来は弾丸ジャッキー+瞬間メタルであり、二人の見た目もそれぞれのメンバーである武田テキサスと前田ばっこーに似通っている。
- 下柳(しもやなぎ)
- 構成作家。「笑いの門」などの番組を手掛けている。デジきん藤川から「シモ」と呼ばれている。デジきんとタメ口で会話ができることや、藤川の嫁からも気さくに話しかけられることから、おそらく、デジきんとは学生時代からの友人だと思われる。
- 名前の由来は下柳剛。
- 藤川 尚美(ふじかわ なほみ)
- デジきん藤川の嫁。口癖は「死んだらええねん。」。藤川との間に球児という息子を授かっている。
- 名前の由来は藤川球児+松嶋尚美。
[編集] コミックス
2008年6月現在ヤングジャンプコミックスで6巻まで発売されている。一度はジャンプコミックスで3巻まで発売されたが、新装版が発売されてからは既刊リストから外されている。また、週刊ヤングジャンプ増刊「べしゃり暮らし総集編 全部入り」が2007年1月16日に発売されており、あとがきとして移籍に至った経緯が記されている。
[編集] 赤マルジャンプ掲載に至った経緯
29話の赤マルジャンプ掲載は、当初の予定にはなかったものである。
作者によると、「週刊少年ジャンプでの連載中断を自身で決めた際にあらかじめ28話で区切りを付けることを決めていたものの、話が膨らんでまとめられなかったために急遽執筆したもの」であることが「全部入り」のあとがきで明かされている。
以上で物語・作品に関する核心部分の記述は終わりです。
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