ふなんこぐい
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ふなんこぐいは佐賀県鹿島市の郷土料理。名称は「鮒の(煮)凝り」の意。
鹿島浜町の中町通りで毎年1月19日の早朝に「ふな市」が行われ、地元の人はそこで鮒を購入し、昆布を巻き、約12時間煮込む料理である。出来上がった後は、恵比寿さんにお供えして商売繁盛・無病息災を祈願する風習がある。
この料理の起源は、天武天皇の娘で、大友皇子妃であった十市皇女が、大友方の天武暗殺計画を知り、鮒の腹に密書を隠して父に知らせたことにちなむという。
此(この)大友皇子の妻にては、春宮(とうぐう=大海人皇子)の御女(むすめ=十市皇女。母は、額田王)ましければ、父の殺され給はんことをかなしみ給(たまひ)て、いかで、此(この)こと告(つげ)申さむとおぼしけれど、すべきやうなかりけるに、思(おもひ)わび給(たまひ)て、鮒(ふな)のつゝみやきのありける腹に、小(ちい)さくふみをかきて、押しいれて奉り給へり。
(渡邊綱也・西尾光一校注『宇治拾遺物語』日本古典文学大系27・1960年、「一八六 清見原天皇と大友皇子と合戦の事 巻一五ノ一、411⑤~⑧」)