とびだせ大作戦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジャンル | 3Dランシューティング |
---|---|
対応機種 | ファミコン・ディスクシステム |
開発元 | スクウェア |
発売元 | DOG(スクウェア) |
人数 | 1人 |
メディア | ディスクカード(両面) |
発売日 | 1987年3月12日 |
価格 | 3400円(税抜) |
デバイス | とびだせメガネ |
とびだせ大作戦( - だいさくせん)はスクウェア(現スクウェア・エニックス)が1987年にファミリーコンピュータ ディスクシステムで発売したコンピュータゲーム。ジャンルは3Dランシューティング。「技術力はあるが売れないものを作るメーカー」だった頃のスクウェアを象徴するようなソフト。
付属の「とびだせメガネ」(いわゆる赤青メガネ)を使用すると画面が立体的に見えるモードが選択可能で、これがタイトルの由来になっている。
[編集] ゲーム内容
ゲーム内容はプレイヤーキャラクターが敵を避け、穴を飛び越えながら画面奥に向かって疾走するというもの。一言で言えば「スペースハリアーの亜流」であるが、そのままのコピーは憚られたのか、地面を走るという設定に変更されている。もっとも、ファミコンの性能限界から地面を走っているようにしか見えないとという理由も考えられる(ただしボス戦では飛行して、スペースハリアーそのまま)。
本作の“売り”はプログラマであるナーシャ・ジベリの超絶技巧であろう。
ファミリーコンピュータの類似ゲームにはタカラによるスペースハリアー(セガから正式にライセンスを受けた正規の移植版)と、ポニーキャニオンのアタックアニマル学園があるが、これらのゲームでは地面の市松模様を背景パターンの単純なパレットアニメーションで表現しており、横方向の変位というものもない。そのため奥スクロールがややぎこちなく、地平線を走るような独特の疾走感もあまり表現しきれていない。
これらに対し「とびだせ大作戦」では、ラスタースクロールやラスター割り込みと呼ばれる技術を駆使している。これにより、なめらかな奥方向のスクロールとともに、横方向の移動に同期して市松模様が歪む効果も自然に再現できている(ただし、擬似的な平面計算ではないので、高さの軸はない)。動作そのものも高速で、その上を多数のオブジェクトが処理落ちなしに拡大縮小するという高度なプログラムになっている。さらに、「とびだせメガネ」による視差を利用した3D表示(深度で角度を付けて物を二重表示する)に対応し、裏面ではさらなる高速化がされるなど、同じハードウェアを利用したとは思えない技術差をかいま見ることができる。
ナーシャのプログラミング技術力の高さはファイナルファンタジーIIIなどで有名であるが、こちらは同じスペースハリアー系アクションゲームであるだけに、出来・不出来が直接比較可能な良いサンプルといえよう。
なお、タカラ版「スペースハリアー」、「アタックアニマル学園」の両タイトルも決して出来が悪い訳ではなく、むしろ当時のスペックを考慮すれば及第点を与えられる内容との評価が多いものであることを補足しておく。
[編集] その他
とびだせ大作戦はディスクカードであるため、現在では入手困難であるが、実質的な続編に当たる「JJ ~ とびだせ大作戦パート2」はROMカセットなので、こちらの方が入手が容易である(JJのスピードは始めから「とびだせ」の裏面設定)。
「とびだせ大作戦」「JJ」ともに、正式なタイトル画面とゲーム開始の間に、デモ画面的な内容のもうひとつのタイトル画面(ゲーム中の画面とほとんど同じ表示で、スタートボタンを押すまでの間、ボスが飛び回っている。また、ゲームオーバーになった場合はこの画面に直接戻る)が存在する。この画面の下部には一行分のテキスト表示エリアにハイスコアなどが切り替わって表示されているのだが、この部分に「S Q U A R E PRESENTS JUNP-N-JACK (JJは「JUMP'IN JACK」)」という、本来とはまったく別のタイトルが表示されている。開発中のタイトルであった可能性は考えられるが、真相の程は定かではない。
なお、タイトル画面がこのような構成になっているのは、ディスクA面にタイトル画面のデータが入っており、B面に裏返してゲームを始めた後、ゲームオーバーになってもA面に戻らなくても良いようにするため。JJはROMカセットであるためそうする必要はまったくないのだが、仕様をそのまま引き継いでいる。
ちなみにこの年のスクウェアは8月7日に「ハイウェイスター (ゲーム)」を、12月1日に「JJ」、12月18日に「ファイナルファンタジー」を発売しているが、これら全てがナーシャのプログラムによるものである。
また、同社のプレイステーション用ソフト「チョコボレーシング ~幻界へのロード~」のゲーム内で、本作の主人公キャラが隠しキャラとして登場している。