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さいたまゴールド・シアター - Wikipedia

さいたまゴールド・シアター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

さいたまゴールド・シアターとは演出家、蜷川幸雄が主宰する55歳以上限定の劇団。さいたま市の「彩の国さいたま芸術劇場」が活動拠点

目次

[編集] コンセプト

演出家、蜷川幸雄が、長い人生経験を積んだ人々の身体表現や感情表現を舞台に活かそうと2006年4月に創設した55歳以上限定のプロ劇団。発足時の団員は最高年齢80歳、平均年齢66.5歳。ポーランドの演出家、タデウシュ・カントールが主宰していた老人劇団がモデルとなった。構想発表以来、応募者が殺到するなど大きな反響があり、メディアでも相次いで報道された。 拠点の彩の国さいたま芸術劇場での本公演、中間発表に加えて、団員は蜷川演出の舞台や、その他の劇場への出演も重ねている。中高年を演劇などの芸術の〝消費者〟という側面だけでとらえず、可能性を秘めた〝創作者〟として見直し、舞台で実践する取り組みとして評価されている。 本拠地の彩の国さいたま芸術劇場は、埼玉県芸術文化振興財団が指定管理者として運営。2006年の2回の中間発表と、2007年の第1回公演には3700万円の経費がかかったが、計4500人以上を動員、芸術劇場の知名度を全国で高めた。 当初の団員は48人。第1回公演時には46人。2008年1月時点で44人が団員として活動している。

[編集] 経過

  • 2005年10月 蜷川幸雄が彩の国さいたま芸術劇場の芸術監督に内定
  • 11月9日 蜷川が高齢者劇団の構想を発表
  • 2006年2月1日 「さいたまゴールド・シアター」の団員募集開始
  • 2月末 応募締め切り。20人程度の募集に1266人応募
  • 3月14日 全員オーディション開始。3月30日まで
  • 4月21日 さいたまゴールド・シアターが正式に発足。団員48名。平均年齢66.5歳、最高齢80歳
  • 5月1日 初げいこ
  • 7月28日 第1回中間発表「Pro-cess~途上~」(8月1日まで)
  • 12月1日 第2回中間発表「Pro-cess2『鴉よ、おれたちは弾丸をこめる』」(清水邦夫作、12月4日まで)
  • 2007年6月22日 第1回公演「船上のピクニック」(岩松了作、7月1日まで)
  • 2008年3月27日 第3回中間発表「Pro-cess 3〝想い出の日本一萬年〟」(清水邦夫作、3月30日まで)
  • 5月28日 第2回公演「95kgと97kgのあいだ」(清水邦夫作、6月5日まで)

[編集] 劇団に関する蜷川幸雄の発言

  • 「極端な話、老人役者が『ロミオとジュリエット』や『ハムレット』、井上ひさしさんの作品を演じる。歳を重ねた人がやることで、新しい表現が生まれないだろうか」
  • 「外国の芝居は実年齢の人がやっている。日本はだいたい若い人ばかりで、芝居の厚みが違う。外国のあり方をうらやましく思っていた」
  • 「(中高年が)受け手の側でなく、つくり手側に回ったらどうなるのかなと思っていた。知的に飢えている人たちがたくさんいる。そういう人たちと一緒に仕事ができないだろうか」
  • 「人生リタイアして、そろそろいろんなことを閉じないといけないかなと思っているときに、そうじゃない、違うスタートラインかもしれない。そういう場になればいい」
  • 「働いていても、必ずしも若い日の夢が全部、成就されているとは限らない。定年でもう一度、意味のある何かを抱えようと思っている人、そんな人たちが自己解放の手段として、もう一つの人生をつくろうとしているのかもしれない」
  • 「リアルなことをリアルにやっていく。リアリティーを描写できることと、観念も扱うことができること。そういうものとして芝居をつくりたい」
  • 「老いていくことはいろんな人生の経験を重ねること。年老いてきたことはマイナスじゃない。いろんな経験で喜びや悲しみは深いはずだ。それを舞台に反映できる演技術、あるいは演劇が、一過性では終わらないすぐれた演劇だと思っている。老いること、疲弊すること、経験を重ねることは、必ず作品の解釈や役づくりに反映される。それがゴールド・シアターをやっている意味だ」
  • 「僕らはクリエイティブでなければならない。僕らは自立してつくりだす主体にならなければならない。そうでなければ演出家は権力者になってしまう。自分でできることは自分でやってほしい。しんどいのをクリアしなければいけない。努力の問題だ」

[編集] メンバー

(2007年6月の第1回公演時、年齢も)

  • 主宰:蜷川幸雄(71)
  • 演出助手:井上尊晶(37)
  • 81:重本恵津子、小林博
  • 79:高橋清
  • 78:森下竜一
  • 77:関根敏博
  • 76:葛西弘、中島栄一、中野富吉
  • 75:高田誠治郎
  • 74:茅野弘子
  • 73:佐藤礼子、大串三和子
  • 72:徳納敬子、永橋敏子、宇畑稔
  • 71:神尾冨美子、高階菖子、大神信(退団)、遠山陽一、杜澤充英(退団)、西尾嘉十
  • 69:小川喬也
  • 68:宅島渓
  • 67:田村律子
  • 65:谷川美枝、森安恵、渡辺杏奴、北澤雅章、渡部純二
  • 64:百元夏絵、竹居正武
  • 63:石川佳代、小林允子
  • 62:吉久智恵子、益田ひろ子、倉澤誠一
  • 61:小渕光世、田内一子、美坂公子
  • 60:加藤素子、滝沢多江
  • 59:上村正子
  • 58:寺村陽子、宮田道代
  • 57:林田恵子
  • 56:中村絹江

[編集] 外部リンク

[編集] 参考文献

  • 蜷川幸雄と「さいたまゴールド・シアター」の500日(平凡社新書)[1]


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