A型肝炎
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A型肝炎(Aがたかんえん, Hepatitis A, HA)とは、A型肝炎ウイルス(HAV)が原因のウイルス性肝炎の一種である。
A型肝炎ウイルスはピコルナウイルス科ヘパトウイルス属に属するRNAウイルスである。
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[編集] 感染・経過
- A型肝炎はA型肝炎ウイルスに汚染された水や野菜、魚介類などを生で食べることにより感染する。基本はヒトからヒトへの感染であり、食物を介さずに、糞便に汚染された器具、手指等を経て感染することもある。近年は肛門性交による性感染症としても知られている。
- 感染力が強く集団発生することがある。また患者の発生報告には季節性があり、例年春先になると感染者数が増加するが、その理由は明らかではない。
- 日本では戦後生まれの世代(大凡60歳以下)ではA型肝炎に対する抗体(HA抗体)を持っていない者が多く、これらの人々がA型肝炎の流行地へ旅行することで感染するパターンが多い。
- 口から侵入したA型肝炎ウイルスは、消化管で吸収されて血流に乗り、肝臓へと到達する。肝臓でウイルスは増殖し胆汁中や血液中に放出される。ウイルスを含んだ胆汁は十二指腸へ排出されるが一部は腸管で再吸収され、残りは便中に排泄される。
- 潜伏期間は平均1ヶ月程度であり、やがて増殖したウイルスに対する免疫が働き始めHA抗体が作られるようになると免疫機構により肝細胞が攻撃され、A型肝炎の症状が出現する。肝炎の発症以前でも、感染者の糞便中にはA型肝炎ウイルスが排出されており、他人に感染させる原因となり得る。
- A型肝炎の経過は慢性化することはほとんどなく急性肝炎の形をとり、ある時期を過ぎると治癒へ向かうことが多いが、稀に劇症肝炎や腎不全へと移行し重症化することがある。
[編集] 症状
[編集] 診断
[編集] 治療
- 安静
[編集] 予防
- A型肝炎の流行地へ旅行する際には、あらかじめ医療機関でA型肝炎ワクチンの接種を行うことで、A型肝炎を予防することができる。
- A型肝炎に限らず、各種の感染症を予防する観点から、海外では原則として水道水、生野菜、生の魚介類は避けた方が良い。
- 日本製のA型肝炎ワクチンは3回接種。1回目と2回目は2−4週間隔。3回目は6ヶ月後になっている。3回の接種完了で、メーカーコメントでは5年間有効とされているため、リスクがある場合には5年に一度の接種が推奨されている。ちなみに、渡航前には最低2回の接種が推奨される。対象年齢は16歳以上。それ以下の年齢に対する安全性や投与プロトコールが設定されていない。正式な力価は公表されていないが、予測では約1200El.U.と思われるが、アジュバントを含まないため、免疫応答は緩徐である。
- 欧米のA型肝炎ワクチンは2回接種。渡航前に1回で、12〜18ヶ月間有効である。初回接種の6−12ヶ月後に2回目の接種を受けることにより、20年有効と報告されている。対象年齢は満1歳からであり、米国では定期接種に2006年から指定された。ある製品の成人量力価は1440El.U.である。海外製品の多くはアジュバントを含むため、早期からの免疫応答が認められ、抗体価も上がりやすい。
- 免疫グロブリン:ヒト由来の血液製剤であり、国内では主に2社が扱っている。早期にA型肝炎、麻疹などに免疫力を得たいとき、または、その治療の際に使用する。いずれかが、献血から精製されたもの、もう片方が売血からの輸入ものである。血液製剤である以上、スクリーニング出来ていない感染症(プリオン:クロイツフェルト・ヤコブなど)や検査にて検出されなかったものに罹患するリスクはある。その他の問題点は、日本国内のA型肝炎抗体保有者率とその抗体価が低下しているため、国内で採取された血液の場合、抗体価がやや低めになっている可能性が否定できない。接種量は体重換算と短期(3ヶ月以内)か長期(6ヶ月)によって変化する。
よって、渡航前に4−6週間以上ある場合には選択肢は広がるが、4週間を切っている場合には、予防接種無しでの渡航、海外製品接種後の渡航、または免疫グロブリン接種後の短期渡航から選ぶことになる。
なお、海外製品は国内未承認であるため、個人輸入を取り扱っている医療機関での接種となる。
[編集] 外部リンク
- 国立感染症研究所 感染症情報センター
- 肝炎 メルクマニュアル家庭版