環状シロキサン
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環状シロキサン(かんじょう—、英語 Cyclic siloxanes、Cyclosiloxanes )はケイ素と酸素が交互に結合し、環を形成した化合物の総称。ある程度の粘度がある液状のものは、シリコンオイルとも呼ばれる。
[編集] 概要
シロキサン(Siloxane)の内、環状の分子構造を持つものをいう。
多くはオリゴマーであり、環状ジメチル型(D体、分子式 SiO(CH3)2)の結合量により、D3(三量体)、D4(四量体)、D5(五量体)などと表記される。
- ヘキサメチルシクロトリシロキサン(hexamethyl cyclotrisiloxane、D3)C6H18O3Si3
- オクタメチルシクロテトラシロキサン(octamethyl cyclotetrasiloxane、D4)C8H24O4Si4
- デカメチルシクロペンタシロキサン(decamethyl cyclopentasiloxane、D5)C10H30O5Si5
- ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(dodecamethyl cyclohexasiloxane、D6)C12H36O6Si6
[編集] 用途
常温で液状で、揮発性があるシリコンであるデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)は、環境にやさしいドライクリーニング溶剤として使用される。この方法は英語でGreenEarth Cleaningと呼ばれ、特許が与えられている。
D5は環境中に放出しても、短期間で二酸化ケイ素、二酸化炭素、水に分解されるため環境への影響がわずかとされる。
他には、化粧品に毒性の低い溶剤として加えられている場合がある。
[編集] 問題点
高沸点物質だが、揮発性が高いので、室温から体温でも揮発し、電気回路の表面に付着して影響を与える可能性がある。一般の事業所などの使用環境では問題となる可能性は低いが、高濃度で使用するクリーニング工場や、半導体用シリコンウェハーなどを製造しているクリーンルームにおいては接点阻害が引き起こされるため、低分子シロキサンとも呼ばれるD4–D6は特に混入の低減が求められる。
溶剤として使用している現場以外での発生源としては、シーリング材などのシリコン樹脂製品や、シャンプー、化粧品などに含まれるシリコンオイルなどが考えられる。