涼州
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涼州(りょうしゅう)は漢代に置かれた13の州の1つ。現在の甘粛省から青海省の一部にかけての地域にあった。現在では甘粛省の別名になっている。
[編集] 涼州詞
涼州を舞台にした「涼州詞」が多く作られているが、中でも有名なのが王翰による七言絶句である。
- 葡萄美酒夜光杯・・・・ブドウ酒をガラスの杯に注いで飲む
- 欲飲琵琶馬上催・・・・馬上から降りずに飲んで琵琶を掻き鳴らす
- 酔臥沙場君莫笑・・・・酔っ払って砂漠[1]に倒れ伏そうとも笑わないでくれ
- 古来征戦幾人帰・・・・昔から戦場に出てきたうちのいったい幾人かが無事帰れたことか
起句では、西域から伝わった「葡萄美酒」すなわちワインや「夜光杯」といったエキゾチックな小道具が登場する。古来、涼州は天山山脈を越えてヨーロッパへ通ずる南北路の交通の要所であったため、珍しいものが伝わっていたことに由来する。 同じ理由から涼州は国境防衛の要地でもあり、異民族との戦場になることも多かった。そこに「馬上催」という落ち着かなさの原因があるのかもしれず、結句に「幾人帰」と戦に向かう厳しさと不安が詠われるのである。
- ^ 「沙場」とは「砂漠」ではなく「戦場」の意味だとも言われる