東環状大橋
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東環状大橋(ひがしかんじょうおおはし、仮称)は、吉野川の河口から約2kmの場所に建設中の橋梁。徳島県徳島市住吉六丁目(右岸)と徳島市川内町鶴島(左岸)とを結び、東環状線整備計画の要となっている。徳島県道29号徳島環状線が通る予定。橋長1291mは、河川に架かる道路橋としては国内最長[1]。
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[編集] データ
- 規格:4種1級
- 設計速度(V):60km/h
- 橋長(L):1,291m(全体延長1,380m)
- 構造:ラーメン鈑桁橋(一般部716m)及びケーブルイグレット鈑桁橋(干潟部575m)
- 幅員(W):26.3m~32.3m(主塔部)
- 車線数:4車線(両側に歩道)
- 計画交通量:約2万5千台/日
- 事業名:街路事業
- 事業主体:徳島県
- 事業費(C):約250億円
- 事業期間:2000年度~2011年度(2003年12月6日起工)
- 工事進捗率:31.3%(2004年3月現在)
[編集] 自然環境への配慮
当該橋梁は、徳島市中心部の慢性的な渋滞を緩和する目的で建設がすすめられている。しかしながら建設地の右岸側には、絶滅危惧種(シオマネキなど)が生息する干潟があることから、建設の是非をめぐっては“渋滞の解消(大気汚染の改善)”と“干潟の保護”のどちらを優先すべきか徳島市民の間で賛否がわかれている。
[編集] 工法
当初は水底トンネルによって干潟を回避する案も検討されたが、かさむ建設費や付近を走るメジアンライン等の問題があったため、最終的には橋梁案が採用された。この計画には、干潟を守るための様々な工夫が盛り込まれている。
- 干潟の上にあたる部分を吊り橋にすることで橋脚の数を減らし、干潟への影響を最小限に抑える。独自の工法であるため、「ケーブルイーグレット(イグレット)工法」と名付けられた。「イーグレット」とは干潟に飛来するシラサギのことであるとしている。
- 主塔の高さを29.5mと出来るだけ低くし、ケーブルの本数についても1本と従来より少なくすることによって、シギ科、チドリ科等の野鳥の飛来に影響を及ばさないようにする。
- 高欄照明を採用することで、夜間、橋上以外に光が漏れないようにする。
- 施工段階においては、桟橋を用いるのではなく台船を浮かべて工事を行う。これによって、干潟への直接的な影響を避ける。
[編集] 反対運動
橋梁の建設予定地のすぐ下流にも干潟があるため、2001年の計画策定時点から、環境保護団体や住民団体による反対運動が継続している。工事着工以前には、計画を中断し、環境への影響を策定することを要望する意見が見られた[2]ものの、工事着工後の運動は下火となっている。
かわって、東環状大橋より下流に四国横断自動車道の延長に伴う橋梁の建設が計画されており、東環状大橋を利用するなどの建設ルートの見直しの要望がなされている[3]。
[編集] 隣の橋梁
[編集] 脚注
- ^ 現在は、利根川に架かる銚子大橋が国内最長。
- ^ 2002年から2003年にかけて、日本自然保護協会および世界自然保護基金ジャパンが質問書や意見書を提出している。日本自然保護協会の質問書 世界自然保護基金ジャパンの意見書
- ^ 2005年から2006年にかけて、県内の環境保護団体や日本自然保護協会による要望書や意見書が提出されている。2005年9月の徳島新聞の記事 日本自然保護協会の意見書 (PDF)
- ^ 計画中の橋梁。遅くとも2020年3月末までに開通する見通し。