呼吸器
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呼吸器(こきゅうき)とは、動物における外呼吸をするために特化した器官のこと。医学用語としては、「気道」という別名がある。
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[編集] 呼吸器に属する主な器官
[編集] 陸上の脊椎動物の呼吸器
- 哺乳類は、外気から肺に取込まれた吸気に含まれる酸素は、肺胞で主に肺循環血液中の血色素と結合する。反対に肺循環血液中に多く含まれる二酸化炭素が肺胞内に移動し呼気とともに対外に排出される。大気圧が1気圧の場合、ヒトでは肺胞酸素分圧は約100mmHgで、この値は正常なヒトでは運動時にもそれほど変らないといわれる。哺乳類では肺や気管支を収容している胸腔と胃や肝臓など腹部の臓器を収容している腹腔は横隔膜によって両者が完全に分離されている。吸気時にはこの横隔膜と外肋間筋が収縮して胸腔の体積を拡大し、呼気時にはこれらの筋肉(呼吸主働筋)が弛緩することによって、胸腔の体積が減少する。このようなピストン運動によって肺のガス交換が効率よく行われている。
- 鳥類では、呼吸器は大きく後気嚢、肺管、前気嚢に分かれており、肺は哺乳類の場合と異なって管状になっている。吸気の際、外気は後気嚢へ、呼気の際は後気嚢内の空気は肺管に流れ、肺を通過した後に前気嚢にため込まれていた空気は排出される。哺乳類と同じく吸気と呼気を交互に繰り返すが、前後の気嚢が一時的格納庫となって肺には常に新鮮な空気が供給される。また肺の血流は空気の流れとは逆に前気嚢側から後気嚢側に流れているため、徐々に酸素濃度の低い空気から高い空気へとガス交換を行うため、哺乳類の肺に比べて効率の高いガス交換が可能になっている。
[編集] 陸上の節足動物の呼吸器
- 陸上の節足動物のほとんどは、気門および気道を使ってガス交換を行う。気門は系統発生的には外骨格が体内に陥没してできたもので、体内の奥深くまで毛細気道となって拡がっており、体内の組織は気道を通して供給される空気と直接ガス交換を行う。また気門・気道は非常に細く空気の対流はほとんど起きないが、気道内の酸素や二酸化炭素は濃度勾配による拡散で外気と同じ濃度に保たれている。
[編集] 水棲生物の呼吸器
水中に溶けている酸素が鰓で血色素に取込まれ、鰓から二酸化炭素を排出する。
[編集] 皮膚呼吸
ミミズなど環形動物は呼吸に特化した器官を持たず、皮膚に毛細血管が集まっていてここでガス交換を行う。 脊椎動物では魚類、両生類、爬虫類の一部が体表でのガス交換を行っている。
[編集] 関連項目
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